エステル交換反応の進行度、転化率の変化を確認していますか?

バイオディーゼル(BDF)の反応は、つまりエステル交換反応で作られます。
原料の油脂は、3種類の脂肪酸(R-COOH)と3個のアルコール(-OH)の手を持ったグリセリンのペアー(エステル結合)から構成されています。
反応時、脂肪酸はこれらの結合から離れて、一つのアルコールの基(-OH)を持った(普通)メタノール(従って3分子必要)とが、パートナーを交換したものといえます(これが、BDF)。 
 
この仲人が触媒で、反応効率や価格などからアルカリ触媒(苛性ソーダ、水酸化カリウム)が使れていることは、知っていることだと思います。
 
さて、これらの反応はどの様に進展しているのでしょうか?
反応が進展する為には、油脂とメタノールと仲介人の触媒がミクロ的に、接触しない限り反応は起こりません。液体が互いに充分接触する為には、お互いに溶け合うことがベストです。
ところが、残念なことに油脂とメタノールは、殆ど溶け合わない性質です。
 
従って、このままでは、反応が進まないので、懸命に何とか接触(出会い)の機会を多くしようと言うことで、通常は攪拌エネルギーを使って、無理やり混ぜる様にしています。
この混合は、普通バッチでは羽根車を使ったミキサーが多いのですが、他にスタテック・ミキサー、エジェクター、ボルテックス・ミキサー、ハイシェアーポンプ、ナノバブル発生、超音波、衝撃波、。。等、更に効率の良いものもある様です。
 
勿論、ミキサーだけでなく、反応器の形状や蛇腹の有無、加圧か、否かなどにもよっては、反応速度の違いは有りますが、反応は徐々に進みます。
 
反応を早める手段は、攪拌エネルギーを強める他に、
1)メタノール量の割合を多くする(油脂1モルに対して4~9モル)、
2)反応温度を上げる(密閉系でない場合、メタノールの気化温度の64~5度C以内がベスト)、
3)加圧可能なら、圧力を上げる(1~2気圧)、
4)充分過不足無く触媒を加える、
5)可逆反応なので、グリセリンを除去する(2段反応、多段反応)
6)容易に均一相となる様な添加剤を加える
。。等があります。
 
この他に、あまり理解されていないのは、前述の油脂とメタノール、触媒は殆ど溶けないということです。
従って、最初は反応速度がきわめて遅く、徐々に早まり、
そして平衡状態となり何時間しても反応は進まなくなることは、
BDFのエステル交換反応は可逆反応だからです(ですから、他人の反応時間に合わせることは無意味です)。
 
では相互に溶けあい、最初からフルスピードで反応させる方法は無いのでしょうか?
あります。適当なエーテルなど溶剤を使う?可能ですが、分離コスト等が。。。、
 
最も簡単な方法は、BDFを最初に少量加えることです。
或いは、油脂の前処理として、回収グリセリン処理を行えば、グリセリン中のBDFが廃油側に移り、結果的にはBDFを追加した事と同じです。
BDFは、アルコールにも、触媒にも。そして油脂にも溶けるので、反応速度を速める仲介人と言えます(反応時間は、通常30~40分程度です)。
 
予断ですが、グリセリン前処理を、日本では2~3年前に特許申請されている様ですが、
10年以上前に、イギリスのBGF製造業者が使い、そして公開さわれた方法で、数年前から、ヨーロッパや米国など海外では常識です(但し、酸触媒法では、使いません)。
また、この効果もいろいろあり、思わぬ効果もある様です。
 
さて、前置が長くなりましたが、タイトルの反応転化率は、原料の品質チェック(これも、重要で、別と何時か)や反応条件により、変わりますので絶えず反応の進展をモニタリングする必要があります。
 
簡便法という製品が、日本では発売されていて、これを使われている人もいる様ですが、私は自作で、試薬を準備し使用しています(写真添付)。
 
従って、反応開始から、終了時まで何回でも気軽に、通常は5~7回は反応を確認しつつ、結果により未反応があれば、反応を継続し、完全に反応が完結していることを確認後、反応工程を停止しています。
イメージ 1また、他の簡易法と異なり、グリセリンや石鹸分、メタノール、触媒のある反応液中でも、何時でも使えるのが、最大の特徴です。
厳密には、これらの濃度補正をすれば、転化率を定量的に測定できます)
 
では、また。。。
Joe.H
 
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