バイオディーゼル(BDF)って、再生可能由来の燃料です!!と言いきれますか??
バイオディーゼル(BDF)は、ECOな再生可能由来の燃料です!
。。。。と一般に言われ、宣伝されています。
勿論、殆どの、少なくともBDFを製造している人は、これが100%真実ではないことは知っています(?)し、最大の弱みでもあります。
それは、殆どの場合使われているメタノールが、再生可能由来原料から製造されてないと言う理由からです。
先ずは導入、基礎編です。
BDFは、植物性、或いは動物性油脂(トリグリセリド)と低級アルコールとから、触媒として苛性ソーダや苛性カリを触媒として、反応し生成します。反応は、エステル交換反応と呼ばれ、同時に10%程グリセリンも副生します。
確かに、油脂は植物性でも、動物性でも、その物質は100%再生可能由来物質です。
問題は使用するアルコールにあります。
反応に使うアルコールには、炭素数が1ヶのメタノール、2ヶのエタノール、3ヶのプロパノール、4ヶのブタノールなど多数存在します。但し、反応性はこの順に低下し、逆に値段は順に高価になります。従って、BDFの実生産では、メタノール使用が殆どです。
理由は、エタノールと水は、共沸混合物であり、通常の蒸留法では90%以上は濃縮出来なく、燃料化には、更に99.5+%程度に濃縮されます。最近は、ゼオライト膜分離技術やゼオライト吸着剤などが利用されています。
海外の他の国でも、同様なエタノール・プラント建設や利用は、徐々に開始しているのが現状です。
従って、仮にBDFを上記の醗酵法で製造したエタノールと油脂とで合成すれば、100%再生可能燃料と言えそうです。この手法を採用したBDFも、エタノールが豊富に、より安価に製造できるブラジルなど海外では市場に出ている様ですが、BDF用としては、恐らく本命は再生可能メタノールの利用です。
前置きが長くなりましたが、今回はメタノールも、ほぼ再生可能原料として使用可能になると言う話題です。
ほぼと言うのが多少弱点ですが、。。。現状より再生可能原料使用率が遥かに向上するのは確実です。
BDFの生産増と供に、必ず副生するグリセリンを使ってメタノールを生産できれば、そのメタノールと油脂で、BDFを製造し、副生グリセリンは、再度メタノール合成をし、BDF反応で使用する。。。。と言う完全な再生可能、グリーン化、ECOサイクル化が出来そうです!
但し、見かけとは異なり、この水素付加反応でアルコール構造(OH基)を保持しつつ、かつ高収率でメタノールを得ることは困難で有った様です。グリコール(2価のアルコール)やアルコール以外の反応が同時に副生てしまう様でした。
ところが、上記の報告では、ある触媒を使い比較的温和な反応条件でメタノールが合成できると言うことです。
BDF反応は元々、
です。
油脂1モルとメタノール3モルでエステル交換反応すると、3モルのBDFと1モルのグリセリンが副生しますので、この1モルのグリセリンと2モルの水素H2を加えて、再度合成すれば、3モルのメタノールが合成でき、全量3モルのメタノール使えば、丁度(1)式のメタノール必用量になります。
この様な方法で合成すれば、理論上はメタノールも再生可能原料と言えます。
従って、(1)及び(2)式で考えれば、BDFは完全な再生可能燃料(?)となりそうです。
但し、従来の非再生可能メタノールの使用であれば、BDF中に閉める再生可能燃料構成比は、理論上約90%ですが、この方法を使えば、約99.6%へと大幅に向上します。
この手法であれば、ほぼ100%BDFは再生可能燃料とも言えます。
横道にそれますが、、メタノールに換えて、醗酵法のエタノール、或いは、メタノールのい替わりに酢酸メチルや酢酸エチル(BDFと同じ構造のエステル)を使えば、グリセリンの生成はなく、かつメタノールも使いませんので、再生可能燃料構成比は、通常のメタノールを使うより向上します。。。
と同時に、流動点も改善します。
下記で実際の製造法をBDF(+)、或いはスーパーBDFとして紹介済です。
但し、酢酸は醗酵法で製造可能ですが、酢酸エチルや酢酸メチルの合成は、通常エタノールやメタノールと酢酸とで化学反応合成(エステル化)させますので、話は再度元に戻って、メタノールやエタノールをどの様な方式で製造するかにより、再生可能原料であったり、無かったりします。
詳細は下記の最新情報です(5月27日付)。
記事によれば、オランダBioMCNという会社は、現状年産20万トンの規模でメタノール生産中です。
彼らは、詳細な手法は不明ですが、第2世代の方法と言っている方法です。
使用原料はBDFの副生グリセリンと言うことで、手法的には、前段の方法と言えそうです。
但し、使用触媒やプロセスは公開されていませんので、英国ケンブリッジ大の方法と同じか、否かは不明ですが、基本式(1)、(2)は同じ筈です。
従来のメタノール合成法からのメタノールは、当然、非再生可能原料由来となりますが、転換後は再生可能原料(副生グリセリン)由来となります。同時に、アルカリ法BDF製造で大幅に余剰となっている低グレードのグリセリンの有効な処理法だと言えます。
同社の計画では、2013年までに、同様に停止中の第2系列のメタノールプラントも原料・プロセス転換を図り、年産40万トン規模へと倍増拡張計画の様です。
何とかガソリンのCO2発生量を少しでも減らす目的で、躍起になっている石油会社への販売だと言っています。
BDF原料用にも、勿論一部使われる可能性も有ります。ガソリンに使われようと、BDFに使われようと、このメタノールを使えば、その分CO2削減、よりECO化燃料の使用割合が増えるわけですから、好ましい方向です。
同時に、彼らの会社の系列会社では、バイオマス原料の余剰木材(90万トン)を使って、合成ガス(CO,H2の混合ガス)を製造し、以下は従来の方法でメタノールを合成する計画もある様です。バイオス原料を使って合成ガス経由でメタノールなどの基礎化学品の製造法研究やパイロットプラントは、日本でも有るようですが。。
但し、今後は固体触媒法が普及するのは、ほぼ確実です。
高グレード品質のグリセリンも簡単に製造できますので、わざわざ低価格のメタノールを固体触媒法のグリセリンを使ってまで行うか、否かは不明ですが、アルカリ法のBDF製造の余剰グリセリンの処分法としては、確実に好ましい解決策だと思います。。
尚、注目のBDF固体触媒法は、最近下記、他で紹介済で、実テストも計画中ですし、プラント設計も開始しています。
では、また。。。。。。
Joe.H
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