バイオディーゼル(BDF)や廃食油(WVO)の水分分析をしてますか??

バイオディーゼルBDF)製造時、水分量の把握は、極めて重要だと言ううことは、常識だと思います。
 
特に、反応開始まえの廃油(WVO)と製品バイオディーゼルBDF)の最終段階が重要です。
 
前者の廃油は、新油とは異なり、水分が多く含まれている場合が多いと思います。WVOは、通常水分を1,500PPM(0.15%)~2,000PPM(0.2 容積%)程度は含み、このまま水酸化ナトリウムカリウムなどのアルカリ触媒で反応させると石鹸分の多量発生の原因となります。
後者のBDF製品規格は、JIS(日本),ASTM D6751(米国),EN 14214(ヨーロッパ)などで、上限値は500PPM(0.05%、Vol)となっていて、水分が多いと、特に冬場にフィルター詰まりなどのトラブル、酸化の促進によるスラッジの生成等の原因となります。
 
では、これらの水分量をどうして把握し、除去してるのでしょうか?適当に温度を上げて??、何時間?処理量にもよりますネ。
BDFの製造経験者なら、それが優れた方法か、否かは別に何らかの処理をしていると思います(水分除去法は重要で、多数の方法がありますが、またいつか別と。。)。
でも、その結果としての水分量は測定し、把握してますか?因みに、米国でのBDFのある品質調査によると、規格値の500PPM以下は、たったの17%、残り83%は500PPM~1500PPMの範囲で、規格外であったと言う結果報告もあります。皆さんは多分問題ないと思いますが。。。。
 
BDF製品が澄んでいるから、OKと判断している??
必ずしも正解ではありません、BDFは例え、澄んでいても1000~1500PPM程度の水分が含まれている場合があります。
 
水分測定法ですが、幾つかあります。
1)ホット・パン(HP)法;測定を定量法と定性法とに分けると、もっとも簡単な定性法のホット・パン法です。海外の個人レベルBDF製造者が良く行う方法です。フライパン等を火にかけ、BDFを5~10滴落として、120~150程度に熱します。当然水分が有れば、泡が出ますし、水分が除去されていれば、泡はでません。BDFが多いと、沸騰する場合がありますので、十分注意が必要です。
類似の方法で、大き目のスプーンを火で過熱し、そこに1~2滴のサンプルを落とす方法もあり、少量で簡単な定性法と言えます。
 
2)WHW法;上記のHot-Pan法と似ているが、定量的に測定できます。W(weight)-H(hot)-W(weight)法と言うことで、正確な計量計(出来れば、0.1gまで測定できるもの)で1kg程度まで測れるものが、あれば測定可能です。方法は、まず容器(鍋でも)の重さを測り、これに定量のサンプルBDF,WVOを入れる(例、1kg)(W)、そして温度を120度Cまで上昇し、泡が出なくなるまで過熱を続ける(H)。出なくなったら、油重量を再計測する(W、例998.5g)。重量の差を元のサンプル量で割れば(例、1.5g)、水分量が測定できる(例、1,500PPM)。精度は計量測りの精度次第である。
 
3)カール・フィシャー法;各国の正式規格で採用されている定量分析方法で、分析時間、コストなどを考えると、常時測定は、BDF専門製造者でも、不可能に近いと思います。
 
4)カルシウムハイドライト(CaH)+水分測定器具法: CaHは水分があると反応して、水素を発生します。この発生量は水分量に比例することから、この量を圧力に変換して測定する方法です。イメージ 2この器具は3万円程度で、器具、CaHの薬品(Regent-A)、溶剤(ペットボトル)など50回測定分付で、購入できます。
具体的な測定法は下記写真の下側の大きな壺側に測定サンプルと溶剤を定量注ぎ、上側の小さな壺に、CaH粉末を、BDF側に混じらない様にいれ、フタを硬く閉じ、充分振るだけで良く、これらが混じり水素を発生するので、フタに着いている圧力計のメモリが上昇します。
このメモリを読み、換算表を使えば(1500PPM以内なら、そのメモリの数値がPPM値)、水分量が解るというもので、現在使用しています。
測定範囲は、50PPMから120,000PPM(12%)まで、正確に測定できます。温度補正も可能です。少し高価ですが、デジタルメーター付もあります。
この商品は、値段、精度、測定範囲、簡単、そして便利な測定器具として、米国では人気商品となっています。
尚、これは米国モービル・オイル研究所で開発された器具です。
イメージ 1
 
5)カルシウムカーバイド(CaC)+自作マノメーターを使う方法:理屈は前記類似していますが、カルシウムカーバイト(炭化カルシウムとも言う)は、水分が有るとアセチレン(C2H2)ガスが発生しすので、これをマノメーターで差圧を取り、測定するというもので、器具は発売されていませんが、ビニールチューブとペットボトル、及び検定する為の標準サンプルがあれば、カルシウムカーバイトを購入するだけで、10%程度の精度で定量測定が出来ると言うことで、2万円(200$)も出せない、或いは既製品は好まないと言った米国BDFマニアの一部で使用中です。
 
この他にも、いろいろ工夫すれば、WVOやBDF,或いは中間成分などの水分量が計れますので、もし何も測定してない人は、一度トライされたらどうでしょう! 
では、また。。。。
Joe.H
 
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