自作簡易法で、バイオディーゼル(BDF)の定量的転化率の測定出来そうです!!

自作のバイオディーゼル(BDF)転化率測定法を最初に紹介したのは、下記Blogでした。
他にも何ヶ所か、この自作の転化率キットを使用したり、紹介した私のBlog記事はあります。
 
本転化率測定法は、最終製品のバイオディーゼルの品質確認ばかりではなく、
反応の進行のモニタリング手段として、即ち時々刻々変わる反応の進展の解析手段としても、極めて便利な道具なのです。
 
この手法を使えば、例えばバイオディーゼル(BDF)の2段反応は、驚異的な速さの計8分(2分+6分)で完結できました。この結果は下記で紹介させて頂きました。
 
但し、従来は、使用器具の制限から、反応が完結したか、どうかの判断は出来るのですが、
反応の途中で、いま具体的な転化率が幾らか?を定量的に測定することは出来ず、
凡そ目分量での推定しか出来ませんでした。
 
以上が前置きで、本日の話題は以下です。
 
先日、この転化率を定量測定できる器具を、あるガラス試験器メーカーに特注で、発注しておいたのですが、その器具が本日届きました。
今回は、この新しい器具を使って簡単なテスト結果報告です。
イメージ 1
 
より正確に行う為に、今回の方法は、従来の方法の最大3.33倍のサンプルと試薬を使う前提で器具を製作してあります。
勿論、これ以下のサンプル量でも、多少精度は落ちますが、可能です。試薬の節約にもなります。必要に応じ使い分けます。
先ず右の最初の写真ですが、今回は反応を行っている最中ではない為、バイオディーゼル製品しか有りませんので、製品を使ってのテスト結果です。
この器具は0,01mLまで、検定目盛が盛られていますが、最初は転化率の基本モード(1X)の結果です。写真の様に、全く未反応沈殿油はありませんでした。
イメージ 2
 
 
次の右の写真は、3倍モード(3X)での試験です。同様に、0.01mL以下の沈殿油もありませんでした。完璧な転化率と言えます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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次の右の写真は、上記の結果に、廃食油(WVO)0.3mL添加し、未反応BDF油を意識的に疑似的に作成したものです。特に攪拌などはしてない状態です。この量は、サンプルBDFに対して1%(Vol)に相当します。従って、仮に元のバイオディーゼル(BDF)の純度が100%で、未反応油が無いと仮定すれば、添加率99%に相当するバイオディーゼル(BDF)の状態です。写真でも、正しく、添加油(WVO)量の0.3mLを示しています。
 
イメージ 4
次は、上記の状態を、試験器具に栓をして、充分攪拌沈殿させた状態が、次の左の写真です。この写真では、0,1mLだけが分離し、残りの0.2mLはバイオディーゼル(+試薬)の中に相互溶存している状態です。写真はないのですが、もう少し時間を置いて30分程度後になると、0.14mL程度(47%)が沈殿しました。この結果、0.16mL(53%)が溶けていることになります。更に時間を置くとどうなるかは、今日のところは不明です。多少ガラス壁に、油滴が付着したり、浮遊している様にも見えますが、。。。
 
イメージ 5右の写真は、別のテスト結果ですが、同一のBDF製品のサンプルを基本モード(1X)で加えたものに、菜種新油(期限切れ)を0.2mL添加し、良く攪拌した状態のもです。写真では見辛いのですが、0.12mL(60%)分離した結果が得られました。同様に、0.07mL(40%)は(、少なくとも少々の時間では)沈殿せずバイオディーゼル(BDF)+試薬中に溶けていることが解りました。このサンプルは、転化率98%程度を想定しています。
尚、上記写真で、左側が従来使用していた器具で、同様の条件で底に僅かに沈殿油がありますが、当然油の沈殿量はわかりません。この様に、従来法では定性的には判断可能でしたが、定量的測定は出来ない状況でした。
この例では、目盛り付試験管を使用していますが、沢山のサンプル・テストを行う場合は ( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/8068329.html )、上記の目盛り付で測定し、次いで目盛りなしの試験管に移していました(目盛り付試験管は高価な為、1本約3000円ぐらい?)。
 
今回の新器具により、新たに定量測定が可能となった訳です。
 
 
以上の結果から、次の事が、少なくとも、取りあえず本日のテスト結果から言えると思います。
 
1)今回の試験例では、写真で示した様に、例え、1(~2)%でも、未反応油が残っていれば、この器具で簡単に測定できる。この場合の転化率は99(~98)%と言える。
因みに、BDF規格値は96.5%以上であるので、充分この規格値をクリアーしている。
 
2)但し、沈殿油の量をサンプルBDF量で割った数値が、そのまま転化率とはならない。BDF(+試薬)側に微量溶け出していて、一部しか沈殿しない。
今後、更に正確な検定が必要であるが、40~53%程度は溶け出すと思われるので、
概略50%と仮定すると、
例えば、サンプル投入BDF量が10MLで、0.005mL(最低目盛の半分なので、充分読み取れる)が沈殿した場合は、推定転化率=(10-0.005x2/10x100=99.9%定量的に推定される。
更に、3Xモードなら、同様に99.97%まで測定可能と言える。
 
この程度までは、充分この器具で測定できそうである。
従って、最大転化率の測定限界は、99.97%まで定量的測定が可能と思われる
 
3)反応の中間成分のジ・グリセリドやモノ・グリセリドの溶解度の検定も、より正確さを求めれば、必要になるが、そこまでは必要無いと現状では考えている。
ジ・グリセリドは油と同じ挙動性質と言われ、、モノ・グリセリドは、油とBDFの中間とも言われている。
 
4)従来の器具は定性試験、及び反応の早期の試験を、今回の器具は(2段反応の)反応を停止するか、どうか、及び製品BDFのテストなどに使い分けて使えば、効率的と言えそうです。
因みに、この特注器具は、まだ請求書が来ていませんが、1万4~5000円程度だと思います。
 
5)最大の使用可能サンプルは30mL(3X)で(試薬90mL)ですが、従来の3mL(試薬27mL)、或いはそれ以下の1mL(試薬9mL)まで、分析ニーズに応じ、この器具で任意に使い分けることが可能です。
使用サンプル量の増加に応じ、試薬も増えますが、測定精度は向上します。
 
今回は、特注の転化率測定器具+自作試薬を使って、
バイオディーゼル(BDF)の簡易定量試験結果の報告をしました!!
 
益々、この自作転化率キットが、バイオディーゼル反応の遂行に最重要なツールとなってきました
 
このツール・キット無しでのバイオディーゼル(BDF)反応操作は、とても考えられません。
あたかも、闇夜の一人歩きの様なもので、歩く方角(温度、メタノール量などの反応操作)が正しいか、どこまで来たのか(どれだけの転化率になったのか)等も全く解りません。到底目的地(規格値以上のBDF製造)には、殆どの場合、着かないと思います。着けば、まぐれとも言えそうです。
何しろ船なら羅針盤(磁石)がないのと同じですから、。。。
 
では、また。。。。
Joe.H
 
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 2)本簡易法とガスクロマトグラフGC)分析等のクロスチェックも行われていて、極 めてよく両者は合致していると言う報告があります。
 一方GC法は理論的には、より正確な分析法である可能性大なのですが、実際は問題 点も多く、分析時間がかかることと、費用もかかり、加えて分析者の技術レベルに よって、測定値も可也狂うと言われています。
 
以上