バイオディーゼル(BDF)の滴定分析に便利なピペットとポンプの使用法紹介です!!

バイオディーゼル(BDF)の製造にさいしては、どの様な装置を使っても、
最低限の分析操作は必要不可欠であることは、これまで何度か紹介してきました。
 
分析を出来るだけ正確に行うには、定量のサンプルや試薬を出来るだけ正確に、かつ簡単に測定できないと、分析作業がつい面倒となり、ついには分析を行わなくなったり、或いは測定が不正確であれば、折角の分析操作の測定結果も不正確なデータで意味がなくなります。
 
そこで、今回は、使うと便利で、いろいろの分析操作に使えるピペットとそれに付随するピペットポンプを紹介したいと思います。
 
先ず、下記がガラス製のピペットです
左から、25mL、10mL及1mL様です。
他にも、2mLや5mL用などいろいろ測定量によって販売されています。測定制度を出来るだけ向上去せる為、目的に合ったタイプのピペットを使う方が好ましいと思います。
 
BDFの滴定用は、最低でも、25mLと1mLタイプの2種類か、或いは、5mLタイプを加えた3種類程度は有った方が良いと思います。
写真は、左からフルスケールで25mL、10mL、そして1mLタイプです。
 
 
 
これらのピペットを使って希望の容量を測定して、それを投入する道具がピペットポンプです。
下記は、それぞれのピペットに対応するポンプで、左から25mL、10mL、及び1mL用です。
10mLポンプは5mLピペットでも、同様に1mLポンプは2mLピペットでも使えます。
 
 
では、次にこれらの器具を使いどの様な分析を行うのでしょうか??
順に主な使用例を紹介します。
 
)酸価値(AV)の測定
測定法は以前下記Blogで紹介しました。
この例では、秤量計と注射器での例でした。
酸価値(AV)を正確に知ることは、アルカリ法では、使用する触媒量(NaOH,KOH)の投入量を決めるために、絶対必用です。
BDFのエステル交換反応に必要な基本触媒量に加えて、酸価を中和するアルカリ分の補正が必要だからです。 酸価(AV,FFA%はAVの50%)分は、アルカリ投入で石鹸(鹸化)となり、最終的にはグリセリンに溶け込みます。
 
従って、この分析測定は、反応前の廃油,、或いはグリセリン前処理後の廃油に対して行います。
サンプル廃油1mLを1mLタイプ(1mLフルスケール)のピペットピペットポンプを接続し、ダイアルを上下回転させて正確に測定します。
これをビーカーなどに、ポンプのレバーを押し続け、全量いれます。それに溶剤のイソプロピルアルコールIPA)を10ml同様に、今度は10mLタイプで測定し、全量入れます。
中和試薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴投入してよく混ぜます。こちらは、ピペット測定は不要です。
次に、予め作って置いたKOH(或いは、NaOH)の1000分の1溶液を同様に、ピペットで必要量図ります。
通常の、廃油酸価(KOHベース)は、4~5程度ですので、10mLピペット、及びポンプを使い、例えば、10mL測定し、準備してある廃油容器を良く振りつつ、同時にポンプレバーを操作し、少しずつ液を投入して行きます。
中和となれば、中和試薬の色が変わりますので、その時点のピペット残液量から、投入した滴定液量を求めます。この液量が酸価値(AV)です。
 
以上の操作は、注射器、正確な秤量器など他の器具でも可能ですが、ピペットが簡単で、かつ正確です。
使ったピペットは溶剤、純水などで洗浄した後、再使用するのがベストですが、面倒なら、少なくと目的別にピペットを分けて用途別に使うことをお薦めします。
ピペットはポンプから簡単に取り外せますので、ピペットが何本かあれば、ポンプは各容量対応のものが1本あれば、最低限で間に合います。
 
2)石鹸分の滴定
下記で分析法は紹介済です。
石鹸分の測定、把握は、BDFの製造では最重要項目の一つです。
最終製品の石鹸分の測定の他に、反応終了時のBDF中石鹸分、グリセリン分離後のBDF中の石鹸分、水洗法での水洗中の石鹸分の推移、或いはDry-Processの塔と塔との間での石鹸分濃度の推移・変化(これは、BDFの品質推移ばかりでなく、使用メディア吸着剤の交換時期,、或いはイオン樹脂の再洗浄の時期の把握にも重要です。
石鹸分の測定も、酸価の滴定と類似ですが、違いは使用サンプル量、試薬の種類などです。
石鹸分の濃度は、測定のサンプルの状況により、最大は10、000PPM(1%、反応直後)程度から0~30PPM程度(製品)まで、大幅に変わりますので、使う滴定試薬(0.01N塩酸)の量も大幅に変わります。
大量の石鹸分が予想される場合は、10mLピペットを、最終製品や少量の石鹸分が予想される場合は、1mLピペットで正確に滴定量を測定します。
BDFサンプル量測定は、基本は10mL、或いは5mLですので、10mLタイプを使いますが、製品の場合は、1mLサンプルを使った方がより高精度となりますので、出来れば1mLタイプを使いましょう。
但し、正しくは石鹸分のサンプル量は重量(g)ですので、ピペットの量(mL)に密度(0.88~0.89程度)をかけて、重量変換された数値を使います。正確な重量秤があれば、こちらの方がお薦めです。
 
3)簡易転化率測定
同様に、何回も紹介済です。下記は1例です。
 
BDFの転化率の測定は、反応中も、停止時も、そして最終製品でも重要です。
この転化率の測定には、標準は試薬27mL、サンプル3mLを測定しますので、30mLタイプがなければ、25mLタイプで2度合計が27mLとなる様に、或いは10mLタイプで3回測定します。
 
サンプル量は3mLですので、こちらは、10mLタイプで測定します。
尚、高精度分析では、試薬90mL、サンプル10mLで図りますので、前者はメスシリンダーなどで、後者のサンプルのみを10mLタイプで測定すれば、充分だと思います。
この転化率は、試薬とサンプル量比が9:1であれば良い訳ですので、任意の組み合わせが可能です。例えば、試薬18mL、サンプル2mLでも可能です。この場合は、25mLと5mlタイプがあれば良いのですが、なければ、10mL或いは、1mLを2回でも対応出来ます。
 
4)水分測定
水分計も紹介済です。
 
水分測定は、簡易水分計で特別の試薬(CaH2)に、サンプル、或いは特別の溶剤を使います。
水分濃度により、使用量は変わりますが、最大1500PPM以下であれば、サンプル(油、BDF)は、30mL、溶剤は10mLですので、30mLタイプがれば1回で、或いは20mLタイプで2回で30mLを測定します。同様に、後者は10mLタイプを使用すれば、便利です。
 
この様にピペットは、殆ど全てのBDF製造時の分析用に使えます
 
最後に価格ですが、海外なら、ポンプは1~2mL用1台(6$=400円)、10mL、あるいは25mL用(12.5$=1000円)程度です。
ピペットは、10本でも1ml(29$=2、300円)、10mL(33$=2、600円)、25mL(46$=3、700円)程度です。特に、予算が厳しければ、10本以下の3本でも、5本でも購入出来ます。
 
勿論、類似品は国産でもありますので、直接国内でも購入できます。
但し、価格は何倍かすると思います。
 
今回は、BDFの滴定分析を行うときに、有れば便利なピペットピペット・ポンプを紹介しました。
使用法は簡単です。是非、皆様もBDFの滴定分析にトライしましょう!
目指やヤマカンでは、良いBDFは製造できませんから、…
 
では、また。。。。
Joe.H
  
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