極寒対応処理済Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)の低温流動特性を調べて頂きました!!

先日来、某流動点降下剤メーカーの研究開発部門の専門家(Sさん)にお願いし、極寒、冬季(通年)対応処理済Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)を含めたサンプル類の低温流動特性を調べて頂いていました。
 
結果を本日受領しました。
今回は、その分析結果の概要を報告します。
 
お願いしたECO(エコ)BDF燃料サンプルは、下記の4サンプルです。
 
1)何も添加せず、かつ何も特別な処理をしないBDF
2)流動点降下剤(国産A社)2000PPM添加したBDF
3)   ;     (海外B社)2000PPM添加したBDF
4)流動点降下剤(2000PPM)+冬季対応処理済BDF
 
上記BDFは、通常の廃食油(WVO)から、通常の処理手順で製造したもので、
バス用BDF燃料として使用中のものです。
 
今回報告いただいた検査結果(単位 ℃)は下記でした。
 
サンプル     曇り点(CP)     目詰まり点(CFPP)     流動点(PP)
  1         1            -2               0
  2         0            -1            -12.5
  3         1            -1            -5.0
  4       -11           -27           -42.5
                 
と言う報告でした。
 
尚、冬季対応処理法の概要については、
http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/3879043.html
等を、また流動点降下剤については、
等を参照下さい。
 
この結果から、言えることは;
 
1)BDF(バイオディーゼルが何度まで確実に使えるかの指標である目詰り点(CFPP)は、何も処理しない(サンプル1)場合は-2℃となっているが、流動点(PP)が0℃であることから、現実的に、0℃近辺までしか使えない(頑張れば、CFPPの-2℃まで使えるかも?)(Note-1&2)
尚、(添加剤、冬季処理などをしてない)無処理バイオディーゼル(BDF)燃料のCPとCFPPとの相関関係は、下記の相関式が提案されていている。
CFPP(℃)=1.0191xCP(℃)-2.9  (by Dunn,1995)
これによれば、サンプル1の目詰り点はー1.88℃となり、測定値のー2℃とほぼ一致している。
 
2)単純に流動点降下剤の使用だけでは(サンプル2,3)、目詰り点(CFPP)の温度降下作用の改善は殆ど認められない(曇り点CPも同様)
このことは、ある程度一般的に言われていた事です。
 
通常、海外での報告でも、流動点降下剤による目詰り点(CFPP)改善効果は、2~3℃程度あるとも、或いは殆ど効果が確認できないとも言われています。
 
ここで諦めないで、更に一歩進めてプラスαの冬季処理を行えば、目詰り点(CFPP)効果が、確実に顕著に現われることが、今回(サンプル4)、証明されました。
 
3)流動点降下剤の添加により、流動点(PP)温度の降下作用は顕著に認められる(-12.5.及びー5.0℃)。
このことも、一般に言われている。
但し、この指標は、BDFをポンプ等で移送可能な最低温度で、フィルターの目詰り温度ではない。
従って、この温度でバイオディーゼル(BDF)を使えば、フィルター詰まりのトラブルが発生する可能性大と言えよう。
 
4)冬季対応済のBDF(サンプル4)は、ー42.5℃まで固化(PP)しなく、またー27℃までフィルターの目詰りを発生させない(CFPP)ことが解った(曇り点もー11℃へと改善)
 
5)冬季対応処理を行うことにより、目詰り点(CFPP)は少なくとも25~27℃と大幅に改善された。
同様に、流動点(PP)も45℃と大幅に改善された。
 
以上から、Biodiesel(バイオディーゼル;BDF、バイオ軽油)の冬季処理法の有効性がデータ上からも確認できた。
 
但し、今回のサンプル製造・準備を少し急いだ為(飽和脂肪酸の混入と低温処理による空中水分の付着混入、2200PPM)、当方の狙っていた予想特性より悪かった(少し高い温度)データであったので、多少反省している
 
でも今回の分析依頼研究者からは、この様な低温特性の優れたバイオディーゼル(BDF)に出会ったのは初めてと言うありがたいコメントを頂いた。
 
この特性測定値でも、殆ど日本国内であれば、BDF100%で極寒時を含め通年使えると思います。
 
もう少し、分離を丁寧にと行い、かつ水分除去処理を行えば、充分ー35℃以下となるデータが得られると思う。
いつか再度、サンプル分析をお願いし、確認したいと思っている(Note-3参照)。この結果、
曇り点(CP)が、今回のサンプルのマイナス(-)11℃から
マイナス(-)39℃と大幅に改善されました。
 
今回は、バイオディーゼル(BDF)の低温流動特性の分析結果でした。
皆さんも、BDF100%の冬季対応に困っていませんか?
 
冬季固まるので、バイオディーゼル(BDF)の通年使用を諦めるのか
情報収集と実験を繰り返し、固化しない方策を自己で発見できるのか、
又は、結局見つけ出せずに時間の浪費をするのか、。。
或いは、第3者の技術導入をするか。。
どう対応するのかは、各自の自由判断です。
 
一般に、特に重要な情報の一部は公開されていても、全ては開示されていません(製造ノウハウなど)。
従って、他人の公開情報だけを見て、単純に使おうするだけの安易な考え方では、
殆ど役立ちませんし、進歩もありません
他の事も。。。同様ですが。
 
では、また。。。
Jo.H
 
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尚、お問い合わせの前、下記を必ず参照ください。
 
 
Note;
1)PPは一般にCFPPより低い温度ですが、その定義により流動点(PP)は固化温度に+2.5℃加えた温度とする事になっている為、-2℃でCFPP温度に達し、ほぼ-2.5~-2.9℃近辺の温度で固化したので、流動点(PP)温度は+2.5℃を加え0℃となったと考えるのが自然であろう。
勿論、理論的には、測定値は、CP>CFPP>PPの順に低い温度となるはずであるが、各測定法も異なり、また測定精度の誤差もあると思われる。
 
2)米国産大豆新油ベースのバイオディーゼル(BDF)のCP=0℃、PP=-2℃との報告もあるので、我々の無添加・無処理のBDF(サンプル1はこれに近い数値であり、大豆油が主成分の廃油と言う予想が当たっている事にもなっている。
 
3) 既に依頼中です(@9月17日)。
分析結果は下記です(@10月18日付)。
 
 
 以上