Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)の冬季対応(処理、対応)を、そろそろ考えよう!

以下の内容は、あるECO(エコ)BDF(バイオディーゼル)関連のBlogでコメントしようと思った内容ですが、文字数制限で、書き込めなかったので、ここに掲載します。
多くは、過去述べたり、紹介したことですが、。。。
 
毎日、猛暑が続きますが、そろそろ冬季BDF(バイオディーゼル)対策を考える時期ではないでしょうか??
対策、対応には時間的な余裕も必要ですので、。。。特に、北の北海道や東北地方の方は、寒さも急に来ますので。。
それとも、既にBDF(バイオディーゼル)100%の極寒時使用、或いは(ちょっと)寒い冬季使用時も無理と諦めているのでしょうか??
 
私たちの廃油ベースのBDFは、何も処理しないとマイナス1~3度Cぐらいから固まりだし、マイナス7~10度Cでは、完全に固まります。多くの廃油、混合油でも大差ないと思います。
BDFの固化温度は、油脂の種類により決まってしまう脂肪酸組成構成により固化点は完全に決まります。
例えば、仮に炭素18の飽和脂肪酸100%からできた油脂があり(現実にはこの様な天然油脂はありませんが。。)、それでBDFを作ったと仮定すると常温でも固化します。
逆に、炭素数18のリノレイン酸(3価の不飽和結合)100%の油脂が存在したと仮定するなら、マイナス55度Cでも固化しません。
従って、冬季のBDF固化防止対策は、勿論反応(エステル交換反応)を完全に行い未反応油残、中間のモノ、ジグリセリドを極力少なくする事が先ず第1に必要ですが、それだけでは不完全です。
使用油が単一油脂であれ、混合油であれ、その油脂による脂肪酸構成により、固化温度(曇り点、目詰まり点、固化点)は決まります。その固化温度は、上記の温度範囲となります。
通常の混合油では、上記に紹介の零度からマイナス5度C程度だと思います。仮に菜種100%程度の油脂であれば、マイナス10~13度C程度まで固化しませんが、通常の一般的な廃油では、菜種100%(近い)油脂は得がたく、大豆油やパーム油脂が混合されたものが多く、この場合は固化温度が上昇します。
ではBDF(バイオディーゼル)の固化(流動点)を下げる方法、或いは固化を回避する手段は無いのでしょうか?
方法は、幾つかありその必要な固化要求温度やその他の条件により決めることになります。
 
1)軽油、灯油などの油脂をブレンドするーー簡単で、かつ可能な方法で海外での冬季対応は、この方法が多いのですが、日本では税金の関係で、この方法は現実的ではありません。

2)BDFタンクやフィルターを保温するーーこの方法を日本でも一部行っている処もある様ですが、車のタンク周りの改造が必要になります。海外ではこの方法を使っている場合も多く、この加熱キットも2万円程度と安い価格で販売されていますが、日本では特注で値段も高いのでは?と思います。それに、あまりスマートとは思えません。類似な方法で、最初は軽油で、走り出し、充分エンジンが温まったら、BDFに燃料を切り替える方法(2タンク・システム)や比較的暖かい室内の車庫に、冬季は駐車する方法などもあります。同様に、この例も少なくないと思いますが(特に2タンクシステムは海外に多い)、同様にスマートでは無いような気がします。

3)添加剤(流動点降下剤)を添加するーー添加量は1000~10000PPM(通常は2~3000PPM程度)を添加します。結晶の肥大を防止し、結晶はできるけど、小さい結晶とし、結晶成長を防止する方法であり、この添加剤です。石油軽油用は効果大ですが、BDFでは効果の無いか、あっても少ないものが多い様です。国内で販売されているものは、多くは軽油用を転用している例が多い様です。海外でも多くは軽油用、或いは軽油とBDF混合油用が多いです。因みに、試験結果では、曇り点や目詰まり点はあまり下がりません(最大で2~5度C)。
例えば、宣伝で流動点が-30度Cまで下がった、効果あり! 等といっているのは固化点(PP)の低下です。重要なのは目詰り点(CFPP)ですので、これが下がらないと意味がありません。

4)BDFの構造を変えて、固化点を下げるーーBDFの脂肪酸の化学構造とその相手のアルコールの物質を変える方法です。先ず、前者の脂肪酸をオゾン処理したり(酸素原子を加える)、異性化反応(枝分かれの化合物にする)、或いは分解(炭素数を短く切る)などすれば、固化点は下がります。後者は、通常のメタノールに代えて、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの高級アルコールに変える方法などもあり、それなりの固化温度低下が可能ですが、反応性、コストなどを考え合わせる実用性は、疑問となります。
4)副生物のグリセリンを流動点降下作用のある物質に、反応時に、同時に変えてしまい、副生物の生成(無し、或いは抑制)と固化防止を同時に行う方法もあり、テスト上は可能でしたが、原料、装置のコストなどが問題となりそうです(マイナス14度C~16度Cは達成できている)。

5)脂肪酸組成が決定的な要素なのだから、この組成を変える方法ーー方法はいろいろあり、またマイナス何度まで固化しないバイオディーゼル(BDF)が必要か等の要求度によります。
現在までの処、上記何もしない場合、0度C~マイナス3度C程度で固化するBDFが、ある冬季対応処理を施せば、冷凍庫でマイナス37度C程度まで下げても曇り点(CP)すら達していないBDFも製造可能です。
最も重要な目詰り点(CFPP)はマイナス40度C前後まで可能では?と思っています。
現在測定依頼を外部に出しているところです。
当然日本なら、どこでも使える(はず)と思います。
 
昨年2月の真冬、米国のアラスカでBDF(バイオディーゼル)100%の実走行テストが実施されましたが、極寒のアラスカでさえ、この時の外気温がマイナス31度C(マイナス24度F)であったとの報告です。
このBDFは、新大豆油からのBDFで、尿素処理したものです。
 
この尿素処理の方法でも、冬季対応のBDFを作って見ましたが、
処理が大変なのと、コスト的な面から、取り合えず深くは追求していませんが、同様に可能でした。
 
下記添付写真は、もう1ヶ月以上も、マイナス40度Cまで下がると言う冷凍庫(実際はマイナス35~37度C程度まで)の処理済BDFです。
空気中の水分でガラス表面に霜が付き難いのですが、完全に液体状態で、固化(PP)も、曇っても(CP)いません。
 
イメージ 1

6)最後の方法(対応)としては、冬季は諦めて軽油に切り替えて使うーー折角ECO目的でBDFを使っているので、一部の時期だけ使うのはどうでしょうが??でも、残念ですが、このケースが北海道などの寒冷地では、かなり多い様です。

では、また。。。。。
Joe.H
 
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