極寒仕様向け処理済バイオディーゼル(BDF)のその後の状況報告です!!

 
今回は、久しぶりに 極寒,厳寒対応処理済バイオディーゼル(BDF)、及び未(完全)処理BDFのその後の状況報告です
 
冬季時BDFの固化(ゲル化)による燃料フィルターの詰まり防止法には、流動点降下剤添加、原料油脂の選択、異性化や分子構造の変更(短分子化)などいろいろあります。しかし、何れも効果が限定的だったり、装置が複雑・高価であったりと言う理由から、小規模製造では現実的ではありません。
 
一番簡単な方法は、BDF中の固まりやすい飽和脂肪酸メチール・エステル成分(S-FAME)を分離除去する方法ですが、この方法にも、尿素を用いる方法(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/5566806.html )、結晶分離法などがあります。
何れの方法でも可能で、かつ過去に実例を紹介済です。
今回は、結晶分離法での極寒冬季処理BDFのサンプル例です。
 
下記の最初の写真左側のサンプルは、添付Blogで紹介した、曇り点(CP)-39℃、流動点ー42.5(以下)のサンプル(NO.#5)の残バイオディーゼル(BDF)です。
 
昨年9月から約5.5ヶ月間マイナス40℃の冷凍庫(実際温度は、マイナス38~39度)で連続的に冷やしたり、電源を切って暖めたりを繰り返したBDFの本日(平成23年3月2日)の状態の写真です。
他の添付写真のサンプルも同様のサンプルです。
 
 
写真の様に、何の沈殿固形物も、濁りも一切ありません
 
同様に右の写真は、やはり大豆系(と思われる)廃油で製造したBDFを、同じ極寒処理法で分離・処理したBDFです。このサンプルは、10L手動処理のサンプル例です。
 
容器が不透明なプラスティクボトルの関係で、見ずらいと思いますが、BDFの状態は全く同じで、何の固定沈殿物もなく、通常の液状をしています
 
このサンプルも同様に、5ヶ月以上も、前述の冷凍環境を過ごしたBDFサンプルで、マイナス40℃の冷凍庫から出した直後の写真です。
 
イメージ 1
 
 
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次に、左の写真の左サンプルは、期限切れの菜種油を使ってMicro-Batch手法で製造したBDFサンプルで、かつ未冬季処理サンプルです。
従って、当然マイナス40℃の環境下では、カチカチの固体化した状態です。
 
左の写真の右側サンプルは、約40~50%弱が白く濁った状況です。
この様な状況のサンプルでも、分離すれば、極寒仕様のBDFは製造できますが、収率は悪くなると言う例です。添加剤の量などを含めた1次処理が適正では無かった様です。
 
同様に、右側の写真のサンプルは、1時処理後の状態で数ヶ月放置してあったサンプルです。通常の処理では、この様に長期間の時間は不要です。
このサンプルは、中間体として良いサンプルです。底部に10~15%の沈殿がありますが、飽和脂肪酸BDFの固まりで、かつ極めて硬い状況で、上部の液状不飽和脂肪酸BDFと完全に分離していますので、フィルター等の分離装置は何も不要です。
単に蓋を開けて分離すれば良く、固化物は底にに残ります。
 
 因みに、上記右の写真の左側のサンプルを、別の瓶に移している所が下記写真で、本日実施した例です。マイナス(-)40℃だと手袋着用で無いと、手が瓶に凍り着いてしまいます。
手でサンプル瓶から、別の瓶に移しただけで、固化物は完全に瓶の底に固まっているので、流れ出ません。
次の写真は、左側が液状のBDF、つまり極寒処理済の不飽和BDFであり、右側は、瓶の底に固化した飽和BDFです。
 
イメージ 3
イメージ 4 
 イメージ 5
最後の写真は、極寒処理済BDFの瓶(上記写真左)の上部から取った写真で、まだ冷凍状態の写真です。
 
処理の間に、多少BDF液温度は上昇していると思いますが、マイナス30℃程度はあると思います。
 
このBDFサンプルを乾燥処理すれば、最初のBDFと同じ曇り温度のマイナス(-)39℃程度はあると思います。このBDFを再度冷凍庫で冷やせば、何も変化せず、液状を保ち証明できます。
 
詳細は、一般公開できませんが、
ある種の添加剤(複数)を使うことにより、飽和BDFと不飽和BDFをクリアーに分離することがノウハウであり、この状況が一旦達成すれば、写真の様に、何も器具を使わなくても、簡単に分離できると言う実例でした。
添加剤が、飽和脂肪酸系のFAME(BDF)だけを選択的に固化させている結晶化選択・推進助剤となっている訳です。BDFの低温下に於ける固液相平衡関係とその平衡関係を変える添加助剤の役割の理解が重要です。
蒸留操作の気液相平衡と同様の考えで、一般蒸留が不可能な場合、更に溶剤(添加剤)を加え抽出蒸留法など、物理化学、化学工学の教科書を見れば、部分的に説明されています。
 
通常の方法だと、全体が固化してしまうか、固形物が分散して、フィルター処理が必用だったり、詰まったり、例え、可能でも極端に収率が悪くなります
 
今年の冬は特に寒く、北海道の日高地域では、2月4日(立春)にマイナス27.8℃の観測史上最低気温を記録したそうです( http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020401000335.html )。
この様な状況下でも、適切な極寒処理さえすれば問題なく、余裕を持ってB100が、北海道を含め日本なら何処でも使える筈です。
 
但し、もう春もすぐ近くで、この冬はおそらく必用性はないのですが、まだ早いかも知れませんが、来年の冬に向かって極寒仕様のマイナス40℃でも使えるBDF、或いは、マイナス30℃、20℃と、必要温度レベルは異なるかも知れませんが、準備されたらいかがでしょうか??
 
極寒仕様のバイオディーゼル(BDF)は、必ずしも他人から聞けば直ぐ出きるものでもありません。
第3者からの情報提供と同時に、必用な機材の準備やご自分での各種実験を通じて製造ノウハウの獲得・蓄積が重要かと思います!!
 
今回は、極寒仕様のBDFサンプルの数ヶ月後の状況と、未処理BDF、及び一部未処理BDFを使って、簡単に極寒仕様のBDF(B100)ができることを紹介しました。
この様にBDF100%(B100)で問題ないので、もし軽油・BDF混合燃料が許される地域(国)であれば、当然B10、B20、。。。B90と言った軽油との任意のブレンド燃料でも、問題なく使えます。 
 
では、また。。。。
Joe,H
 
追伸)
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