Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)の反応速度向上と攪拌の関係を考えて見よう!
Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)反応は、基本的に反応速度式に基づいて、進行します。
このことは、以前に多変数微分方程式 を紹介し、その重要性について概説しました( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/5454260.html )。
今回は、この微分方程式上では、一定として変化を直接的に変数として考慮されていませんが、なぜ攪拌によって実は反応速度が変わるかを少し考えて見ましょう!
また、反応温度が上昇すれば、BDFの反応は早まることも述べました。
反応速度定数、K=Aexp(-E/RT) は、反応温度上昇に伴い進行することも説明しました(10度で速度は2倍に)。
反応速度定数Kの式で、頻度因子(A)や活性化エネルギー(E)は、定数の様に見えますが、実は触媒の種類、水分など不純物の有無や量によっても変わります。
更に、最も重要なことは、攪拌の種類や強度によっても反応速度定数は大きく変わります!
油が完全に分離状態なら1つの状態と言えます。
仮に球状だとすると、直径57.59cmの球で、表面積は10,418cm2となります。
この計算は、球の体積V=4/3*π*r**3、表面積S=4*π*r**2から求められます(*:掛け算、/:割り算、**:指数、この場合は3乗と2乗)。
この100Lを2個に分割すると、50Lずつに分かれ、直径、表面積はそれぞれ45.71cm、6,563cm2,2個で表面積計13,127cm2となります。1個の表面積と比べ、表面積比は1.26倍となります。以下同様に、分割数を増やすと下記の様に計算されます。
溶液個数 1個の容積 球直径 表面積比、 直径比
1 100L 57.58cm 1.0 1.0
2 50L 45.71cm 1.26 0.79
10-10(1) 10L 26.73cm 2.15 0.46
10(2) 1L 12.41cm 5 0.22
10(3) 10(-1) 5.76cm 10 0.1
10(6) 10(-2) 0.58cm 100 0.01
10(9) 10(-3) 576ミクロン 10(3) 10(-3)
10(12) 10(-4 58 10(4) 10(-4)
10(15) 10(-5) 6 10(5) 10(-5)
10(18) 10(-6) 0.58 10(6) 10(-6)
つまり、油脂を上記の様に分割して、10の18乗個(単位:エクサ)の均一な球にすると(最終ライン)、球の直径0.58ミクロン(サブミクロン)の球となり、表面積比は100万倍(10の6乗)となり、球の直径比は100万分の1となることが解る。
つまり、攪拌により、サブミクロン級の球に分割できれば、何も攪拌しないのに比べれば、100万倍の反応速度になることになる。
何も攪拌しないことなどあり得ない訳で、通常のプロペラ攪拌翼でも、ミリメートル単位程度にはなるはずであり、この場合と比べれば、理想的には1000倍程度と、格段に反応速度は向上する。
サブミクロンが無理でも、仮に数ミクロン級の液滴生成の攪拌ができれば、反応速度は100倍程度となる。
10ミクロンからサブミクロン単位の攪拌を実現する為、海外のBDF商業施設では、
(多段)ハイシェアー・ミキサー・ポンプ(http://www.biodieselmagazine.com/article.jsp?article_id=4207&q=cavitation reactor&category_id=6 ) 、及びキャビテーションオリフィス、http://t0.gstatic.com/images?q=tbn:mHKw1PpdGILLeM:http://www.cheresources.com/energy_future/biodiesel_road_ahead6.gif
超音波ジェネレーター、電磁波などの新技術が利用されてている。
特に前2つの導入例が多い。これらは、何れも数ミクロンからサブミクロン級の混合攪拌ができると言われている。
このため、反応は1時間~3時間と言うオーダーではなく、反応は秒単位から分単位で完結すると言われている(多くは連続プロセス)。
これらは、強制的に攪拌して、表面積を極大化して初めて成り立っている。但し、通常の回転翼攪拌では、いくら強力ポンプを使用しても無理である。
更に、これらの新技術では、反応が極めて早く進むので、
1)反応を遅らす効果がある反応温度を常温で加熱しない行う、
2)メタノールを理論必要モル数の3モル近くまで減らす(容量比で12.5%程度)、
3)アルカリ触媒を減らす(後処理が不要、簡単になる)、
4)利用原料油の選択が広がる(高FFA油、水分がかなりあってもOK)、。。
などを行っても、反応は充分早く、反応転嫁率は99%+が常時実現できるとの事である。
攪拌力には及ばないものの、安価で簡単なスタティク・ミキサー、ベンチュリー管、エジェクターなどの攪拌器具を強力なポンプと組み合わせて使う例も多い。但し、充分反応促進効果を期待する為には、バッチ反応器なら使用ポンプ容量は、反応器容量をX(L)、ポンプ流量Y(L/分)とすると、X/Y=2~5程度は必要である。
尚、値段が比較的高い割合に効果が出ないのが、既製品のBDF装置の回転攪拌器であろう。
実は、我々も不満ながら、既製品を使っているので、このタイプである。
少しでも改善する為に、エマルジョン添加剤(?)などを使い、油とメタノールがよく混ざり、エマルジョンを形成するか、少なくとも混ざった状態が少しでも長く接触を継続する方法を考えている(結果的に、表面石比を高めることができ、反応は促進される)。
特別製エマルジョン化剤と装置をセットで販売している業者も海外ではある。
エマルジョン化剤、或いは補助剤は、少し考え、工夫すれば入手は簡単であり、自家製造もできる。
これにより反応促進効果が期待できる。
但し、秒単位では無理で、10分から20分程度の反応時間が「予想される。
我々の反応時間も2段反応で10+10分から15+15分程度にはなっている。
今回は、反応速度と攪拌の関係、攪拌により、如何に接触表面積を増やすか?、及びその技術手段を紹介した。
では、また。。。
Joe.H
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