Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)のLCA分析、軽油に比べてECOなの??

BiodieselバイオディーゼルBDF)が生み出すエネルギーなどの評価は、そのBDF製品が持っている(現状)価値で見る例が多いが、更にBDFが出来るるまで(過去)の費用やBDFを使った後の処理費(将来)のコストなども含めて、全体で捉えるべきであると言う考えがあります。いわゆるLCA(Life-Cycle Assessment)である。
 
LCAは、種々の分野で行われているが、Biodiesel(BDF)で本格的に議論され始めたのは、1998年頃からだと言われている。その後、いろいろ報告されているが、前提条件や仮定などの条件設定により、結論も異なったものとなる
 
以下に、紹介するのは、最近(と言っても昨年2009年9月)に、米国農務省(USDA)から公表されている大豆ベースのBDFのLCA分析結果である(  http://www.usda.gov/oce/reports/energy/ELCAofSoybeanBiodiesel91409.pdf)。米国なので、当然大豆油と言う事になる。ヨーロッパでは菜種油が利用が中心の為、菜種油のLCA分析も報告されている。
 
USDAの報告は、大豆油(新油)ベースのBDFと石油系軽油との比較分析である。大豆を生産する為には、種子(品種によって収量も変わる)を確保し、耕したり、肥料を与え、(防虫など)消毒をし、収穫し、油に絞って、それをBDF工場へ運び、更にエステル交換で出来たBDFを消費者の元へ移送しと、これら総て石油系エネルギーが必要である。
 
これらの計算には、膨大な計算とデータが必要であり、前提条件も多い。
種々の処理に必用なエネルギー効率は、それぞれの業界の最新平均値を使い、必用エネルギーは最終的にオイル換算されているると言う。
 
この報告の10年前の1998年頃の分析では、石油を1単位使う毎に、3.2単位のエネルギー価値のBDFが製造できると報告されている。
この値は、年々大豆の品種改良や機械類のエネルギー効率アップにより向上していると言う。
今回のLCA分析では、大豆から最終的にBDFを作るのに必用なの全エネルギーの4.56倍のBDFエネルギーができるとの報告である。1998年と比べ42%向上している。
尚、間接的なエネルギー、例えば工作機械の組み立てなど直接エネルギーに加えて、これらの材料の製造時のエネルギー量なども、更に考慮すると、数値は4.4に下がると言うが、それでも3.2に比べ大幅に向上した数値と言える。2015年の予想では、4.69まで上昇すると言う。
 
つまり、LCA分析結果では、石油を1単位直接使う変わりに、大豆を作りBDF経由で使えば、4.7倍のエネルギーが使える(或いは、21%のエネルギーで済む)と言う結論である。つまり石油をどんどん使って大豆を生産し、BDFを作ろう!と言うことになる。食料問題、大豆農地の有無や農地の砂漠化などは、勿論考慮されていない模様である。尚、大豆は、毎年同じ農地では耕作できない、他と輪作が必要である。
 
大豆生産を伸ばしたいUSDAが行った検討結果であるので、結論は当然予想された結果と言えなくも無いが、予想外の大きな数値(BDF利用の効果大)と言える。但し、詳細は不明であるが、使用エネルギーの内、風力など再生可能エネルギーはカウントしてないと言う。
 
新油ベースの大豆系BDFでこの数値であるので、我々が使っている廃油ベースBDFであれば、更に大きな数値になるのか、どうかは不明である。
上記大豆生産や油製造コストは除外できるし、廃食油の処理費なども除外できよう。但し、廃食油の集荷費、小型BDF設備の非効率性、グリセリン処理費、廃水処理費など新たな費用項目をカウントする必要があろう。
 
国内(川崎)で行われた最近の検討結果では、前提条件などは不明であるが、上記数値は1以下(石油投入エネルギーより、BDF発生エネルギーは少ない)と言う報告もある。
 
LCAでは、エネルギー的に投入石油エネルギーに対して、それ以上の+エネルギーが得られるか、否かであるが、ECOとは必ずしもエネルギー収支だけではない
 
人々の安全・健康面の考慮しかり、エネルギー政策のエキュリティー面、ECOする心、生活態度の変革(再生可能な資源を使う生活)なども考慮すべきである等と思っている人も、多いのではなかろうか、。。
 
では、また。。
Joe.H
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