BDFや廃油の最新価格はどうなっているのでしょうか??

原油の価格の価格上昇に伴い、ガソリンや軽油、それに廃油の価格も上昇しています。
 
日本はもとより、海外でも同様です。
同時に、再生可能エネルギーであるバイオディーゼル(BDF)やガソリンブレンド剤のエタノール(或いは、MTBE)価格なども同様です。
 
下記は、米農務省(USDA)が公表しているBDF、及び関連の原料油の価格動向データ(4月8日)です
この表の一部を纏めたデータが下記です。
 
ここで、我々が通常使っているBDF原料油の廃油は、米国ではYellow Greaseと呼ばれています。
但し、日本の廃油の品質より悪いです(高FFA)。
余談ですが、他に、BDF原料油としては、更に安価な高FFA油のBrown Greaseや牛脂(Tallow)などがあります。
最近のBDF業者は、これらの安価な原料油にシフトするとともに、高FFA油が処理できるエステル反応処理装置の導入も盛んです。
 
いずれにしても、この廃油価格が、1ガロン3.45ドルで、昨年の1.88ドルに比べで、84%も上昇しているとのことです。
 
1L当り(1ガロン=3.785L)、1ドル=85円で換算すると、現在の米国廃油価格は、77.48円となり、昨年は42.22円だった様です。他の原料油も換算できますが、新大豆油は現在96.12円、新コーン油は117.90円となります。
 
この高価格原料油から製造したBDF(Biodiesel)の現在の販売価格は、117.00円となり、昨年の71.86円に比べて63%上昇しています。
日本のBDF価格と大差ないよう様です(?)。場合によっては、日本より、米国のBDFの方が高いかもしれません。
 
一方、軽油Diesel Fuel)の現在価格は、表から89.38円となります。
つまりBDFの方が、1L当り27.62円、30%も高い値段です
 
BDFを販売されている方、少なくとも軽油価格と同じか、30%と言わないまでも、5%程度は高くしてほしいものです。
 
尚、日本での軽油価格は、現状1L当り120円程度だと思いますが、
米国に比べて高い!精製業者は儲けすぎ!
などと思うかもしれませんが、主な価格差は日本では軽油取引税(1L当り32円)であり、この分が価格に上乗せされています。これを補正すると、ほぼ同一の121.38円となります。
 
仮に、廃油は1Lで、BDF1Lが製造できたとしても、価格差は39.52円しかありません。
この価格差でメタノール費、触媒費の他、設備の償却費、人件費、電力費等を差し引くと、赤字になることは確実です。
 
実は、米国では、BDFの税金還付(TAX Credits)(1ガロン1$)が有ります(1L当り22.46円)。このクレジット額を加えると、上記価格差39.52円+22.46円=61.98円
時限立法で昨年10月で法律切れとなり、BDF業者は生産停止に追い込まれたが、本年1月から法律は復活している。
 
他に、米国にはRIN(Renewable Identification Nubmer) Credit制度が有ります。再生可能エネルギーの利用を推進する為に、設けられた制度です。
 
制度の概要は、登録済BDFの(製造)販売業者(ID番号を所有している)は、BDF製造量に応じ1ガロン毎に、連続番号を、EPA(日本の環境省)に対して発行します(ASTM規格を満たしているBDFであること等は、当然の前提条件)。
 
一方、米国のEPA基準により石油軽油の(製造)販売業者、ブレンド業者はバイオ燃料を混ぜる義務があります(現状は5%、一部では10%も)。その使用量に応じ、1ガロン毎にRIN Creditの番号(Serial Number)を購入することになります。
この番号を売る側(BDF製造)と買う側(軽油製造)側との間で売買関係が成立し、その仲介市場もあります。
 
価格は、時々刻々変る様ですが、現状は1ガロン1.42$程度の価格で、1L当り31.89円に相当します。
更に、この価格が追加されますので、BDFの製造費は、廃油価格を除いて、93.87円でまかなえば良いことになります。
 
つまり、米BDF製造業者は、Tax、Rin‐Credit制度の併用で、製品1ガロン当り、2.42ドル(1L当り54.35円)の補助があります。
日本のBDF製造業者は、軽油取引税の1L当り32円の補助金はなく、非課税扱です。
それにしても、補助金の差額は1L当り、22.35円も、米国とは差が生じています。
 
当然、BDFを大量に製造するためには、廃油100%は無理ですので、一部の新油も使わざるを得ないと思いますので、この費用の一部が充当されます。
 
一方、最近米国の個人BDF製造者は、近所のレストランで従来無料で集荷できた廃油が手に入り難くなっている様です。理由は廃油専門集荷業者が、次々とレストランから高値で廃油を引き取っていくからの様です。
従って、従来の様に廃油=無料と言う図式は、少なくとも米国では徐々に姿を消して行くのでは??
と思います。
米国の個人BDF製造者(Home Biodiesel Brewer)の情報では、無料で廃油をもらう為に、わざわざ頻繁にレストランに食事に言ったり、特別なコネを作ったりと言う苦労も有る様です。
人によっては、BDF製造量を減らしたり、或いは止めたり、一旦休む人も出てきている様です。
勿論、前述のTAX Incentiveなどの制度がなくなれば、商業生産者の廃油需要も減少し、価格も安くなるはずと思っている人もいる様です。
状況は良くわかりませんが、日本でもいずれ、類似のことが起きるのでしょうか??
或いは、日本も、既に同じ状況が起きているのでしょうか?
 
今回は、米国でのBDFや廃油の価格について紹介しました。
 
では、また。。。。。。
Joe.H
 
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