Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)反応の進展を転化率テストで確認しよう!!

今回は、Biodiesel(バイオディーゼルBDF)を製造を行い、その際実施したテストのうち、滴定法による酸価(AV)値の簡易転化率テストについて、今回は実例を用いて、紹介します。
 
先ずは、酸価(AV)値テストです。
方法は以前紹介したので、そこを参照下さい( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/4440816.html )。AV値は廃食油の状態と、それをグリセリン前処理した後の)値とを計りますした。
 
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上記写真に示す様に、AV=4.94(@KOH)でした。酸化が進んでいて、今回はあまり良い油ではありませんでした。
通常は酸価AV=4~5程度ですので、上限近くでした。
 
イメージ 2次の写真は、この油を前回生成のグリセリン前処理を実施した後の酸価値で、AV=3.85でした。グリセリン処理を行うと、グリセリン中の残アルカリの存在により、酸価(AV)値は低下します。
アルカリ触媒(NaOH)量を毎回厳密に滴定により計算して投入しているので、グリセリン中の余剰アルカリ分は、一般より少なくなっている様です。
グリセリン中の残アルカリ量が多ければ、極端な例では、AV=0近くまで落ちると言う人もいる様です。
いずれにしても、グリセリン前処理をした後で、メタノール+アルカリ触媒(NaOH)を投入して反応を行うので、前者(AV=4.94)ではなく、後者(AV=3.85)を基に、触媒量を計算します。
 
アルカリ触媒量は、油脂1Lあたりの触媒量をAV=3.85から求め、油の量(100L)をかければ求められす。グリセリン処理をすると、グリセリン中のメタノールやBDF,未反応油等が、原料油側に移ります。今回は9(L)増えて109(L)でしたが、触媒量計算は、100(L)をベース値とします。
 
次は、転化率テストです。
このエステル交換反応の転嫁率も以前説明済です( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/4143615.html )。
下の写真の左側は、反応開始前(T-1)、右はグリセリン前処理後(T-2)です。
廃食油(トリグリセリド)は、テスト溶液に不溶ですので、油サンプルは下側に全量沈殿(3mL)します。
グリセリン前処理を行うと、グリセリン中の残アルカリやメタノールで、一部反応などが起こります。
 
今回は、残アルカリが少ないので、少量しか反応が起きていない様ですが、約20%程度まで反応が進むと言う報告も、海外ではあります。この場合は、多量のグリセリン+過多の触媒が存在する場合だろうと思います。
 
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次の写真は、2段反応(Base/Base)1段反応時の転嫁率です。
 
1段反応の反応開始10分後の転嫁率(T-3)は中央です。同30分後が右側の状態です(T-4)。尚、左側(T-1)は、反応開始前の100%油脂の状態です。
写真から明らかな様に、BDF反応は、10分を過ぎると、後は反応時間を幾ら継続しても、殆どBDF反応は進行しないことを示しています。反応のメカニズムを知っていれば当然ですが、グリセリンによる逆反応が発生し、平衡状態になるるからです。
 
ですから、1段反応は10分で終了しても良い訳ですが、一応30分継続し、反応を停止し、20分程度静置後、簡単にグリセリンを抜きました(完全に抜く必用はない)。
 
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次は、2段反応です。
写真の右側は2段反応開始後5分(T-5)の状態です。比較の為に、1段反応30分(T-4)との比較です。
1段反応終了時のグリセリン除去により、逆反応が無くなり、2段反応は、急激に望ましいBDF反応側へと進行したことを示しています。実は、標準のテストで最早何も沈降しないので、、簡易テストはBDF反応が完全にに終了したことを示しています。
写真は転嫁率テストの強化版で行い確認済(T-5)のものです。
 
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安全サイドを考え、2段反応は15分行い、反応(T-6)を停止しました。下の写真の左はT-5(5分後)、右がT-6(15分後)です。T-6は、T-5より、更に強化版テストです。
 
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この様に、反応開始から終了まで、今回は6サンプルテスト(T-1~T-6)を行いました。
次の写真は、これらの纏めたものです。
左のT-1から順に、T-6までの6サンプルを一括で写しています。
 
この様に、簡易版(自家製)の転化率を行うことにより、どこで反応がどの程度進み、どこで反応がもはや進まないのか、いつ反応を停止すべきなど、BDF反応の工程管理が的確にできます。
 
外販の簡易転嫁率キットでも、これを6個使えば、同じ様な結果が出ると思います。
尚、この簡易分析法は測定温度の管理が特に重要です。真夏と真冬では、異なった結果になります。
昨日まで未反応があったものが、今日は急に暑くなったので、反応が進んだ??
見たいな事が有りますので、ご注意を!!!
 
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つまり、BDF反応は1段反応30分+2段反応15分=合計45分でしたが、反応転化率テストからは、1段反応10分+2段反応5分=計15分で完了することを示しています。
 
また、今回の総ての処理時間(原料投入、分析、2段反応、メタノール回収、タンク移送などを含めて)は、計4時間でした。
但し、Dry-Process処理は除く、後日行う予定です。
 
皆さんは、どの様にBDF反応を行っていますか??
反応時間の無駄が多くありませんか??
どの様な方法でも良いと思いますが、反応を確認なしでは、目を瞑って、歩く様なものです!!
 
尚、反応時間は、的確なアルカリ量、メタノール量(20%、必用なら減らせます)、反応温度(60度C)、攪拌などによっても変わりえますので、どの様な状態でも、反応時間は15分で充分と言うつもりはありません。個人個人で、最適値をお考え下さい。
 
では、また。。
Joe.H
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