BDFも良いけど、最近バイオ・ジェツト燃料が熱く多いに注目されています!!??

自動車用などのディーゼル・エンジン用のBDFを製造するにも、四苦八苦している状態で陸上を走る車でも、時にエンジン故障などで、エンジン・ストップさせ、車が動かない状況にしてしまうくらいですから、いわんや、空中を飛ぶ航空燃料の製造など、夢のまた夢かもしれません。
 
でも、今回は、航空機燃料、それもバイオ航空燃料(ジェツト、Bio-Aviation Fuel))製造の話題を紹介します。
 
車の場合は、燃料を」供給する側は熱心でも、燃料を消費する側(車メーカー、車の利用者)は、余り歓迎しない場合も多く、特に日本では、ミスマッチングの例も少なく無い様です
 
一方、航空燃料は、社会の要請からか、日頃空中に排気ガスを撒き散らしている負い目からか、各航空会社も、また航空機やジェツトエンジンを供給するメーカーもバイオ燃料化には熱心な様です。
民間航空会社は、JALをはじめ、KLM、BritishAirWay,Quantus、Virgin Air ,United航空など、殆どの有力航空会社は、実使用テストを実施済です。航空機メーカーボーイングをはじめ熱心です。加えて米国空軍も同様に熱心な様です。
 
特に、バイオ燃料関連の大企業や高技術(Hi-Tech)研究開発型企業では、最近の話題はバイオ燃料=バイオ航空燃料(BioFuels)であり、最早、バイオ燃料≠自動車用などディーゼル燃料(BioDiesel=ではないと言う意味)と言う状態です
 
 
特に、バイオ大企業や石油系企業のバイオ燃料は、完全に航空燃料化を総て、或いは、一部で取り入れています。
理由は幾つかあります。
 
・BDFに比べて製品の採算性が良い
・競合相手が少ない(中小規模の企業では、技術的に手が出せない、石油精製などの水素源が無い)
・分解ガスの精製や処理施設が必用となる(LPGガスなど)、この技術、資本もない(石油企業とJV、石油企業の出資)
・BDFでは、使えなかった様な低価格原料(固形油脂、固形パーム残渣等)でも、航空燃料では使える(採算上有利)
・既存の石油精製設備の殆ど、石油と共用できる(石油企業の直接バイオ分野進出、JV化、子会社化)
等があります。
 
最近稼動したSingaporeのNesteOilの世界最大と言う80万トンのバイオプラントもなども、航空燃料を目的としたタイプです。
 
ここでは、最早、BDF反応の様に、油脂(トリグリセリド)+メタノールを触媒(アルカリ触媒、固体触媒)を使って、エステル交換反応を行いBDF(脂肪酸メタノールエステル:FAME)+グリセリンと言う反応の構図はありません。
 
多くのプロセスは、分解法です。
バイオ原料油脂を、常温で液体であれ、固体であれ触媒を使って(無触媒も)、水蒸気、或いは水素ガスを加えて一気に熱分解をしてしまいます。触媒を使う石油の接触分解装置(FCC)などと同じ様な方法です。或いは、無触媒のナフサ分解装置(エチレンプラント)と同じです。
 
いずれにしても、この様な装置を使えば、水素ガス、LPG,ガソリン分(ナフサ)、灯油分(ジェット燃料、JP-4,8)、軽油分(ディーゼル燃料)、それに重油分まで、あらゆる種類の炭化水素化合物が生成します。
触媒や運転条件(温度、圧力)を航空燃料なら、この製品が最大となる運転条件に設定するだけです。最終製品は、これらを順次、蒸留法などで分離し、必用な航空燃料と、他の個々の製品に分ける事になります。これは、正に石油精製、石油化学工場の業務で、総ての装置類と必要なューティリティ(スチーム、H2ガスなど)も備わっている状況です。
 
この様に、Bio燃料設備と言っても、内容は石油精製、石油化学プラントですから、大規模化、多額の設備投資(1000億~5000億円)と高度な技術ノウハウが必用になります。当然、新興のバイオ企業単独では相手になりません。
 
そこで、Bio企業は、反応の一部だけ、石油、石油化学会社の工場に隣接地域で行い、必用なユーティリティの供給を受けたり、或いは、Bio燃料(航空燃料やディーゼル燃料)以外の処理は、石油精製、石油化学側にゆだねないと、ビジネスが成立しません。
つまり、コンビナートの一員となり、お互いに運命共同体化します。
 
相手が大企業ですから、石油/石化系企業、或いは有力大規模バイオ企業、或いは高技術j企業と言った一握りの企業しか、この分野は扱えません。BDFも、エステル化法、エステル交換反応法ではなく、分解法を行う場合も同様です。運転条件を変えれば、BDFも、ジェツト燃料も両者製造できてしまいます。
 
さて前置きがいつもの様に長くなりましたが
航空機燃料を、それも大企業でなくとも、中(小)規模企業でも作れる方法は無いのでしょうか??
 
今回紹介する方法は、いわばBDF法と(熱、触媒)分解法との中間的な方法の紹介です。
勿論、資金も、技術も無い個人(或いは、小規模製造者)は無理です。
 
でもそのうち、米国内なら現れる可能性もあります
資金も、技術もある個人は、かなりいますし、個人でジェット機を所有しているマイ・ジェット機派も、勿論かなりいますので、更に(軽)エンジン飛行機なら何万人にもいるはずです。。。。。
 
今回は、最近の下記記事の紹介です。
 
Avjet Biotech Incと言う会社の技術です(他にも、バイオ航空機燃料会社はいろいろあります)。
彼らは、ノースカロリナ州立大(North Carolina State University)から技術提供を受けた注目のバイオ航空燃料のベンチャー企業です。
 
①先ず油脂(固体、液体、廃油どの様なあらゆる油脂)を高温水でエステル加水分解する。
つまり油脂(トリグリセリド)+3(温水、H2O)⇒3(FFA;脂肪酸)+グリセリン
上記の反応は、BDFの製造で、メタノールを使う換わりに、水を使うだけで、類似です。
グリセリンが副生し、分離するのもBDFと同じです。
低品質油の高FFA油なら、上記の反応は不要になります。既に、FFAができているわけですので。。。
彼らは、高温水を使い、無触媒で行う様ですが、触媒(酵素、酸触媒)を使ってもできます。いずれにしても、エステル分解までは、BDF製造経験者なら誰でもできます。
 
②次に、遊離脂肪酸のCH3(CH2)n-COOHからCO2を炭酸ガスとして、除去し、Hー(CH2)nーHと言う炭化水素を作る様です。
式で書くと簡単で、
 CH3(CH2)んーCOOH⇒H-(CH2)n-H+CO2
となります。勿論、何の触媒かは不明ですが、触媒を使ってです。この手法が全体の鍵を握っています。この段階まで安価に、確実にできれば、後は、既存石油会社に委託生産も可能だと思います。
理由は、これ以降は石油精製の既存設備で対応できるからです。少なくとも分子構造からは、石油系の炭化水素か、バイオ系かは区別がつきません。単に炭化水素です。
 
③更に、上記のー(CH2)n-の中に不飽和部分があれば、そこは、-(CH)=(CH)-と言う2重結合ができていることになります。
ここは、酸化の問題などから、水素を添加し、総て飽和炭化水素します。
これで、飽和炭化水素脂肪酸ではありません)となります。但し、これでは、航空機燃料には、必ずしもなりません。
 
④航空機燃料の仕様(規格、Spec.)にあわせる様に、異性化などを行います。これも石油精製の得意な技術で触媒異性化装置があります。現に航空燃料もこれで、製造しています。
 
。。。と言うことですので、この方法は油脂を直接分解しないので、グリセリンが副生します。
直接分解法に比べるとややヤボな方法ですが、代わりに石油の様に大規模化で無くとも、中規模プラントでも充分採算的に可能ということです。
 
因みに、Avjet Biotech Incでは,年産10MMGPY(年産3.8万トン)のプラントを計画中と言うことです。
この規模だとBDF工場でも中の下の規模のプラントです。日産11.5万L(115KL),毎時4800L程度ですので、4~5億円程度で、米国では建設可能と思われます。
米国空軍とのジェツト燃料の取引交渉も進展している様です。
 
この程度なら、個人でも資金は出せますし、前述の自前のバイオ燃料を使った自家ジェツト機も、恐らく3~4年後に現れると思います。
 
勿論、資金であれば、日本国内にも居ると思いますが、自家燃料、それもジェツト燃料を製造して、かつ自家用ジェツト機の所有者となると、恐らくいないのではないでしょうか?
 
今後先進的なBDF製造者(企業)は、いつまでたっても増えないわが国のディーゼル車、ディーゼルエンジン対応のBDFではなく、いっそ航空燃料を作ると言う人、企業が出てくる事を希望します。
 
米国では、航空燃料を作っているバイオ技術企業も近々、上場すると言う状況ですので、せめて米国の5年遅れぐらいで、日本のバイオ企業(個人)も頑張ってほしいと願っています
 
米農務省(USDA)の肝いりでCamelina( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/9179275.html ) の栽培とこれを使ってAltAir Fuelsと言う会社が航空燃料の製造プラントを計画されています。プロセス技術は不明です
Camelina(ぺんぺん草、春の7草)は、荒地でも良く育つので(また、他穀物輪作物として)、最近米国で急激に新世代のバイオ燃料用に栽培が増えています(Montana,Washington,California等の州で)。
Camelinaの特徴は、上記Blogを参照ください。冬季特性は優れものですが、これだけでは航空燃料対応は無理です。http://t1.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcQ1Y5MZVdLPFnrJbe7H2jK5fKzmzxQ1XZTm6YFR53ccpSaQ5CEaIg
 
他にも藻( Algae)を利用したバイオ航空燃料( http://biomasshub.com/novel-intel-algal-aviation-biofuels-takes-flight/ )もあります。
とにかく研究のスピード、それを実用化するスピードが桁違い(此方も最低でも10倍)に速いのが、米国です。
バイオ航空燃料では、藻の利用が注目されています。
 
例えば、既に上場済企業も多く、バイオ燃料の超有力企業群です。
等の企業があります。
 
今回は、航空機(ジェツト)燃料の最先端の話題を紹介しました。 
では、また。。。。
Joe.H
 
追伸)
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