これもバイオディーゼル(BDF)滴定の基礎、残留アルカリ量が計算できますか???

バイオディーゼル(BDF)反応が終了した後に、残留アルカリ触媒があれば、中和など処理が必用です。
 
勿論、残留アルカリ成分の多くは、グリセリン側に溶解し、分離されますが、BDF内にも残留します。
事実、pHを測定すれば、すぐ分かります。
 
残留触媒を残したまま、反応後の処理、メタノール回収除去や脱水・乾燥工程を行えば、即エステル交換反応が起きてしまいます(生成BDFが、油、グリセリド類に戻る)。
残留アルカリは、BDF製品内に残れば、BDFの品質規格も合致できませんし、エンジン・トラブルも起きてしまいます。。
 
そこで、今回のテーマは、BDF内の残留アルカリ触媒量が計算出来ますか??
と言うテーマです。
 
等の測定と同様に、
BDF製造に於ける基本的な測定項目だと思います。
滴定ピペットも必需品です。
 
この残留アルカリ分の計算法もいろいろ考えられますが、ここで紹介するのは、簡単で正確な滴定法とその後計算で求める方法です。
 
滴定法による方法は、石鹸分や酸価値を求める方法と類似で、誰でも簡単に測定可能です。
 
1)まずサンプルBDFを、例えば10g程度測定し、ガラス容器にいれます(W).
 
2)例えば、次に溶剤としてイソプロピルアルコールIPA)をBDFサンプルの6~10倍の量投入します。
 
3)次に、中和判定試薬、例えば、フェノールフタレイン溶液を数滴投入します。
サンプルが残留アルカリがあれば、液色がピンク色に変わります。
 
4)0.01N塩酸で滴定を行い、色が消えるまでの滴定量を求めます(A;mL)。
色が消える=中和=アルカリと酸が完全に中和し、塩(NaCL、KCL)が出来た状態
 
5)残留アルカリ量(C;PPM)は次の式で計算できます。
C=A x 561/ W          (1)
上記は、反応に使ったアルカリ触媒が苛性カリ(KOH)の例ですが、苛性ソーダなら400となります。
例として、苛性カリを使ったBDFサンプルの滴定操作(上記1)~4)を行う)で、W=10g、滴定量5mLの場合は、1式より
C=5x561/10=280PPM               (2)
となります。
但し、残留アルカリ量(滴定量は、メトキシドに溶解させるアルカリ量や反応条件、グリセリン分離操作等により大幅に変わりますので、ご注意ください。
 
6)いま、100Lのバッチであれば、残留アルカリ量(KOH, g)は下記となります。
KOH(g)=100(L)x880(g/L)x280(ppm)/1、000、000=24.64(g)   (3)
残留苛性ソーダ量(NaOH)であれば、同様に、C=200PPM、NaOH(g)=17.6(g)
となります。
 
7)従って、この残留アルカリ量を中和する量の酸(例えば、塩酸)を投入すれば良いことになります。
上記の例では、KOHのモル数は、24.64/56.1=0.44モルとなり、塩酸を0.44モル投入すれば、中和できて、pHは7となります(塩成分は、KCL)。
但し、この塩成分は必ず最終BDF製品までの工程で、適当な方法で除去必用です。
 
8)一般に塩酸濃度は製品によって、濃度は異なります。
濃塩酸でも25~35重量%程度ですので、具体的な濃塩酸の投入量(モル換算)(0.44モルを含んだ塩酸)が必用です。
例えば、12モル濃度の濃塩酸であれば、36.7mL程度となります。
BDF反応直後であれば、濃塩酸量が5~10倍も投入が必要な場合もあります。
前述の滴定を正確に行う必要があります。
滴定の精度向上の為には、複数回の分析も必用です。
 
以上、祖BDFの残留アルカリ量の滴定法での求め方とこの残留アルカリ量を中和する必要塩酸量を紹介しました。
 
では、また。。。。
Joe.H
 
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