バイオディーゼル(BDF)固体酵素触媒を使った小型反応器の設計例の紹介です!!

本年新春特別企画として、最初で最後の小型BDF製造者向け固体酵素触媒の原価販売を行い、多くの方のご希望を頂きました。ありがとございました。
 
本年が、固体触媒利用元年になることは確実です。
 
既に、酵素触媒は、触媒開発元に発注済ですが、4月中下旬頃には、手元に届く予定です。
 
本格的な連続BDF装置CoolProcess(CP)® の例は、これまで幾つか紹介しましたが、…
 
 
 
何れも、日産15,000L以上と言うことで、我が国の大多数のBDF製造者、或はこれからBDFを製造したいと言う方々の規模も、予算も超える状況です
 
そこで、新春特別企画として、少量の酵素触媒(10kg以上)を、それも大量購入価格、かつ原価で提供すると言う企画でした。
 
目的は、酵素固体触媒(Modified Immobilized Enzymatic Catalyst)ベースBDF装置・製品の早期国内普及キャンペーンです!!
 
我が国も何時までも研究レベル、実験室レベルの実験は、卒業しましょう!!
誰でも、簡単に酵素触媒、固体触媒を使ったBDF生産ができる時代に既に到達しています。
 
お陰様で、10人近く共同購入と言うカタチで、纏めて触媒を発注できました(300kg)。
 
現在、この最先端の固体酵素触媒は、計画中を含め、世界中で7ヶ国であり、1ヵ国当たりは1~2ヶ所の導入例です。
 
今回、購入された固体触媒を使った装置が全て(或は大多数)稼働開始すれば、、本年5~6月頃までには、規模は別にして
 
導入サイト数で言えば、我が国が確実に酵素固体触媒を最も数多く使っている国、普及している国となる筈です
 
今回は、主に今回、触媒購入者向けの情報として、小型バッチ方式のBDF反応器の設計例、或は、変更・追加例を紹介します。
 
1)標準アルカリ法バッチ装置、及びその改造法
 
下記の左側の略図は、通常使われている攪拌羽根方式(Brade Type Mixer)のアルカリ方式の装置例です。
規模は、一般に50~400L程度まで販売されています。更に規模の大きな500~1000L程度の装置も、自作・特注ではある様ですが、数は極く少ないと思われます。 何れにしても国内BDF販売業者の量産製品は、ほぼ100%この方式です。
 
同様に、右側の略図は、主に海外で使われている小型の循環方式(Circulation Type Mixer)のアルカリ反応器の例です。
規模は、100L~800L程度の規模が殆どですか、更に大型タイプ2000L以上ももあります。
 
両者の長所・短所は別として、アルカリ方式から固体酵素方式に変更する場合は、概略図の様に、タンク槽の底部に金網(70~100メッシュ)、及び、強度補強をするだけで、酵素触媒反応器として生まれ変わります
 
この工事が簡単に行える場合は、殆ど費用は掛かりません。最も安価な方式となります。
勿論、この様な装置を新設しても構いませんが。。。。
 
 
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2) 既存装置に補助機器を追加する方法
国内で出回っているバッチ装置(上記添付の左側)に金網、及び補強工事が不可能な場合もあります
特に上部開口部が狭い場合、金網の設置工事は簡単ではありません。
勿論、装置の横腹などを切断すれば、可能となりますが、。。。。。
費用や復旧工事も大変だと思います。
 
この様な場合は、下記の追加機器がお薦めです。
触媒を充填する小型充填塔(上下に金網・サポート付)を設置して、ポンプで循環するだけ完成です。
より反応速度を向上する為に、油とメタノールの混合促進が必要となります。
Static-Mixerの設置がお薦めです。
 
但し、Static-Mixerは、アルカリ法でも、この固体酵素法でも同じ様に効果を発揮しますが、見よう見まねで、ただ設置するだけでは、殆ど効果はありません。実例も見ています。
ミキサーの選択、サイズ、エレメント数、そしてポンプ流量の最適化が不可欠です。
詳細は企業秘密です。
 
下記の概略図の装置を2セットあれば、2段反応の各段反応用としてを個々に専用化でき、効率的なBDF生産が可能です(但し、触媒も2倍必要です)。
既存バッチ反応器を2セット(或はそれ以上)保有されている方にはお薦めです。
 
更に、BDF・グリセリン分離槽を、別と設置すれば、更に生産量増となり、ほぼ連続プロセス近似となります。
 
国内で出回っている代表的なバッチ・サイズの参考までに概略設計例を示してあります。詳細は各ケースで詳細検討が必用です。
 
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3)固体酵素触媒反応器を新設する場合
下記の概略図は、固体酵素触媒用小型バッチ装置の設計例です。
基本的な考え方は、循環方式反応器(Circulation Type Reactor)です
 
この例でも、代表的なバッチ容量の設計例を示してあります。
特徴は、高温のヒーター部が、熱に弱い酵素触媒と直接接触しない構造と廃グリセリンで触媒が汚れるのを防ぐ構造となっています。
攪拌(Mixing)効果をあげるために、Static-Mixer,Tank-Eductorなどを導入した例です。
 
このケースでは、1セットで高転化率2段反応が可能となり、多少生産量は犠牲にしても、購入触媒量をできるだけ少なくし、製作費用を削減する設計例です。グリセリン分離もこのタンク底部で行います。
 
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4)酵素触媒用2槽式反応器 
下記の概略図は、3)の1セットの反応器(Reactor)に加えて、専用のBDF・グリセリン分離槽(Separator)を設けた例です。3)に比べて同じ酵素触媒で生産量が30~40%程度向上します。
また、同様に2段反応による高転化率反応が可能です。
 
 
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以上、4例の酵素触媒を使った反応器、グリセリン分離器の設計例(既存設備の改造、或は新設)例を示しました。
 
今回の購入者の殆どは、上記のどれかが使える筈です。
これらを組み合わせも可能ですので、個々の状況により最適な組み合わせができます。
装置費用、生産能力、購入触媒量などを勘案して、決定されることをお薦めします。
 
因みに、今回の購入者では、最大で、200Lのバッチタイプ、2セット、或は400Lのバッチタイプ、1セット、及び同じく100Lバッチ、2セット、或は1セットタイプが主だと想定しています。
 
上記の他に、BDF製品化の為には、メタノール回収・脱水乾燥工程は少なくとも必用です。
既存装置に、これら機能付であれば、そのまま利用できます。
無い場合は、新設の場合は、この対策が別途必用です。
 
更に、
1)BDF製品の酸価(FFA)を完全に規格値以内にする為には、別の固体酵素触媒(充填塔)追加必用です(残留FFA分のエステル反応)、或いは、勘弁法として残留FFA用吸着剤、アルカリ処理などのFFA値低下処理必用です。
2)既存BDF蒸留装置があれば、或は新設する予算があれば、より高純度BDFが製造できます。
蒸留装置の無い場合、或は予算が厳しければ、アルカリ法のドライ精製処理装置を多少工夫することで、対応できると思います。何れにしても、石鹸分が生成しないので、BDF精製処理は比較的簡単です。
 
。。。。と言うことで、今回は酵素触媒を使った小型バッチ反応装置の設計例の概要を紹介しました
 
既存BDF装置を上手に転用(Retro-Fitting)すれば、触媒費用の他には、費用は余り掛かりません。
例え、新設のケースでも簡単に、アルカリ法と比べて、より安価にできます
 
何か、ご質問があれば、下記にお問い合わせください!
 
では、また。。。。
Joe.H
 
追伸ー1)
同じ酵素触媒を使った小型BDF装置も一部では販売されようとしています。
下記がその例ですが、この会社の社長とも、酵素触媒の開発元であいました。彼らはヨーロッパ、中国、米国で営業活動をしています。
そして日本でもビジネスができないかと思っている様です。
 
特徴は、販売不可能なカス油脂原料(菜種、大豆など)の生産できる農家向けに1台設置すれば、車両や農機具のBDF供給が、電力を使わず出来ますと言うことです。
 
コンテナー積なので移動も可能ですし、発電機もあり外部電力も不要と言うことです。
BDFは毎日250L程度生産できると言うことですが、高めで価格は15~20万ユーロ(1,650~2,200万円)もしますので、日本で普及するか疑問ですが、…
 
 興味のある方は、。。。。
 
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追伸2
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