バイオディーゼル(BDF)の反応蒸留法とそのフローの紹介です!!

以前に、Static-Mixerを使ったバイオディーゼル(BDF)の連続製造プロセス方式の概要は下記で、その全体フローを紹介しました。
 
BDF製造工程は、一般に前処理、反応、グリセリン分離、メタノール回収、及び精製工程と言う各工程を順に行うのが、バッチ方式でも、連続方式でも通常の処理法です。
 
前回紹介した手法は、上記の反応及びグリセリン分離工程を同時に1工程で行う方法を紹介しました。
但し、(超)高転化率を狙った2段階アルカリ法ですので、この工程を2度繰り返すことになります。
 
今回,紹介する方法は、エステル交換反応とメタノール回収を連続的な1工程で行う方法の紹介です。
 
イメージ 1手法的には、英語では Reactive Distillation(反応蒸留) と言われる方法です。一般に、可逆反応(例、エステル交換反応)の平衡関係が存在する系で採用される方法です。
 
上記のフローに示す様に、やはりポンプで昇圧した油とメトキシド(メタノール+アルカリ触媒)は、同様に混合器Static-Mixerを便宜上使用)を経て、サブリアクター(SR)、続いて反応蒸留塔(RDT)の中段へ混合液は入ります。
 
通常は、油を余熱する必要が有りますが、この廃食油(WVO)は、グリセリン前処理(GPT)などで、既に充分な温度(60℃程度)であると言う前提ですので、省略して有ります。また、WVOの前処理から連続処理なら、ポンプも不要ですが、ここではポンプ付のフローで仕上げてあります。
 
この塔は蒸留塔(シーブトレイなど)であり、塔底部にはリボイラー、塔頂部にはコンデンサー(凝縮器)が付いた通常の蒸留塔を現しています。
但し、蒸留塔は一般にコストも高いので、充填剤(ラシヒリング、サドルなど)を充填しただけの廉価版充填塔(ドライプロセス用タワーの転用でも構わないと思います。
 
つまり、リボイラーの加熱により塔頂部からメタノールが回収され、回収メタノールリサイクルされ、再利用されます。
 
塔低部からは、メタノールが除去されたBDFとグリセリン混合液が留出してきます。混合から塔底に留出するまでの間に、エステル交換反応は進行し完結することになります。
特に、塔底に近づくに従い高温になり反応速度も上昇しますが、徐々にメタノール濃度も連続的に低下しますので、最終的には反応は停止します。更に、ある程度加圧下で、或いは還流(Reflux)を増やせば、反応性は更に増します。
 
この脱メタノール状態のBDF・グリセリン溶液は、次のセパレーター(分離機)で、グリセリンは塔底から、BDFは塔頂から出てきます。
メタノールが含まれていない為、この分離は高速、かつより完全に行われます。
更に、この分離をより小さい容器で、高速に行う為には、フローに示す様にCoalescer技術を使えば、より完璧だと思います。
 
或いは、工夫すれば、セパレーター機能も、反応・メタノール回収工程に含めて1段で完結する可能性もあります。特にアルカリ2段目の反応工程に対しての代替案の可能性は多いにあります。
 
加えて、このフロー図は、1段反応フローとして仕上げてありますが、この方式でもアルカリ2段法も,一寸工夫をすれば可能です。
但し、本手法は、反応と同時にメタノール除去をしてしまいますので、通常は以前報告の反応・分離手法(上記Blog記事参照)の2段目反応+メタノール回収工程代替案が好ましいと考えます。これにより更に、反応速度が速くなる筈ですので、。。。
以前、極く簡単に紹介した、バッチ方式で常時実施しているWBD法(whole Batch Demethanol)は、実はこの方式とほぼ同一で、連続方式でも、バッチ方式でもどちらでも利用可能な高速化の技術手法です。
 
今回は、蒸留塔を使い反応とメタノール回収を1工程で行う方法を紹介しました。
蒸留操作を使う場合、過去は精製工程での利用が殆どでしたが、ここで反応とメタノール回収の同時工程での利用例です。
 
この方式は、今回紹介するフローとは多少異なりますが、海外でも類似の報告事例はあります。特に、高速反応と高転化率が注目されている手法の一つです。
但し、日本では、この方法も殆ど存在しないと思います。
 
この方式も、前回紹介済の方法と同様に、イオン交換樹脂など標準的なドライ・プロセス用の塔類がほぼそのまま使えるので、設備費が安価となります。
 
このプロセスの前段のグリセリン前処理、後段の精製工程などは、以前紹介した方法と全く同一で、この部分を、全体フローの一部として埋め込むことができます。
 
この手法も一つの高速反応・メタノール回収と言う要素技法となりえます。
 
これ以上の詳細設計仕様は、一般公開はしていません。
 
エコな(超)高転化率BDF装置をお考えでしたら、直接お問い合わせ下さい。
 
本方法も、(超)高転化率に加え、他のプロセスより低設備投資で、コンパクト、かつエネルギー的にも効率的プロセスであろうと思います。
また、使用メタノール量の最も少ない手法でもあります。通常の使用量の30~40%は減少可能とも言われています。商業目的でのBDF生産では、特に重要です。
 
ご参考までに。。
では、また。。。。
 
Joe.H
 
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