売電ビジネスは、原料問題、装置選択,そして採算性が重要です!!

 今回は、バイオマスガス化発電による固定買取制度(FIT)はを利用した売電事業(ビジネス)を考慮中の方向けに、採算性の概略を紹介します
 
民間ビジネスなら、何のバイオマス原料を使い、どの様なプロセス,価格の製品を使えば、どの程度の採算性が期待できるかの確認は必要であり、これなしでは実現売電ビジネスの継続は不可能です。
採算性と言っても、原料の種類と入手価格、ガス化発電の規模、製造メーカーや方式,更にはその設置環境によって、採算性は、多いに変わります。
 
下記は、1例題に過ぎず、実際の販売価格を意味してる訳ではありません。
ご注意下さい
具体的には、個々のケースで充分な検討が必要です。
 
前提の発電規模は,当方で扱っている2000KW(2MW)、方式はガス化発電・ガスエンジン発電方式です。
価格性能比が最も優れる(と思われる)当方お薦めの下記Blogで紹介済の製品を使った例です。
ガス化装置:
ガスエンジン発電機:
 
バイオマス原料は、国内間伐材(32円/KWh),輸入バイオマス(PKS、24円/KWh)、そして国内固系ゴミMSW(RDF,RPF,17円/KWh)の3種類の採算性比較です。
更に、安価な木材廃材(13円/KWh)もあり得ますが、ここでは紙面の都合で省略します。
 
通常、ガス化装置は、不純物を含んだMSW(RDF/RPF)用のガス化装置は、クリーンなバイオマス専用装置より,高価ですが、前提の装置なら、どちらでも使え、同じ金額です。
 
間伐材は、水分除去の乾燥装置等の設備費を別と計上しています。
 
1例として、下記の表を参照ください。
 
各種バイオマス原料によるによるガス化・売電ビジネス採算性(2MW)


       

国内間伐材 輸入(PKS) 国内RPF/RDF
 項         目  金 額 (円)  金 額 (円)  金 額 (円)
全投資金額(合計) 851,400,000 640,200,000 640,200,000
発電設備能力(2000KW) 2,000 2,000 2,000
ガス化・ガス精製装置(@11万円/KW) 220,000,000 220,000,000 220,000,000
ガスエンジン・発電装置(@12万円/KW) 240,000,000 240,000,000 240,000,000
系統接続費 25,000,000 25,000,000 25,000,000
原料前処理設備(乾燥、チップ化等@8万円/KW) 160,000,000    
土建、建屋、原料サイロ、他(@設備費の20%) 129,000,000 97,000,000 97,000,000
設計費、他(@10%) 77,400,000 58,200,000 58,200,000
       
バイオマス原料エネルギー(Kcal/Kg) 2,500 4,800 5,000
          必要量(㌧/年) 18,844 9,815 9,422
原料費(円/トン) 14,000 11,000 4,000
売電価格(FIT,円/KWh) 32 24 17
総発電量(KWh/年) 16,000,000 16,000,000 16,000,000
内部消費電力(KWh/年) 880,000 240,000 240,000
       
投資採算性(円、年間当たり)  金 額(円/年)  金 額(円/年)  金 額(円/年)
電力売上額 483,840,000 378,240,000 267,920,000
原料費 -263,822,222 -107,962,963 -37,688,889
償却費(15年均一) -56,760,000 -42,680,000 -42,680,000
人件費(2人x4シフト,日勤4人,@350万円/年) -56,000,000 -42,000,000 -42,000,000
保守費(3%@設備費) -25,542,000 -19,206,000 -19,206,000
保険料(売上@0.5%) -1,100,089 -1,351,385 -1,151,156
管理費(売上@2%) -9,676,800 -7,564,800 -5,358,400
       
税引前利益(円/年) 70,938,889 157,474,852 119,835,556
フリーキャッシュフロー(円/年) 127,698,889 200,154,852 162,515,556
投資回収(年) 6.67 3.20 3.94
投資利回り(%@税引前利益/総投資額) 8.3 24.6 18.7
       
Note:      
1)本体等設備費は、現状の概算価格で、消費税なし      
尚、ガス化装置はOEM製品(インド)、ガスエンジン(中国製)、発電機(ドイツ製)です      
2)原料の種類等により、投資額、収率の他、原料確保の難易度/価格、採算性等は変ります      
3)チップ化、乾燥工程の1人/シフト(4人)追加      
 
     
 
例に示した前提条件下では、いずれの原料のケースでも採算は取れそうです。
但し、必ずしも,間伐材が例え、FIT価格が高くても、採算性が良いわけではありません。
この例では、輸入PKSが1番、廃棄物(RDF/RPF)がその次に採算性が良くて,間伐材は最後の3番目となります。
加えて,間伐材は長期的に原料の確保が困難か、大変だと思われます。
 
同様に、PKS等の輸入バイオマス原料は、見掛上は有利でも、将来とも安定的に、かつ有利な価格で入手できるか保証はありません。海外からの輸入は、カントリー・リスクがあり得ます。
 
 
一方、廃棄物は、国産バイオマス素材であり、種類も,量的にも豊富です。これ以外の農業廃棄物、廃タイヤ、家畜糞等の廃棄物も含め、豊富にある場合が多いと思います。むしろ処分に困っている状況です。
 
尚、ここで、お薦めのガス化装置なら、将来とも特定の原料に固定する必要はありません。将来変更も可能です
 
この例では、いずれのケースでも採算性が優れている理由は、装置価格の安さ,プロジェクト費用の安さ(妥当性)にあります。国産の装置なら、最低でも、この2-3倍はします。試しに、見積を取られるのも一考です。」
 
そこで、下記の例は、国産、或いは欧米製のガス化発電装置価格を2.5倍と仮定した採算性です。
これより、高額となりうると思いますが、一応、2.5倍での採算性です。他の条件は、前者と同じです。
乾燥装置価格も変わると思いますが,ここでは変えていません。
同様に、ガスエンジンの発電効率も、中国製より欧米,国産製なら発電効率も10%前後向上(,或いは,10%前後、原料が削減) 出来ますが、この例では同じ発電効率としています。
 
各種バイオマス原料によるによるガス化・売電ビジネス採算性(2MW)


       

国内間伐材 輸入(PKS) 国内RPF/RDF
 項         目  金 額 (円)  金 額 (円)  金 額 (円)
全投資金額(合計) 1,762,200,000 1,551,000,000 1,551,000,000
発電設備能力(2000KW) 2,000 2,000 2,000
ガス化・ガス精製装置(@11x2.5万円/KW) 550,000,000 550,000,000 550,000,000
ガスエンジン・発電装置(@12x2.5万円/KW) 600,000,000 600,000,000 600,000,000
系統接続費 25,000,000 25,000,000 25,000,000
原料前処理設備(乾燥、チップ化等@8万円/KW) 160,000,000    
土建、建屋、原料サイロ、他(@設備費の20%) 267,000,000 235,000,000 235,000,000
設計費、他(@10%) 160,200,000 141,000,000 141,000,000
       
バイオマス原料エネルギー(Kcal/Kg) 2,500 4,800 5,000
          必要量(㌧/年) 18,844 9,815 9,422
原料費(円/トン) 14,000 11,000 4,000
売電価格(FIT,円/KWh) 32 24 17
総発電量(KWh/年) 16,000,000 16,000,000 16,000,000
内部消費電力(KWh/年) 880,000 240,000 240,000
       
投資採算性(円、年間当たり)  金 額(円/年)  金 額(円/年)  金 額(円/年)
電力売上額 483,840,000 378,240,000 267,920,000
原料費 -263,822,222 -107,962,963 -37,688,889
償却費(15年均一) -117,480,000 -103,400,000 -103,400,000
人件費(2人x4シフト,日勤4人,@350万円/年) -56,000,000 -42,000,000 -42,000,000
保守費(3%@設備費) -52,866,000 -46,530,000 -46,530,000
保険料(売上@0.5%) -1,100,089 -1,351,385 -1,151,156
管理費(売上@2%) -9,676,800 -7,564,800 -5,358,400
       
税引前利益(円/年) -17,105,111 69,430,852 31,791,556
フリーキャッシュフロー(円/年) 100,374,889 172,830,852 135,191,556
投資回収(年) 17.56 8.97 11.47
投資利回り(%@税引前利益/総投資額) -1.0 4.5 2.0
       
Note:      
1)本体等設備費は、現状の概算価格で、消費税なし      
尚、ガス化発電装置は,国産、欧米製です      
2)原料の種類等により、投資額、収率の他、原料確保の難易度/価格、採算性等は変ります      
3)チップ化、乾燥工程の1人/シフト(4人)追加      
 
上記表から解るように、間伐材では,年間1700万円の赤字ですし、PKSやMSW/RDFの場合,利益は少額となります。 これでは、実施は危ぶまれるか、更に詳細な採算性の再検討も必要です。
 
。。。と言うことで、
今回は、最近、注目のバイオマスガス化発電について、主に原料の違い、及び装置価格の違いによる採算性への影響を紹介しました。
ご自身の計画,環境に合った前提条件下の採算性をご検討いただければと思います
 
では、また。。。
Joe.H

追伸)
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