中大型のゴミ(MSW/RDF)廃棄物,木質バイオマス・ガス化発電装置のOEM開発製造元の訪問,デモ運転の紹介記事です!!

今回は、先週2月4日から8日迄、当方のガス化発電装置のOEM製造元であり、当方が販売代理店でもあるインドの高性能ガス化装置のデモプラントを打ち合わせを兼ねて見てきましたので、その概略を写真で紹介します

半流動循環機能付アップ・ドラフト型ガス化装置(Semi-Fluidized Circulating Bed Up-Draft Gasifier) と呼んでいる高性能ガス化分解装置です。
 
同社ガス化装置の特徴等の概略は、下記のBlog記事 4)大型バイオマス・ガス化装置、その2 でも紹介済です。

https://joeh.hatenablog.com/entry/19500269

最近最も注目しているMSW/RDF,木質バイオマス汎用(Multi-Fuel)ガス化(発電)装置です。
注釈: MSW:Municipal Solid Waste (都市固体廃棄物、一般廃棄物)
         RDF:Refuse Derived Fuel   (廃棄物固体燃料,一般にペレット化廃棄物燃料)
 
今後、ガス化装置の提案であれば、本製品を自社製品のOEMとして、或いは代理店として顧客に紹介予定の製品です。
 
一見すると、この装置、単なるDown-Draft型ガス化装置の様に見えますが、循環流動層Up-Draft型ガス化装置(Circulating Fludized Bed Updraft Gasifier)であり、同時に、ガス化自己排熱による蒸気ガス分解(Steam Gasificatication)を加えた、実は強力なガス化装置です。
勿論、ガス化炉内での詰り、Bridging等の問題はあり得ません。
 
合成ガス・エネルギー値も、通常Down-Draft型では900-1300Kcal/Nm3位ですが、この装置は最低2000Kcal/Nm3(+)ですが、原料、条件次第で2500-2800Kcal/Nm3もでる時があります。
理由は、水蒸気投入による合成ガスの高エネルギー転換法です。
 
 現在最も注目のガス化装置の一つです。本装置メーカーは、インドの開発専門会社です。
 
販売用装置の製造は,インドの提携先の別の大手会社で行います。
こちらの会社は、今回は都合で訪問できませんでしたが、先方が今回、訪問先に来てくれました。
打ち合わせの結果、OEMになることで合意できました
 
実は、この会社は、ガス化装置などの製造の他、ボイラー装置製造、廃棄物の前処理装置の開発も手掛けていますので、MSWの受け入れから、乾燥、選別、粉砕、ペレット化(RDF、ブリケット化)迄の前処理工程の全設備をTurn-Keyシステムとして供給できます
 
特に、MSWの乾燥処理は熱乾燥ではなく、微生物発酵乾燥の技術を保有してます。
複数の特殊な菌を使い、臭わない(極めて少ない)高速乾燥処理が特徴です。
水分60~70%の生MSW原料を20%以下まで低下できます。,つまり通常、熱乾燥処理なしで、ガス化装置へ乾燥原料を供給できます。
通常ガスエンジンの排気熱ガス等を使い乾燥させますが、fこちらは不要です。
よって、この廃熱エネルギーを使い、更に排熱ボイラー、ORC(有機ランキンサイクル)発電、或いは温水,低圧蒸気供給等向けに、別と有効使用が可能となります。
 
ガス化装置、及びMSW前処理装置は、OEM先ですので、両企業名は一般非公開です
更に、希望であれば,標準でMTU社(独ロールスロイス)の高性能ガスエンジン+独シーメンス社製発電機も組み合わせ提供できる体制です。彼らの天然ガス用ガスエンジンを合成ガス用エンジンとして使います。但し、天然ガスとのエネルギー差により出力は20%程低下します。
 
 では、そのガス化装置本体のデモプラント紹介とデモ稼働の様子です。 

 

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次の写真は、彼らの使用原料のMSW/RDFであり、リサイクルできない廃棄物ゴミです。
そのままの姿でガス燃料化できます。

 

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従来は、次の写真の様に,ブリケット化(固まり)にした後に、ガス化装置に投入していましたが、ブリケット化の費用と手間がかかることから、直接このまま使える様に変更しています。
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勿論、木材系バイオマスも,そのままで、投入できます。
 
彼らのガス化装置原料は、Multi-Fuel と言って、基本的には、炭素,水素を含んだ原料なら、何でも原料化できます。例えば、廃タイヤ、廃プラ、廃石炭、家畜の敷き藁、糞、農業廃棄物。。。等です。
 
上記の様なゴミ廃棄物の山が処理できる訳ですが、他のものも当然処理できます。
下記は、廃木材等の屑ですが、チップ化しないでそのまま投入出来ます。

 

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今回、小型の発電能力250‐300KW装置を使い、デモ稼働を見ました。
下記写真は、前述のゴミ廃棄物原料での稼働直後、ガス精製装置を停止状態での炎です。 
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精製処理装置を稼働させると青白い炎に瞬間的にすぐなります。
固体ゴミ、タール分等の不純物が除去・精製された状態です。
写真は暗闇時での写真ですが日中では青い炎は見えません。

 

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ガス化装置の終端にガス分析計が設置されていて、次の写真の様に、2成分ずつ次々と分析値が表示され、ガス化装置の運転状況が確認できます。
測定項目は、CO,O2成分の他、H2,メタン(CH4),CO2,N2等です。

 

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次の写真は、ガス化装置の残留灰です。色が黒くなく、灰色をしています。
ほぼ完全に炭素分は、全て合成ガス化できていて、残りは灰分であることを示しています。
従って、廃棄物(灰)の量も少なく、通常は元の原料の2-3%の模様です。

 

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まずガス化装置のデモ機の写真です。前方からと後方からの写真です。
 
白い部分がガス化反応炉とサイクロン装置です。ステンレス製で、白い色部分です。
赤茶けた部分がガスクリーニング装置部で、デモ用の為、無塗装です。
 
本装置で発電能力2.0-2.5MW級の合成ガス(ガス熱出力6MW程度)が生成できます。
コンパクト設計です。
デモ機と言うことで、無塗装状態で,未整備ですが、機能的には何時でも稼働できる状態です。
また、必要な改良が常時可能となっています。
 
イメージ 2イメージ 1
 
尚、鉄製の部分をペイント仕上すれば、下記の様になります。尚、この装置は1500-2000KWタイプです。
 
設置場所は、装置能力により、異なります。当然、ガス化発電能力の増大に伴い、設置面積も増えます。
因みに、2000KWタイプのガス化装置の設置面積(30m2)は、横7.8m、奥行3.6m、高さ8.4m程度、屋外/屋内設置どちらも可能です。
ガスエンジン発電機(2000KW)1台なら、6.6mx2.5mx2.8m程度になります。設置は屋内、屋外はコンテナー内となります。
 
多くに面積が必要な部分は、原料置場です。1日分の原料33-35トンですので、1週間分なら、240トン、1ヶ月分なら1000トン分の保管場所が必要となります。
 
他に、原料の受け入れ状態次第です。丸太木材ならチップ化、MSWの場合は選別工程・粉砕が必要なら、選別・粉砕、RDF化等の前処理工程のスペース、及びこれらの材料置き場も必要です。
  
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今回は、OEM供給先のインドのガス化装置とその稼働デモの概略を紹介しました。
 
我が国は、あいも変わらず保守的なバイオマス発電=ボイラー燃焼、蒸気タービン発電が殆どです。
 
最近、我が国でも、やっと木材チップやPKS等クリーンなバイオマス原料のガス化の話が出てきていますが、これは電力固定買取制度(FIT)の価格設定(未利用材=高価格な電力買取、利用済廃材,バイオマス=低価格)が原因で何かが歪められている感がしています。
 
海外では、殆どはガス化装置=MSW/RDFのガス化装置となりつつあります。
クリーンな木材チップ限定のガス化装置等は見向きもされません。
 
理由は簡単です。
高いバイオマス原料の原料をわざわざ使うのか、或いは無料、更に処理費が受け取れるMSW./RDFを始めとする廃棄バイオマス原料を使うのかだと思われます。環境、採算ベース等を判断すれば、明らかです。
 
事実、同装置を使う日量2,500トンMSW処理、或いは6,000トンMSW処理と言う超巨大なMSWガス化発電所も計画されています。この規模だと、原子力発電所と同等か、それ以上かもしれない規模です。
ガス化装置の世界は、日進月歩です。
 
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では、また。。。。
Joe.H
 
追伸)
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