BDFグリセリン石鹸、廃油石鹸作りの講習会風景です!!

今回は、最近実施したBDFグリセリン石鹸(BGS;BioGlycerin Soap)、廃油(WVO)石鹸の講習会風景の紹介記事です石鹸材料は、植物性の油、そして植物性の脂肪酸を使ったECOな石鹸です。
 
今回は、1日目の午前2時間と午後2時間の計4時間のコースを同じメンバーに行い、更に別のメンバーでも同じ内容で翌日実施しました。
 
午前中は、石鹸作りの理屈、理論は何も話さず、レシピーに則り、石鹸を作り、型に流し込むまでの作業を行いました。石鹸が固まるのに時間が掛かるためです。
 
午後の部は、石鹸が固まる時間を使って、石鹸の理論、及びより良い石鹸を作る為のイロハ等の座学を行いました。理屈が解れば、効率よく、別のレシピーの石鹸も簡単に出来ます
最後に、ほぼ固まった石鹸を型から抜いて、参加者に持ち帰って頂きました。
 
下記の写真は、石鹸作りの会場の風景です。
写真は第1日目のもので、2日目も基本的に同じですが、メンバーは異なり、参加者も多い状態でした。
 
以下、写真の紹介です。
下記は、会場の全体写真です。市の料理教室が会場でした。
 
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今回は、設備器具の関係から3組に別れて行いました。
基本レシピーは、下記のBlogに紹介記事があります。興味があれば、参照ください。
1組目は、BDFグリセリンをベース素材として使う組です。下記コーラのペットボトルがBDFグリセリンです。
2組目は、廃油をベース素材として使う組みです。下記の右側が廃油です。
3組目は、Half&Halfと言うことで、上記のBDFグリセリンと廃油を半々ミックスしたものをベース素材としました。
 
ベース素材だけでは、固形石鹸はできません
理由は、固形石鹸を作る為には、飽和脂肪酸が少なすぎる為です。
そこで、今回は飽和脂肪酸ステアリン酸(C18:0)、ミリスチン酸(C14:0)を加えたレシピーとしました。
 
従来の固形BDFグリセリン石鹸(BGS)の基本レシピーは、苛性ソーダグリセリンを使い、更にパーム核油を加えることが多いのですが、これ等は今回使いませんでした。
但し、固形石鹸に適した苛性ソーダベースのBDFグリセリンが入手できなくて、苛性カリベースのBDFグリセリンでした(通常、液体石鹸用です)
 
固形石鹸の基本の基本ですが。。。、
固さは、飽和脂肪酸の割合で決まり、泡立ちはオレイン酸(C18:1)の割合、及びミリスチン酸の割合等で決まります
 
硬さを保ちつつ、泡立ちの良い固形石鹸を作るには、これ等の数値を目標値化することが重要です。
 
この数値さえ保持する様に材料をブレンドすれば、どの様な油でも泡立ちの良い固形石鹸ができます。山感やデタラメでは無理です。
 
最後に鹸化値に基づいて苛性ソーダを決め、同時に水分も決めるだけです。
これで石鹸の基本レシピーは決まります。
水分は、ミネラル分(Mg、Ca等)の含まない軟水,或いは蒸留水が最適ですが、通常水道水でも殆ど問題ありません。
ミネラル分が含まれると、水に溶けない金属石鹸を作るからです。
 
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廃油などの油脂類と飽和脂肪酸では、鹸化反応時間が異なります。
飽和脂肪酸の方が遥かに高速で、苛性ソーダ溶液(苛性ソーダを水に溶いた液)を加えると、即石鹸になります。一方、廃油はより反応時間が掛かります。
 
鹸化反応時間は、新油、廃油、BDFグリセリン飽和脂肪酸の順に短くなります(高速反応に)。
 
従って、先ず最初にベース油(廃油、BDFグリセリン、及びこれらのミックス油)に苛性ソーダ液を50%加えて、充分に鹸化反応を行い、その後、飽和脂肪酸溶液を加え、次いで残りの苛性ソーダ溶液を攪拌しながら加えます。石鹸液がペースト状になれば、鹸化反応完了です。
 
今回は、加熱ヒーター(IH)が1台でしたので、同時平行操作はできません。
先ず飽和脂肪酸(粉末)を鍋を使い80℃程度に加熱し、完全に溶かします。そして、加熱ヒーターから下ろします。
次にステンレス・ビーカーのベース油を加熱ヒーターで加熱し、80℃程度になれば、苛性ソーダ溶液を加え、ペースト状になるまで攪拌を継続します。
時間を早める為に、ブレンダーがあれば、便利です。
 
今回は、ホット・プロセス法での石鹸作りです。
他に、コールド・プロセス法などもあります。
 
次に鍋の飽和脂肪酸溶液、残苛性ソーダ溶液の順に、攪拌をしつつ、手際よく投入します。
 
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下記は、飽和脂肪酸を溶かしている写真です。
硬さを維持しつつ、泡立ちを良くするためには、ミリスチン酸を多く使います。
ステアリン酸は、石鹸カスが多くできると同時に、泡立ちを悪くしますので、使用割合に要注意です。
 
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下記は、溶けた脂肪酸をベース油に注いでいる写真です。
続いて、苛性ソーダ溶液も同様に注ぎこみます。
 
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ベース石鹸反応が終了すれば、次は、ベース石鹸のまま固化でもよいのですが、機能強化剤を加えます。
 
今回用意したものは、ゼオライト、ピンククレイ、蜂蜜、フルーツ酸(ピーリング)などです。他に、柿渋、尿素等も過去には使いました。
これ等の効果は、過去のBlog記事に説明がありますので、そちらを参照ください。
例えば、下記です。
更に、香り(香料)や色(色剤)を付ける場合もあります。香料の種類は、好みにもよりますが、香料(フラグランス・オイル)は何百種類も海外では販売されています。
 
香料は、廃油やグリセリンを使う場合は添加した方がよいと思いますが、海外からの送付が、間に合いませんでしたので、今回は使いませんでした。
 
下記は、この様にしてできたペースト状石鹸液を型(モールド)に流し込んでいる処です。固まり易いので、素早く流し込み操作を行う必要があります。
 
海外製のモールドは安価で、かつデザインが優れているため、今回も輸入しました。
 
大量に固形石鹸を作る場合は、大きな箱状の型に流し込み、固化後、切り分ける場合が多いのですが、今回は少量でしたので、写真の様なシリコン・ゴム製のモールドを使いました
 
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下記は、ある程度固まった状態の写真です(BDFグリセリンの場合)。
外気温や大きさにもよりますが、最低3~4時間は固化時間が必要です。早く固める為には、冷蔵庫などに入れれば、固化時間が少なくなります。
 
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下記の写真は固化した状態で、一部型から取り出した写真です。
多少早めで、充分固化していませんが、時間の制限から取り出しています。
 
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この様にして出来た石鹸は、通常2~4週間熟成させます。
 
この間、水分が抜けて硬くなると伴に、多少多めに苛性ソーダを加えても、アルカリ性(pH値)は、徐々に低下し、アルカリ性の使える石鹸になります。
 
出来上がった石鹸をpH試験紙などで測定し、pH=8~10程度のアルカリ性なら、即使用しても問題ありませんが、pH=10~12程度のややアルカリ性であれば、即使うと肌荒れなどの原因になりますので、必ず熟成期間を取る必要があります。
熟成後、使い始める前に、再度pH値を確認すれば、より安全です
 
 
。。。と言うことで、今回はBDFグリセリン、廃油をベース素材としましたが、BDF燃料そのものを使っても石鹸はできます。
 
この場合は、グリセリンを含まない純石鹸を作ることが出来ます。
同様に飽和脂肪酸に加えて、不飽和脂肪酸ブレンドしても純石鹸は出来ます。
 
石鹸のベース油材料もいろいろ、機能強化剤、香料もいろいろあります。
これらを組み合わせれば、無限の組み合わせの異なる石鹸が出来ます。
 
今回の講習会は、石鹸作りの基礎の基礎編です。
参加者が工夫と実践を積めば、世界に一つだけのMy-Soapも可能です
また、地域の特産材料、特性を生かしたオリジナル石鹸を作り、販売も出来るかもしれません。
 
この様なECOな石鹸作りに興味があれば、下記に直接ご連絡ください。
 
では、また。。。。
Joe.H
 
 
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