バイオディーゼル(BDF)のECOバッチ方式の新提案です!!Blogの100回記念版!

本Blog記事も,昨年4月26日の第1回より始まり、今回で100回目を迎えます。
これまでバイオデイーゼル(BDF)を中心に、ECO石鹼や屋上農園などのECO(エコ)関連記事を紹介してきました。
皆様にとって、何か有益な情報はあったのでしょうか??
最近は一般公開可能な情報もそろそろ限界に近づきつつあると感じている日々です。
 
今回は、特に100回記念と言う訳でもないのですが、バイオディーゼル(BDF)製造方式について、以前紹介した連続方式http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10064073.html )に加え、今回はECOな新バッチ方式の概要を紹介したいと思います
 
使用エネルギー等の観点からは、連続方式が圧倒的に有利であることは、何回も説明済です。
但し、連続方式は、皆さんが見慣れてないことや、どうしても大規模装置でないと、より効果・効率性が発揮できない傾向があります。
実例としては、現在製作中の日産1800L(日中7時間で525L)等、比較的大型装置を紹介しました。
でも、製作費用は小型バッチ並み、以下ですが、。。
 
今回、紹介するの例は新バッチ方式と言うことですが、より正確には半連続バッチ反応器(Semi-Continuous Batch Reactor)、或いはSwing-Reactorと言える方式で、従来のバッチ式とも、これまで紹介済の連続方式とも異なる新方式です。
 
では、なぜこの様な装置フローになったのでしょうか??
StaticーMixerの様な部分混合(Micro-Mixing)と通常の回転翼(Brade)方式の全体混合(Macro-Mixing)との、比較が反応性のキーポイントとなります。
 
BDF反応を反応速度論から解析し、加えて化学工学のピストン流(Plug-Flow)反応などの知見を加えると、
BDF反応は、Micro-Mixingでは秒単位から1分以内で完結します。
一方、Macro-Mixingでは、バッチサイズと回転翼の大きさや回転数にもよりますが、1時間以上から数時間となり、バッチ槽の大きさが増大する程、反応時間は指数関数的に増大します。この現象を少しでも改善するために、高価な大型の攪拌器を用いて、懸命にエネルギーを使い混合攪拌をするのが通常法ですが、効果は限定的となります。
 
従って、重要なことはバッチ方式の特徴を生かしつつ、最大限のMicro-Mixing効果により、如何に反応を高速化し、高転化率のBDFを、ECO的に製造するかが最重要となります。イメージ 1
イメージ 2 
上記のプロセスフロー図がその例です。
機能的には、WVOの投入・加温、グリセリン前処理・脱水(PreTreatment)、混合・エステル交換反応(2段反応)、グリセリン高速沈降・分離、メタノール回収(祖BDFより)、フィルター処理まで本装置で可能です。
他に必用な処理は、Dry-Process法などによる精製処理だけです。
工程(添付)は、元々連続方式ですので、連続プロセスの一部とほぼ同じです。
 
この紹介例では、特にバッチ容量は決めていませんが、通常は400L以上、1500L程度までのバッチサイズ用に対応できるはずです。
400L以下の、例えば、200L程度でも対応可能ですが、できれば400L以上だと、従来方式に比べ、より大きな効果が得られるはずです。
 
詳細説明の一般公開はできません。個別対応とします。
理由は、例え、この様なプロセス・フローでも、即、真似して特許申請を。。。。と行動される人もいないとは限りませんので、。。。事実、極く普通のバッチ方式を特許取得済!!と宣伝されている某装置メーカーもある様です。
 
要は、
1)バッチ方式を維持しつつ、Micro-Mixingで反応速度を高速化していることです
アルカリ法2段反応を標準、前提としていますが、特に必用であれば、3段反応でも、或いは1段反応で停止することも可能です。
又、触媒とメタノール投入を分けて実施すれば、酸・アルカリ反応でも可能です。
 
アルカリ2段法で、800~1000Lバッチで、20+10分程度が目標です 
バッチサイズが小さくなれば、反応時間は徐々に短縮化されます。
因みに、最強力撹拌器を使う前提でも、このサイズのバッチ反応の反応時間は、最低3+2時間程度だと思います。通常は更に長時間かかるか、或いは高転化率BDFが得られない場合も多い様です。
 
某有名なドイツのBDF装置は400L、800L、。。。3200Lまでシリーズ化していて(400Lの倍数)、総てバッチ方式です。
更に、総ての機種の反応時間は一定の1時間と言う宣伝文句を使っています。アルカリ1段法で1時間でも、通常に比べると高速反応と言えますが、この秘密は高温高圧(加圧)方式の400Lバッチであり、バッチ規模に応じて装置ユニットの連結です。装置周りを囲ってあるので、一見、大型バッチの高速反応器の様に見えますが、実は違う!と言う例です。大型バッチでは、この例の様に、例えば高温状態で高速反応の維持をしない限り、速度維持は困難です。400LのバッチユニットでStatic-Mixerも使っていますが、Macro-Mixing方式ですので、これ以上の速度向上は無理だと思います。。
 
2)高速反応は、Static-Mixer+Sub-ReactorMicro-Mixing状態下で実現されます。
この点では、連続装置と同じか、これに近い高速反応が得られます。
尚、プロセス・フローの工夫によりMicro-Mixing効果の期待できるなら、Static-Mixer以外の混合器具でも使用可能です。フロー図に示す様に、この方式はStaticーMIxer1本で、米国の購入価格も15000円程度です(1000~1200バッチ用でも)。
 
3)密閉容器(Reactor/Separator)を用いていますので、有害なメタノールガスが外部に洩れません。温(35~50度程度)でも、充分高速反応が可能ですが、メタノールの気化温度(+65度弱)以上の高温(正圧)下では、更に、反応の高速化も可能です
この場合、石鹼生成反応を抑えることが可能です。
 
4)メタノール回収WBD法で、BDF+グリセリンからメタノール回収)は、減圧下で高速に行う様なフローになっていますが、常圧の通常方式で行うことも可能です。また、この例は減圧を真空ポンプで実現する方式ですが、通常の遠心ポンプ(+アルファー)を使った実現も可能です。
 
5)容器は、使用済の大型のプロパンタンクなどを使えば、安価に製作できます。
米国などでは、バッチ反応器はプロパン・タンクや他のガスタンクを使う場合が多いです。
 
6)反応工程は、左のPre-Treatタンク(PRT)からStatic-Mixerなどを介して、右側のReactor-Separator(RS)に移動し、再度、中間BDF溶液はPRTに移送され、同様の操作を繰り替えすことにより、1段、2段反応を完結します。
一旦2段反応が開始されれば(メタノール回収中)、PRTは、次バッチを開始できますので、WVOの投入工程などを開始できます。
2槽タンク(Dual Tanks)方式を採用することにより、一部の工程を並列操作が可能ですので、生産能力増が可能となる等も、大きな特徴です。
主な両容器の使用役割は下記に示します。
 
        ( PRT  )                                                            (RS)
(1)WVO処理(WVO投入、攪拌加熱、更にグリセリン  (1)前回バッチのメタノール回収(加温・上昇、
前処理工程、グリセリン沈降、除去)              メタノール回収)。祖BDFは、外部タンク
併行して別タンクでメトキシ準備                 バブリング工程)⇒Dry-Processへ
                                    2段反応の脱メタ・グリセリン⇒タンクへ.
                                                                                 RS容器は空となる。
(2)1段反応工程(WVO、メトキシドをStatic-Mixer,Sub-Reactorを介し混合、PRT⇒RSへ順次移送)
   PRT容器は空に。                      RS容器は、順次規定量満杯へ
(3)                                (3)1段反応グリセリン沈降、グリセリン除去
 祖BDFの受入(PRT)                      (グリセリンタンクへ)、祖BDFをPRT移送。
 PRTは、定量満杯(1段反応後のBDFで)          RSは空に。
(4)2段反応(祖BDF、メトキシドをStatic-Mixer,Sub-Reactorを介し混合、PRT⇒RSへ順次移送)
   PRT容器は再度空に。                   RS容器は、順次満杯へ。
(5)次回のWVO処理(同様のWVO処理)         (5)メタノール回収工程(前回メタノール回収
  WVO移送で満杯に。                    処理と同様)。脱メタ・グリセリン沈降、除                                                   去⇒タンク移送。BDFはタンクへ。
                                    BDF移送完了時はRSは空に。
 
7)Static-MixerとSub-Reactorなどを適切に設計・選択することにより、バッチ・サイズ増に伴い指数関数的な反応時間増を抑えることが可能です。
他には、バッチ・サイズ増に伴う処理時間増の主な要因は、グリセリン沈降時間とメタノール回収時間ですが、前者は、これも殆ど変わらない様に、容器の形状設計が可能です攪拌方式として回転翼を使用していない為、使用エネルギーの削減ばかりではなく、容器形状の自由度が遥かに増大するからです。
一方、後者は、充分な熱能力のヒーター減圧下での蒸留操作で、メタノールの高速回収が可能です。完全にメタノール回収は行わず、理論回収量の80%程度を目安に置くと良い様です。
熱源が充分あれば、常圧蒸留によるメタノール回収法でも、問題(蒸留速度、品質劣化)ないと思います。
 
8)Micro-Mixingによるエステル交換反応を効率的に行う為に、WVO(或いは、1次反応後の祖BDF)とメトキシド用にMetering-Pump(M-Pump)の使用と伴に、流量計(F)が付けてあります。流量制御が可能なら、他のタイプのポンプでも使用できます。
他にも、ポンプ(P)を多数使っていますが、これらは通常の遠心ポンプで殆どは廉価です。
因みに、米国なら3500円ぐらいから、いろいろ購入できます。
 
9)装置の大きさ(バッチ・サイズ)により原価も変わるので、特に材料費は計算していませんが、何れにしても高価な部品は、殆どありません。
 
 
今回は、2槽式(Dual tanks)のセミ・バッチ方式反応器の概略を紹介しました。
更に、3槽式や4槽式でも、設計可能です。槽の数増に伴い、単一槽機能はより単純化されます。規模と費用(コスト)との関係を考慮し決めましょう!!
皆さんの、ご意見はいかがでしょうか
 
では、また。。。。。
Joe.H
 
追伸)
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