Static-Mixer利用の連続バイオディーゼル(BDF)・プロセス全工程の紹介です!!
下記のBlog記事の最後の項で、Dry-Process(無水)法で使う標準的な塔(タワー)とStatic-Mixerを組み合わせたバイオディーゼル(BDF)反応・分離製造プロセス・フローを紹介しました。
更に、この塔(小改造を含む)を連続的に7(8)本を繋げると完璧なバイオディーゼル(BDF)製造フローが出来あがることも紹介ました。
そこで今回は、その全体プロセス・フロー工程図の概略の紹介です。
上記、Blogで述べた様に、6インチ((15cm)の内径、高さ(塔長)52インチ(132cm)の塔を標準状態で、或いは少改造で使用します。
先ず、最初のフローは原料油(WVO)前処理工程(GPT;Glycerine Pre-Treatment)、及び2段反応・分離工程(SR-1/2:Reactor/Separator)です。
この2段反応・分離工程部分については、既に紹介済です
同様に、祖BDFも必用に応じリサイクル出きる様に考えています。
これら3工程は、殆ど同じ機器構成となっています。
但し、ヒーター(HT-1/2/3)やStatic-Mixer(SX-1/2/3)のサイズは異なり、各段で最適化されたものを使用します。
また、図ー2の乾燥工程の高温BDFを図ー3のDry-Processへ流す為には、冷却する必要があります。常温の原料油(WVO)との熱交換で熱回収(HE)を行います。この熱回収は、メタノール回収コンデンサーとも行う様になっています。
尚、攪拌はStatic-Mixer以外の高額・高級器具でも、類似品でも構いませんが、安価な標準製品のStatic-Mixerを使っています。
連続法では、原料油(WHO)とメトキシドの混合比率の管理が最重要項目ですので、ポンプは通常のタイプとは異なるMetering-Pumpを使用すると伴に、最低限の流量計も設置して有ります。
【添付 図ー1】
両者の手法は殆ど同じですが、蒸留温度が異なります。 必用温度までの加熱は、リボイラー(Reb-1&2)で行われます。
乾燥工程では、110~120℃程度まで加熱されますが、次工程のDry-Processは40~45℃程度まで冷却します。
図-1で示す様に、グリセリン前処理工程(GPT)の入口の原料油(WVO)の流れは、熱交換で余熱され(一方は冷却され)、次の加熱器(HT-1)で、更に定温まで加熱されます。
これにより最初の工程のグリセリン前処理工程(GPT)の加熱量を減少でき、省エネ(エコ)化されています。
尚、常温WVOによる熱回収だけでは、温度が充分下がりきれない場合は、水冷却の追加が必用となります。
【添付 図ー2】
最後は、BDF精製工程(DR-1/2)であり、DRY-Process法(無水法)で行います。
2本の塔の前者は吸着塔、後者はイオン交換塔です。通常フィルターの他、低温特性改善用(3段)を使う場合もあります。
但し、イオン交換樹脂の能力から、後段は10インチ(25cm)の塔、或いは、6インチ(15cm)であれば、2本並列(DR-2&3)運転で行います。
前者の場合は7本の塔,後者であれば、8本の塔構成となります。
吸着剤の交換時、或いはイオン交換樹脂の再生洗浄時は、装置全体の停止となります。各1本のバックアップ塔を追加で、完璧に長期の連続運転が可能となります。
【添付 図ー3】
以上、Static-MixerとDry-Process塔(タワー)を繋ぎ合わせた日産1800Lのバイオディーゼル(BDF)製造装置の全体フローでした。
塔径、塔長及び Static-Mixerサイズ等を、適宜選択することにより、どの様な能力(Capacity)のBDF装置でも設計可能となります。
因みに、内径を12インチ(30cm)に拡大すれば、日産7~7200Lが生産可能です(7時間運転なら2100L)。同様に、10インチ(25.4cm)なら、日産5000L程度です。
更に、大型を言うことであれば、内径16インチ(41cm)なら、日産12000~13000Lの生産は可能です。
余り得策では有りませんが、内径を小さくすれば、日産1800L以下でも可能です。
5インチ(13cm)なら、日産1250L程度です(7時間運転なら、360L)。
尚、プロット的には、6インチ塔、8本で1m X 1.5mものスペースが有れば、充分すぎるくらいのコンパクトさです。
上記のフローの一部を変更した代替フロー案もあります。
次に、主なものを示します。
1)中間静置タンクを設け、乾燥塔を使わない方法
図ー1から図ー2のメタノール回収まで、連続的に処理し、メタノール回収処理(MRT等)済のBDFを中間タンクへ高温のまま導き、中間タンク内で乾燥空気によるバブリング処理を最低8時間(4時間バブリング、4時間沈降処理)行う方法。
この場合は、乾燥工程(DRT,HE等)全体は省略できます。
処理済BDFをポンプ(別と設置)で再度引き、図ー3のDry-Process処理工程に移ります。
昼間8時間運転の場合は、中間タンクは1個で良いが、連続運転の場合は、2個必要となります。中間タンク容量は最低600L+程度が必要です。
2)図ー2の乾燥工程を蒸留法から吸着塔に変更する方法
米国でしばしば採用方法で加熱脱水乾燥法(DRT)ではなく、吸着剤を使う方法。
加熱エネルギー不要となり(品質劣化もない)、図ー3のDry-Processの前に1塔の吸着充填塔を、同一構成で設置するだけです。
総て標準的塔構成で改造不要で、脱水吸着剤を詰めるだけです。イオン交換樹脂と同様、再生処理を行えば、何回かは使えます。
乾燥工程を総て除外(省略)する場合も有り得るが、あまりお勧めはできません。
3)メタノール回収を減圧下で行う方法
常圧法の塔頂温度は65℃程度であるが、減圧下では50℃程度まで下げて行う場合が多い。
減圧蒸留の方が、メタノール回収量は効率的であるが、エネルギー的には、真空ポンプの使用電力を含めて考えると、得策かどうか疑問である。
但し、減圧蒸留法では、BDFの加熱による品質劣化は防げるので、可能であれば減圧蒸留法が望ましい。
この場合も、中間タンク案なら1)と同様となる。
連続で次工程を処理する場合は、加圧用ポンプを追加する必要がある。
4)アルカリ2段法に変わり、酸(Acid)+アルカリ(Base)法で行う方法
設備構成は、アルカリ法の1段目と殆ど同じです。但し、問題点は、反応速度が1桁遅いので、連続プロセスでは、約10倍の塔が必要です(少なくとも、6インチではなく、12インチ以上)、それとメタノール+硫酸触媒注入ポンプが別と必要となります。この様な高酸価油は、日本では少ない様です。
5)原料(WVO)の前処理を他の方法で行う場合
原料油(WVO)の酸価が低ければ、グリセリン前処理を省略して、フィルター処理と脱水処理程度で済ませることも可能です。脱水処理は、Coalescer(凝集)機能付フィルター処理か、脱水吸着剤処理法でも対応可能です。
後者の場合、標準的なDry-Process塔に吸着剤をつめて、WVOを通すだけです。又、前者の場合は、フィルターと類似ですが、フィルター材質が異なるだけです。
或いは、大型で本格的な装置は、タンク式の製品もあります。
液・液分離用のCoalescerでは、PaLL社製品が特に有名です。BDFとグリセリンとを分離する場合、遠心分離機等のエネルギーを使わずに、省エネ分離するCoalescer製品を発売しています。
詳細は下記を参照下さい。
勿論、油(WVO)から水分や固形分(ゴミ)の分離でも使えます。
通常は、これらの各工程を別工程として、バッチ方式なら時間をズラシテ、連続方式なら別装置で順に行うのが通常方式です。
今回紹介の新方式(及び以前紹介した連続方式)は、(バッチ方式では無理ですが、)連続方式なら可能となる2工程の統合化でした(Reactor/Separator)。
つまり、1)反応(Reaction)工程と2)グリセリン分離(Separation)工程を1工程行う方式でした。
それでは、他の組み合わせ、例えば、
1)反応と、3)メタノール回収工程とを同時に1工程で行う方法等はないのでしょうか??
連続方式なら、実は可能で有効な連続方式の一つだと思います。
その内に、概要フローを紹介します。
では、3)メタノール回収をしつつ、4)精製工程の同時処理はどうでしょうか?
微量のメタノールは吸着処理可能ですが、回収までは、無理だと思います。
これも、何とかなりそうです。反応も数分以内の見込みです。
エネルギー的に効率か、どうか詳細は未検討ですが。。。。。
エステル交換反応を短時間で終了できれば、石鹼反応は1桁遅い並行反応なので、生成量も抑えられ、4)精製工程も簡略化できます。
尚、酸触媒とアルカリ触媒の2工程を、1工程で固体触媒で行う研究は公表されています。実証プラントも完成しようとしています。エネルギー効率や触媒の長期使用が問題ないか?など詳細は不明ですが、。。。
皆様も、この様な工程の統合、簡略化を考えられたこと無いですか??
Blogの一般公開情報は以上です。詳細設計仕様は、一般公開はしていません。
エコな(超)高転化率BDF装置をお考えでしたら、直接お問い合わせ下さい。
本方法は、(超)高転化率に加え、恐らく如何なる既存プロセスより低設備投資で、コンパクト、かつエネルギー的にも効率的プロセスであろうと思います。
ご参考までに。。
では、また。。。。
Joe.H
追伸)
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