最近注目のバイオ・コール(Bio-Coal))ペレット装置(HTC)の概要紹介です!!!

今回は、特に最近注目のBio-Coal(バイオコール、半炭化)ペレット製造のHTCプロセス(Hydrothermal Carbonation)概要紹介です!!
 
 特に、非常に嵩張るバイオマス原料、或いはバイオマス廃棄物を輸入したり、或いは国内に於いても長距離を輸送する場合、船賃・陸送費が多くかかります。原料の現場近くで、Bio-Coal化処理すれば、広く汎用燃料と使えると同時に、原料の高エネルギー化、コンパクト化により輸送費や(輸入の場合は、日本との人件費差により)人件費等も大幅な節約も出来て、かつ全体の採算性も向上し極めて有利です。
 
 更に、溶融で邪魔者扱の不要無機物(カリウム、リン、他)を多く含む農業廃棄物ですが、これらは自動的に除去され、一挙に溶融問題は解決します。 これら無機成分は、液状肥料として有効に還元利用できます。正に一石二鳥です、
 
 従来バイオマス利用による、例えばバイオマス発電であれば、1)バイオマス燃焼ボイラー+蒸気タービン発電、或いは2)バイオマスガス化+ガスエンジン発電等が代表的です。いずれの技術も、乾燥した固体バイオマスを原料としています。 
 
 通常、水分の多いバイオマス原料、例えば、水分を含む木質チップ、PKS/EFB(Empty Fruit Bunch)、鶏糞/牛糞、農業廃棄物(例、バガス、スラッジ)等の多くは乾燥前処理が前提・不可欠です(脱水・乾燥設備、及び乾燥費が必要)。
 
 尚、水分の特に多い原料(例、スラッジ、食品残差、家畜の糞等)は、これらの何れも直接は使えません。多くの場合、諦めてメタン発酵等に頼らざるを得ないのが実情です。
 
 でも、前処理としての乾燥処理不要で、水分を含んだ状態で、これらバイオマス類を直接バイオコール化高エネルギー燃料化できる技術も、最近ではあります。そして、ボイラーでも、ガス化でも、石炭と同じ高エネルギー・バイオマス原料として使えます!!
 
 すでにお判りだと思いますが、答えは最近注目のBio-Coal(バイオコール、或いはHydro-Char、疑似炭です。 は古くから使われてきたバイオマスの処理法で、高エネルギー燃料ですが、製法も、品質も異なります。。
 
 尚、バイオコール(Bio-Coal)と呼んでいる製品、或いはプロセス、製造法も、実にいろいろです。単なる炭化製品も全般的にバイオコールと呼んでいる場合もあります。また、焙焼(Torrefaction)、炭(Chacoal)、或いは高圧・高温圧縮製品をバイオコールと呼んでいる場合もあります。当然、これらの場合は乾式法で、溶融、クリンカー等の問題は解決しません。ご注意を。。。!!
 
 今回ご紹介のHTC法は、炭と言っても、炭化炉(Torrefaction=焙焼、半炭化https://en.wikipedia.org/wiki/Torrefaction :  例、ロータリーキルン方式、下記プラント例)により、原料を蒸し焼きにして製造する単なる(Torrefied-Biomassとも呼ぶ)ではありません。
  炭化炉は、乾燥バイオマスを使う乾式Dry-Type)、無酸素状態で中高温(250~300℃)処理をします。より高温(300~650℃)の熱分解炭(Pyrolysis-Char))、更に高温処理された所謂、木炭(Charcoal)もあります。高温処理されるに従い原料バイオマス中の水素、酸素成分が減り炭素分が増えますが、バイオマス原料の一部炭素分も熱分解し、その結果として炭素収率は低下します(単位重量当たりの炭のエネルギーは増)。 
 
 炭化炉の炭製品も、用途の多くは同じか、類似ですが 呼び名はTorrefied-Biomass、CharCoal(木炭)の他, 時にBio-Coalも呼ばれる場合もあります。
 何れにしても、Torrefaction法と次のHTC法とは、バイオマス原料も、プロセス製法も、乾式、湿式の差があり、化学的な反応も品質も異なります。
 
 ここで紹介するものは、最新技術のHTC(Hydrothermal Carbonization: https://en.wikipedia.org/wiki/Hydrothermal_carbonization )方式によるBio-Coal(バイオ石炭、Hydro-Coal、Synthetic-Coalとも呼ばれるの製造です。敢えてここでは、炭と言わずに石炭(Coal)、コールと言いますが、
 
1)石炭と同じような熱量を持ち、
2)石炭の様に塩素・硫黄・灰分等の不純物を含まず、
3)既存の石炭ボイラー専焼でも、混焼でも使える燃料です。
石炭と装置面、取り扱い面での互換性があります。
4)勿論、ガス化装置でも、石炭ガス化と同じ技術でも使いえます。
5)HTCプロセスは、湿式処理法(Wet-Type)で、水分の多いバイオマス原料の炭化(石炭化)処理に最適です。 
従って、原料の乾燥機等は不要です。
6)副産物として濃縮バイオマス液肥(K,P,N)が取れます。
バイオマス農園、プランテーションにリサイクルし、有効利用できます。
7)これらの成分除去により、特にカリウム分の多い農業廃棄物(籾殻、EFB,他)の燃焼時にしばしば問題の炉内の溶融問題を、何ら特別の付加的な処理工程をへずに一挙に解決します!!
 
 前書きはこの位にして、今回はHTC法バイオコールBio-Coal)製造装置の概要を(下記写真は例)をご紹介します。
 
 本格的な上記プラント(8,000~10,000トン/年)の他、メーカーによっては、下記写真の様な小型のコンテナ仕様もあります。
 

 下記はこのHTC技術によるプロセス・フロー図の概略例です。メーカーにより、連続方式でもプロセスは多少異なります(添付は2段反応の例)。また、バッチ方式もあります。何れもプロセスは極めてシンプルで、スラリー化した原料を中圧・中温で化学的に脱水反応(後述)させ、その後、固形分(BioCoal)と液(液肥)を分離するだけです。用途に応じ、成型加工(ペレット化等)します。

バイオコール(Bio-Coal)は下記の様なものです。この例は、ペレット化済のものですが、処理法により、いろいろな外観になります。尚、バイオコールのペレット化(ブリケット化も同様)は、木質チップ等に比べ、簡単、かつペレット化成型エネルギーも少なくてできます。

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尚、HTCは、ドイツの発明・最新の研究、そして、EU各国で商業化・特許技術です。
・HTCの基本反応は、古くドイツの化学者(Friedrich Bergiusノーベル化学賞受賞)により発明(1913)された。
        C₆H₁₂O₆ → C₆H₆O₃ + 3 H₂O → C₆H₂O + 5 H₂O
 
 その後、ドイツMAx-Planck研究所 M. Antonietti(2006)により、HTC技術が紹介され再注目を浴びる。併せて、商業化研究・実施へ。
・最近2008~10年頃よりEU諸国(ドイツ、スペイン、英国等)より商業化装置が稼働開始し始め、その後装置販売、ライセンス販売が開始されています。日本の状況は不明です??
 
 HTC反応は、中温(200℃以上)で、中圧(10気圧以上)で処理します。地球内部で石炭生成と類似環境を模擬する手法ですが、反応速度は石炭の様に何千万年~1億年(+)と長期ではなく、1.5~10時間前後(メーカアー、プロセス及び原料等により異なる)です
 

 

そして、下記の様な特徴があります。

  • 高発熱量(23~24MJ/Kg=5,500~5,700Kcal/Kg@LHV)、褐炭(Brown-Coal)と同じ程度(炭素成分54~62%)
  • 原料は水分が多くても、脱水処理後(30~50%+)そのまま使えます(水分を多く含む原料に最適)。逆に乾燥原料は水分を添加 。下記は水分を多く含む家禽類の糞をバイオコール燃料化する例です。 https://phys.org/news/2017-11-poultry-excrement-partially-coal-renewable.html#nRlv
  • 燃焼は均一で、その為、燃焼装置も簡単、格安(小型の燃焼機、ボイラーでも利用可)
  • 高密度, コンパクト化、その為、輸送費減、管理コスト減
  • 多孔質の為、圧縮固形・成型化が簡単工程が容易乾燥(疎水性の為、水分を吸い難く、ほぼ不要)
  • 用途に応じた成型加工も簡単(ペレット化、ブリケット化、他)
  • カリウム、塩素類等無機物は水分側に溶け除去される(液肥は現地バイオマス肥量としてリサイクル消費)。この為、燃料の溶融温度が高まる(~1240℃)
  • 汎用性(Versatility), 発電(ボイラー、ガス化)による発電利用、混焼、加えてペレット化/ブリケット化、石炭代替燃料として外販化も可
  • 高炭素転換率バイオマス中の炭素分の98~100%程度がバイオコールに転換できます(炭素は放出されない、高効率)。副反応で、CO2、メタン(CH4)、タール等は殆ど発生しません。炭化炉、ガス化で50~85%、メタン発酵は20%、アルコール発酵10%程度の模様です。
  • 特に、湿式での燃料変換プロセスを下記に示します。メタン発酵(ガス燃料)、アルコール発酵(液体燃料)に比べ、ビオコール(固体燃料)の燃料変換効率の高さが際立ちます。
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  • HTC法によるEFB燃料化アップグレードの例です。EFBは、毎年インドネシアで3,500万トン、マレシアで1,500万トン、併せて5,000万トン(PKSの4倍)もあり、水分(60%)も多く、殆ど放置されていると言われています。このEFBから無機物除去(K,Cl)を除去し、高エネルギー・バイオコール化すれば、最近高騰しているPKSと同等の燃料化が可能です。今回、ご紹介のHTC法は、EFBの燃料化の最適なプロセスと言えます。http://biomassproject.blogspot.com/2018/06/hydrothermal-carbonisation-htc.html
  • 燃料用途の石炭代替の再生エネルギーとしての利用の他、土質改良材等にも使われています。
    尚、原料から燃料への転換時の炭素(エネルギー)の転換効率を示す図を参照下さい。この図で、元のバイオマス(炭水化物の分子:C6H12O6)から燃料に変換する化学反応とその発生エネルギー値を示しています。
 原料として、バイオマス原料(C,H,O)であれば、全て固形高熱量燃料に転換できます。特に、水分が多ければ、今までメタン発酵位しか、燃料化はできませんでしたが、HTC法なら乾燥した固体汎用バイオコール燃料が得られるのが、特徴です。
 
 尚、ビジネス化を実現する為には、技術評価と伴に、原料確保、バイオコールの引き取り先、経済性評価が不可欠です。
 
 HTC法はバイオマス原料限定ですから、当然炭化水素(C,H)原料の処理はできません。即ちプラスティク、ゴム等の廃プラ廃棄物は、このHTCプロセスでは、燃料化、そして発電用として使えません。
 この様な場合は、既に報告の,廃プラ油化法(https://joeh.hatenablog.com/entry/2019/09/18/235449)により油燃料転換を、或いは超高温ガス化法https://joeh.hatenablog.com/entry/2019/09/23/011231により、ガス燃料転換を図り、その後に発電等に利用できます。
 
。。。と言うことで、今回はバイオコール(Bio-Coal)の製造プロセスであるHTC法の概略紹介でした。この様なHTCプロセスは、世界的には数社程度あります。
一般公開可能な情報は以上です。
 
更に何か具体的なバイオマス処理・利用計画(海外から嵩張る未利用原料輸入、水分の多い食品・農業残差、スラッジ、他)、関連質問及び興味等があれば、下記に直接お問い合わせ下さい。出来る範囲でお答えします。
 
では、また。。。。
Joe.H
 
追伸)
 上記Blog記事は、一般公開情報です。
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