廃プラ&廃タイヤ油化ビジネスが現在大注目です!!??
最近、廃タイヤ(ゴム類を含む)、廃プラ類の油化ビジネスが(再)注目されだしています。
この問い合わせも、最近増えています。有望分野だと思われます!!
そこで、今回は、主に採算性とその投資額等について、ご紹介します。
廃プラ・廃タイヤ類の油化装置は、下記にもあります。
1)廃プラの油化(液化)装置は、下記のH.P.の(1)に掲載されています。
必要なら、更に水素添加を行えば、軽油と同等な高品質の燃料油も製造できます。
2)更に、廃タイヤ、廃プラ油化装置は過去(4年前)にも、下記の本Blogで紹介済みです。
勿論、廃プラ油化装置は国内製品もあります。しかし、。。
多くは小型(~2トン/日)、バッチ方式、熱分解方式(無触媒)です。油化装置の会社によっては、顧客先の装置停止中、或いは業務停止・破産の会社もある様です。
後段でご紹介の様な中大型(12トン/日、3600トン/年)、連続式の触媒法熱分解油化装置は恐らく無いと思います。
他に設備能力は、より大型の24トン/日、38トン/日、或いは中小型の3トン/日、6トン/日等もあります。
この油化装置が(再)注目されだしたことは、理由・背景はいろいろあると思います。
1)特に、廃プラスティク゚類の投棄、埋め立ての問題、海洋汚染(マイクロ・プラスティクスによる魚類・人体への影響)、。。。等です。
この為、特に海外では、投棄プラスティクス回収、埋め立ての掘り起こし回収による油化が注目されています。
回収業者ばかりでなく、プラスティクス製造化学会社までも、その社会的な責任から、自らも廃棄プラの回収・利用を目指しています。
特に、最近海外の大手化学会社も回収事業を開始(或いは、計画)しています。国内の化学会社も、まだ一部ですが、同様です。
2)従来、海外(中国等)へ廃プラ輸出をして、その場をしのいでいた回収業者も、輸出が最近できなくなった様で、国内で廃プラ処理に困っている様です。国内ばかりでなく、例えばEU諸国の廃プラ85%を中国へ、従来輸出していたものが、不可能になり大混乱。
この為か、プラ使用を削減、或いは使い捨て禁止/再利用等も検討中とのことですが、即実現は出来ません。米国も同様の様です。
廃プラ由来の熱分解油は不完全な燃料です。
課題もあり、用途も制限があり、使用に当たり注意も必要です。
4)油化装置価格も、海外製なら、下記に添付の様な処理能力に対して比較的求め易い価格です。
加えて触媒利用により軽油留分(沸点、熱量、粘度、他の物性値)が高収率で得られます。また、油化装置も連続自動運転できます。触媒を使う油化装置は国産機ではないと思われます。
5)これらの理由からか、最近、油化装置の問い合わせが急増しています。
尚、廃プラ類が全て油化できる訳ではありません。油化し難いものもあります。
最新技術では、PET等は廃プラの原料であるモノマーに分子レベルで戻したり、ペレットに戻し再利用できる技術も開発されています。燃料変換(油化)より、効率的です。
この様な背景から、今回は油化ビジネスの採算性の計算の1例をある油化装置でして見ました。勿論、油化装置も、原料種、分解油用途、規模、装置機能、投資額等により最適な装置は変わります。
下記は、計算例です。連続式、触媒熱分解法の例です。
紹介の油化装置は、廃プラ処理量は12トン/日(2系列)、3,600トン/年の装置となります。連続式で1日10~12トン規模は、ビジネス上からほゞ下限で、上限は100トン程度(並列設置)迄あります。設備的には、半分の6トン/日(1系列)、1,800トン/年もありますが、価格は多少割高の60%程度になります。
夫々の状況により、勿論採算性は変化します。
Case-Aは、廃プラ原料チップを外部から有価で購入し、廃プラ油化ビジネスを開始し、分解油(軽油相当)を生産する場合です。
この場合、廃プラ(粉砕チップ)を15000円/トンと仮定しています。
Case-Bは、廃プラを産業廃棄物として処理費を、既に得ている回収企業(業者)が、廃プラ油化ビジネスを行うケースです。
廃プラ類を3万円/トンで引き受け、油化原料とし自己利用するケースです。
廃プラ原料回収率を80%(残り20%はゴミ、他と仮定)、油化原料のチップ化転換費用は1万円/トン、及びこのビジネス利益1万円/トンを合せて、2万円/トンの費用を見込んでいます。この前提でも、油化廃プラ(チップ)原料費は負の原料費-4000円/トンとなります。
尚、この関連設備、製造費は、廃プラ原料チップ製造関連で別途考慮することし、下記計算には含めていません。
重要なのは、廃プラ原料(1Kg)からの分解油が何L得られるかの収率ですが、通常70~95%程度です(計算例は85%としています)。実原料サンプルの熱分解テスト(有料)を行えば、より正確な収率が得られます。
計算例では、製造された軽油相当の燃料油価格60円/Lを見込んでいます。
重油(A)ですら、現状価格アップにより90~95円/Lもしている状況ですから、実際の分解油、高エネルギー(軽油・重油と同等以上の熱量:10,500Kcal/Kg)、無煙、冬季固化なしの燃料は、重油燃料以上の価値があると思われますが、価格60円/Lの前提は重油の3分の2となっています。
軽油は、現在110~130円/Lもしますので、例えば、熱分解油(Pyrolysis-Oil)を3分の1ブレンドした燃料(上限ブレンド%は50%程度)をディーゼルエンジン付の建設機械、発電、機に使えば、理論的には100円/L程度になります。
そこで、次の計算例を見てみましょう!!
Case-Aでも、投資利回りは18.7%、投資回収4年弱です。
Case-Bなら39.9%、投資回収2.2年となります。
上記の数値は、分解油60円/L(6万円/KL)の計算例ですが、。。。
上限と思われる重油と同じ評価の燃料価格90円/Lだとすると、
Case-Aでも、投資利回りは46.5%、投資回収1.88年弱です。
Case-Bなら67.7%、投資回収1.34年となります。
。。となり、驚異的な投資利回りとなります。
実際、海外例でも投資回収2~3年程度となっている様です。
下記の添付の採算計算の表は、単なる超概算の計算例です(消費税含まず)。
勿論、個々のデータでの再確認が必要です。現実の投資額は、発注時の現地価格、為替及びオプション仕様等で、可成り変動します。
何れにしても、高収益ビジネスとなり得ます!!
下記は、提携先の廃プラスティクスの触媒法の装置価格の概算見積額の一例です。
価格はメーカー、方式、規模等により、いろいろです。因みに2~4倍も高額なケースもあります。
触媒方式廃プラ熱分解装置で、この規模(年3600トン)、連続式自動化装置としては、下記は最安値に近いと確信しています。
この熱分解装置、使用できる廃プラは廃PE/PP/PS等ですが、ブロック運転すれば、廃タイヤ、或いは廃エンジン油等からも熱分解油、及びカーボン・ブラック(CB)が回収できます。
CBは、農業(鶏糞等とのブレンド剤)、及び燃料(炭代替)の他、カーボン・ブラック製品の原料化としての利用もあります。
以上、廃プラの油化(ビジネス)の概要を主に投資額、採算性等から、廃プラの触媒熱分解装置(Waste Plastics Catalytic Depolymerization Process)を紹介しました。
バイオマス(バイオ油)の発電ビジネス(FIT)も、最近の電力価格の低下見直しにより、採算性が低下したり、原料の調達の課題(パーム油輸入、間伐材、安定価格、他)、スケールメリットを狙った投資額増等により、ビジネス上、実現が危ぶまれる場合も、少なくありません。
熱分解油の販売(自己使用)は、FITの様に20年間も売上営業努力が不要とはなりませんが、
1)廃プラ(PE/PP)が充分原料確保でき、正しい触媒方式熱分解油化装置の選択が前提ですが、軽油・重油を多量購入し、ボイラー燃料、或いはディーゼル建機、ディーゼル発電燃料(軽油、或いはBDF,SVO植物油とのブレンド燃料化)等の用途として、
3)これら燃料用途で、これら燃料を代替購入可能な顧客を確保、見込める場合(顧客の燃費削減、自らは廃プラの油化ビジネス)
4)尚、上記例の様な、設備費と操作員・設置場所は必要ですが、。。。。
等なら、充分廃プラ油化は採算的に問題ないと思います。特に、バイオマス発電の様に、原料確保の課題(質・量的確保、高価格)も少ない筈です。
以上述べた様に、油化装置及びこれらを用いた油化ビジネスが注目されている状況で、新たな油化装置も開発されつつあります。注目している例を下記に紹介します。
1)流動床方式油化装置
ほゞ100%油化装置=横ドラム式油化反応炉方式(加熱量の限界から大型化も限界有り、1系列6~10トン/日程度)ですが、こちらは流動床方式熱分解油化装置であり、ガス化装置などと同様、ほぼ無制限で大型化が可能です。因みに、下記は、年7000トンの処理能力ですが、流動床方式の為、コンパクトです。生産された油は、化学基礎原料のナフサ(ガソリン留分)、船舶用燃料、潤滑油材、ワックス原料とあり、主にそれぞれを扱う化学製品メーカーへの原料供給・販売となります。
2)新方式油化装置
こちらもドラム式油化反応炉方式ではない新方式(特許)の油化装置です。詳細は不明ですが、各方面で注目されている油化装置です。原料は通常と変わらずPE/PP/PSとなっていますが、注目は触媒方式による油(前の添付写真)の性状等です。
3)全廃プラ原料対応油化装置
油化装置=PE/PP/PS限定が常識ですが、この装置はPVC,PETも混合状態で処理可能の様です(PVC100%でも可能)。従って、油化処理の原料種による分別が不要です。勿論、塩ビ(PVC)の処理だと塩素(Cl)が発生するのですが、処理装置が含まれています。尚、この装置では処理温度が低く、ダイオキシンは発生しません。
4)全廃プラ原料対応油化装置(PSモノマー・リサイクルも可)
この最新油化装置( http://pyrowave.com )は、通常の油化装置が、熱源として自己のオフガスを多く利用するのに対し、電磁波(Micro-Wave)加熱を行う方式の油化装置、それも燃料油化だけでなく、PSモノマーも製造出来る装置です。
殆ど全ての廃プラ未選別で、年800~1200トン処理と小規模できる機器です。
最大の特徴は廃PSプラ、或いはPSを多く含む廃プラであれば、PSモノマー(スチレン)が直接得られ、新原料(バージン)として再度使える(リサイクル)ことです。 大手PSプラメーカーも注目しています。元のプラステック原料(この場合PS)に戻して、再度新プラスチック(PS)としてモノマー・リサイクル化できれば、油化燃料化より、遥かに好ましく効率的です。他社でも廃PSからPSモノマー(スチレン)として回収できる装置もあります。
何れにしても、プラ類のモノマー・リサイクル法は、最注目の技術です!!!
この最新油化装置は、合成軽油製造装置と言う範疇の装置です。単なる廃プラの油化装置、バイオマス油化装置装置とは異なります。廃プラ・ゴム、(廃)バイオマス、及び廃油等を全て触媒を使い油化(合成軽油)できます。、この合成軽油製造装置も、直接油化方式(KDV、W2E,他)、或いはガス化後、軽油合成により油化方式(IH2.他)する等幾つかの方式があります。何れも100%軽油代替(Drop -in)可能と言うのが宣伝文句です。
下記写真は、直接油化方式合成軽油装置の一例です。具体的な会社名は、この場では省きますが、世の中の進歩には驚きです!!
今回、テクニカル面の一般公開は省略しました。
最近の廃プラ処理流れは、その社会的な責任と共生等から、製品を製造した企業(業種)に戻す(Waste Recycling and Return to Manufacturer)ことが叫ばれていて、これらの企業も直接、間接にその実現に向かいつつある様です。
従来の廃棄物回収業に加えて、より上流の石油化学会社、プラ(ゴム、タイヤ)製造会社、加工・成型会社、或いは大手のプラ類消費・利用企業・消費者も、この分野に参入しています。
追伸)2018-07-18
大手石油・化学会社であり、バイオ油、バイオ油廃棄物から合成軽油(Renewable Diesel)、ジェット燃料(Renewable Jet-Fuel)を商業生産中の最大手、フィンランドのNeste社( https://www.neste.com/neste-70-years-finnish-oil-refiner-worlds-largest-producer-renewable-diesel )がプラスティク油化分野へ本格的に進出する模様です。野心的な計画では、2019年度より試験生産を開始し、2030年までに年100万トン(+)の処理計画です。
いよいよプラスティク゚油化も、確実にこの世界の大きな流れです!!
追伸)以上
今が ビジネスチャンス です!!
何か、具体的なお問い合わせがあれば、下記にお願いします。