Static-Mixer方式の日産1.8KLのBiodiesel(BDF)反応器を設計、製作中です!!

以前下記の記事でバイオディーゼル(BDF)反応器の撹拌方式の検討、紹介を行い、(特に日本では何故か、)殆どのBDF装置で採用のBlade‐Mixer(撹拌羽根)方式に比べて、Static‐Mixer方式の優位性反応速度、使用エネルギー(ECO)、価格、そして設備の簡単さなどの観点から、紹介しました。
 
今回は、その続編で、
この記事のStatic-Mixerに関する質疑と、方式を採用した超安価、そして超高転化率反応が期待しうるECOなバイオディーゼル(BDF)反応器の話題です。
 
まず、BDF関連の某Blog執筆者から、最近メールを頂きStatic‐Mixerに関して、下記の質問、疑問(Q&A)がありました(他に、極寒仕様のBDF,Winterization等も議論しましたが、今回は割愛します)ので、皆様のご参考までに紹介させて頂きます
 
Q1: (Static-Mixer方式のBDF反応方式は、)何らかのブレーク・スルーがないと、実験室レベル止まりかな?とも思いました。
A1: 困難さも、ブレークスルーも必要ありません。いくらでも、大型化はスタティクミキサー、あるいは、類似技術で海外では行われています。
 
Q2: 岩手/盛岡で展開されるBDF装置は神奈川のモノと噂に聞いております。
貴方様の関わった装置であれば、時間軸で早めに見学に行きたいと考えます。
A2: 私ではありませんし、神奈川でBDF装置メーカーが存在することは知りませんでした。
但し、最近30万円前後で、依頼により日産1800LクラスのBDF反応器を設計、制作しています。総て、海外の既製品の部材の輸入です。
因みに、内径6インチ(15cm)、高さ52インチ(130cm)の既製品のDry-Process用タワー2本、ポンプ、ミキサー(Static-Mixer)だけを使用してです。大型の機器や撹拌器などは、何もありません。
最初なので、保険の意味もあり、2本使っていますがBDF反応の数値シミュレーション解析の結果、少なくとも計算上では、1本で充分99%程度なら可能だと思います。
 
以上、Static-Mixer関連のやり取りの全てです。
 
同様に皆様も、あんな単純なパイプもどきで??
と疑問を持たれたかもしれませんので、ここで補足説明をさせて頂きます。
 
まずは、Q1関連です。
幾らでも大型化可能と言うことに関してですが、多分日本で最大のBDFプラントは日産3000~5000L程度だと思います(実稼働率は不明です)。
下記は、京都Revo Int.社の公開情報記事です。
設備投資額は、下記情報から計算では、日産1KL(1000L)当り3億円と極めて高額です。
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バイオディーゼル燃料化プラント[ C-F.DREAM ]
開発規模:バイオディーゼル燃料「C-FUEL」生産能力
30~50KL/日(広域型(0.4~5KL/日'地産地消型)
その他機能:副生グリセリンを燃料に用いた熱回収システム
製造工程での排水を出さない製造システム。
予定販売価格:約7億~15億円'広域型(約0.5~5億円'地産地消型)
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因みに世界最大BDFプラントは、極く最近(11月18日記事)、Neste-OIL(@シンガポール)で完成したプラントで、年産BDF生産80万トンということです。年間300日稼動と仮定すると、日産3000KL程度となり、600倍以上も規模差があります。
 
反応方式(非エステル交換法)、撹拌方式等不明ですが、連続プロセスハイシェアー・ミキサー方式を使用と推定します。これは、Static-Mixerの拡張型の様なもので、特殊ポンプ類を用いて、超高撹拌、高転化率化が短時間で実現できます(この方式も以前、写真など紹介済みです)。
 
では、本論に戻って、純粋なStatic‐Mixerで、どの規模まで大型化できるのでしょうか? 理論的には、幾らでも大型化が可能です。
例えば、内径10cmの極く普通のStatic-Mixerで、世界規模では中型規模の年産1万トンクラスなら可能です日産37000Lこれでも、日本の京都のBDFメーカーの7.4倍もの能力です。
従って、上記の返事(A1)となる訳です。
要は、能力規模に関わらず廃油とメタノール・触媒からなる不均一流体のバブル径(サイズ)をある粒径分布(表面積)となる様に、要求能力に見合ったStatic-Mixerを設計すれば良い(内径サイズと長さのスケールアップ計算)と言う訳です。石油精製や石油化学大型プラントでは、内径が1m近くのものは幾らでも使われています。また、加えて稼動部もなく故障もありません。
 
次は、Q2関連です。
前回Blogで紹介した方式は、Batch反応器500Lの反応転化率の改善にStatic‐Mixer方式を利用する例を紹介しました。
この場合は1インチのStatic-Mixerを使えば、可能ということでした。この方式、及びこのサイズ(1インチ)のStatic-Mixerで、500Lクラス程度なら、全く問題ないのですが、既存のバッチ反応器を見直した結果、大きな問題があることが分かり、問題解決には、本体の大幅な改造など多くの費用が掛かると言う見込みとなりました。
その結果、この事例では急遽、路線変更を行いました。
予てより構想を持っていたプロセスで、設備投資価格が遥かに安く、使用エネルギーも極めて少なくなくECOな、そして理論上からも超高転化率が期待できるStatic-Mixer利用による連続プロセス方式の反応器新設案に変更しました。
 
即ち、バッチ方式ではなくStatic-Mixerを連続プロセスで使う方式です!!http://turnerbiodiesel.com/yahoo_site_admin/assets/images/Wash-Tower-005.195144124_std.jpg
この概略が、上記A2に記されている内容です。昨日、すでに反応器を発注済です(写真は、6インチのDry-Processの組立キット、これを改造)。実現のキーとなるStatic-Mixerの設計も終了していますが、ミキサー価格は500Lバッチ(2.8万円、現地材料価格、以下同様)より安価ですが、2本必要ですので、合計ではやや高くなります。でも1.1倍程度です。
恐らく連続プロセスを、この価格で設計し、製作できる人はいないのでは??
と思います。
フロー図は次を参照( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/9827144.html )
 
詳細はBlogの公開情報としては、未公開です
興味を持たれたら、お問い合わせ下さい。或いは、ご自分で研究されたら、どうでしょうか?
 
でも多少補足説明すると、。。。京都の例だと、日産1000Lの規模で3億円と言うことですが、当然、他の設備も含んだ投資のはずですので、3億円の10分の1でも、反応器日産1000L当たり製作費は3000万円となります。
 
現在、私の進めている方式だと、約30万円(尚、現地米国で調達資材費の他に、船ではなく航空便の輸送費、通関手数料など諸経費を全て含めると、価格は多少オーバーしそうですが、。。)で、少なくとも日産約1800L以上の生産が可能な筈です。上手行けば、計算上は、その2倍ぐらいの能力は有りそうです。
 
但し、原料廃油(WVO)の供給がなければ、或いは日中8時間運転なら600L程度の能力です。準備時間等を考慮しても、毎日500Lは製造可能(7時間)です。
尚、上記の30万円は最低限の投資額で、グリセリンの除去など、(ほとんどのバッチ装置と同様)手動操作が必要です。
 
より正確に言うとメタノール回収設備(BDF、グリセリン)の費用は含まれていません。それに設計費や知的所有権料なども含まれていません
 
手動でなく、自動化でも200万以下で可能の筈です。これでも上記投資額の比較では、15分の1です
 
因みに、4倍能力の規模の日産7200L(2100L@7時間)でさえ、手動反応器・グリセリン分離周りだけなら8~90万円以下で実現可能です
 
この場合、内径12インチ(30.5cm)、塔長94インチ(239cm)の標準Dry-Process塔を改造すれば可能です。塔は1本当たり現地価格は12.2万円ですので、2本で25万円弱です(改造費は、6インチタワーは無料)。他は、Static-Mixer、ポンプ、ヒーター、配管、ホース、バルブ類です。勿論、このサイズなら、前述の京都の例より大きな規模の反応器となります
 
今回は、Static-Mixer関連の最近のQ/Aの紹介と、現在設計、製造中の連続式BDF反応器例を紹介しました。
 
バッチ方式に比べ、遥かにECOなStatic-Mixer方式反応器に興味を持っていただけたでしょうか
 
では、また。。。。
Joe.H
 
追伸)
 1)上記Blog記事は、一般公開情報です。
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 下記メール・アドレス宛へ直接ご連絡下さい。
 非公開情報など内容によっては、お答えできない場合や条件付となりますが、
 可能な限り対応させて頂きますので。。。。
  尚、お問い合わせの前、下記を必ず参照ください。
 
付録)
では、反応器だけでなく、BDF製造全行程はどうなるのでしょうか??
 
上記の様に、連続プロセスの反応・(グリセリン)分離器で6インチの塔(Tower)の2本、原料前処理器グリセリン前処理)で1本(今回は既存機器を使用)、そしてメタノール回収器で1本(最強力なりフラックス付高純度メタノール回収蒸留塔を購入済、購入費5.2万円、ヒーター3万円弱、他は既存設備)、新設Dry-Processで2本(吸着、イオン交換樹脂塔2本も同時に購入@18万円弱、但し、イオン交換能力は、日産900Lの設計)、それに乾燥工程の1本(今回、既存設備)の計7本の塔さえあれば、多分完璧に日産1800L規模の原料油前処理、反応(2段反応、グリセリン分離)、脱メタノール(回収)、精製(Dry-Process)、乾燥脱水の全工程ECO連続処理が可能だと思います。尚、乾燥工程を脱メタノールの後でも、可能ですし、兼務可能かもしれません。
 
イオン交換塔だけは、10インチの塔が必要です.或いは、6インチの塔2本の並列運転となります(予算と生産必要量から6インチ1本購入)。従って、6インチ塔の場合は計8本となります。6インチ塔1本の現地価格は、44000円、10インチなら、7万円弱で済みます。
性能は同一ですが、塔(タワー)の大きさが揃うと言うバランス、見栄えから言えば、6インチで揃える8本案でしょうか
 
 
本論に戻ると、現実には吸着剤の交換、イオン交換樹脂再生、洗浄時のバックアップ機能として、連続運転の場合はそれぞれ塔1本の追加が必要かもしれません。つまり、吸着剤で2本、イオン交換で6インチ3本です(10インチ2本、価格的に6インチ有利)。合計6インチ塔10本で、日産1800L完璧です。
 
因みに、写真公開済みですが(添付参照)、使用中のDry-Processは、バック・アップ機能も含め6インチ4本構成です。¥¤¥᡼¥¸ 1
BDFの生産量から必要性は全く無いのですが、比較的簡単に、2本を反応器、2本を吸着、イオン交換用とし、他は既存設備で連続プロセス化も可能です。
Staitic-Mixer、ポンプなど必要ですが、10万円+程度で転用可能です。
上記の例の8(10)本構成なら、この写真の2(2.5)倍です。
 
以上