極寒仕様のBiodiesel(BDF)への第3のアプローチ法の紹介!!

Biodiesel(BDF)、即ち、脂肪酸メチルエステル(FAME)に代表される油脂の脂肪酸と、どの様なアルコールであれ、エステル交換反応を前提とする限り、そのままの無処理では、冬季特性の大幅な改善は望めません。
これまで、紹介して来たとうりです(エタノール、プロパノールなどの異種アルコール、オゾン処理、流動点降下剤剤の添加など)。
 
脂肪酸エステルの分子構造を変えずに冬季特性を変える技術は、飽和脂肪酸の除去、更に極寒、厳寒仕様なら、一部の不飽和脂肪酸までも除去して組成分布を変えることで、初めてマイナス(ー)40℃レベルのバイオディーゼル(BDF)が製造可能となります( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/8744273.html )
手法、方法は、いろいろありますが、Winterization, Urea‐Process等を、既に紹介しました
 
流動点降下剤等の添加剤の効果は、ほとんど無いか、幸運に効果が有っても、数度の改善程度です。
 
今回は、BDF、即ち、エステル交換反応を伴う燃料ではなく、この反応を伴わない別のアプローチのディーゼル燃料研究の紹介です。
従って、これらは、FAMEとか、BDFとか言う規格、名前からは、かけ離れた存在です。
 
逆に、言うと冬季のディーゼル燃料として、マイナス(ー)40℃クラスの燃料はエステル構造の油脂脂肪酸を利用する限り飽和脂肪酸を除去無しでは、如何なる手法でも無理だと言う証明かもしれません
 
これも、紹介済みですが、脂肪酸組成の優れたなずな(ペンペン草)油、ひまし油などを用いても(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/9179275.html )、所詮は限界があり、マイナス(ー)30℃近辺までは可能ですが、それ以下では無理です。
 
そこで、米国のベンチャー企業がBrown大学と共同研究(プロセスの効率化研究)を始めた方法は、個体金属触媒を使ったGreen-Keroと言う冬季特性の優れたバイオ燃料製品開発です( http://www.masshightech.com/stories/2010/11/01/daily31-Altranex-Brown-University-collaborate-on-biodiesel-processing.html )。
 
余談ですが、最近彼らは、電子レンジ(Micro Wave)を使った新しいBDF反応を公表しています( http://www.physorg.com/news205682301.html )。この手法では、20分で反応が完結と言うことですが。。。。。
紹介済ですが、通常の方法でも、当方の手法で2段反応で8~10分で、20分も掛かりませんが、(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/9146894.html )。。。
 
彼らのごく最近のニュース・リリースに寄れば、マイナス(ー)44℃まで使えるとのことですが、この温度が、曇り点(CP)なのか、流動点(PP)、目詰まり点(CFPP)なのか、はたまた別の冬季指標なのかは、不明です。
 
彼らが言っていることは、バイオディーゼルが冬季固まるのは、FAME中の酸素原子が原因であると言っています。
また、名前からKero(sine)=灯油ですので、酸素などを含まないパラフィン(直鎖飽和炭化水素)系の分子構造の燃料だと思いますが、炭素数脂肪酸と同一の炭素数16~20の直鎖脂肪酸だとすると、これはパラフィン・ワックス(蝋)です。
冬季対応どころか、常温以上、プラス(+)50~60℃で固体ですので、脂肪酸から酸素原子を除去しただけでは、有り得ません。
 
素数の少ない(炭素数8~12?)パラフィンへと、分子を分解、変換している様です。
言わば、これは出発原料は、再生可能な植物、動物油であっても、もはや通常の灯油=ケロシンと同じ分子構造をもった物質と言えます。
多分それも、いろいろの炭素数分布をもつ。。。
まさに、ケロシン(Kerosine)だろうと思います。
 
通常は、この様な物質は、油脂を高温加熱し、水蒸気を混合して熱分解か、酵素法で分解して、一旦シンガス(Syn‐Gas、合成ガス、水素、CO混合ガス)を作り、そして炭化水素再合成する方法が普通です(Fischer-Tropsch法)。
こちらの研究は、日本でも、一部の石油会社では、実施されている様です。
 
これらが、実用化されないのは、高圧を必要としたり、プロセスが複雑になるからです。例えば、熱分解する方法は、ナフサ(ガソリンのブレンド材料)を使う大型エチレン石油化学プラントと同じ理屈ですが、分解生成物が、シンガス以外の副産物も生成してしまい、これらの精製工程が複雑になるからだと思います。
 
多分、Brown大学の方法は、新固体触媒(ビスマス系)の力で、あまり不純物が生成しないのではないかと予想しています。そうでないと、全くこのプロセスの価値はありませんから。。。。
 
彼らは、この手法が完成すれば、ジェット燃料を含めて、気象条件によらず広範囲な燃料として使えるとも言っています。
また、石油とのブレンドでも、任意のブレンド比で可能で、BDFの様な問題は発生しないとも言っています。
当然、石油系燃料の灯油(Kerosine)や軽油(ADO)と同一分子構造ですから、ブレンド上の問題など発生しようがありません。
 
問題は、はたして効率的にGreen-Kero燃料ができるのか??
と言うことです。
できれば、確かに素晴らしいと思います
 
商業化までには、まだまだクリアーすべき課題は山積だと思います。
最近の不景気で、これらの資金的ファンドも不足しているとも言っています。
日本人と異なり、彼ら実力もありますが、ハッタリも強いので、これからどうなるか興味があります。
まだファンドが得られて無い所から判断すると?マーク付かもしれませんが。。。。
 
今回は、Green-Kero(登録商標付のバイオ灯油、バイオ軽油の話題を紹介しました。
 
では、また。。。
Joe.H
 
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