Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)の副生グリセリン除去のタイミングを考えよう!!

Biodiesel(バイオディーゼルBDF)の除去のタイミングはいつ実施していますか??
今回は副生グリセリン除去のタイミングについて考えて見ましょう!!
 
まず、一般的ま反応順序は下記だと思います。
 
1)原料廃油(WVO)を反応器に投入する(水分、固形物など除去済を前提)。
2)攪拌しつつ、反応開始温度まで昇温する。
3)必要なメトキシ量(メタノール、アルカリ触媒溶液)を別途準備し、投入する。
  投入アルカリ量は滴定などで、最適値を決める。
4)必要な転化率に達したら(転化率テストで確認)、攪拌を停止する。
5)グリセリンを充分沈降させた後、グリセリンを除去する。
6)粗製BDFの中和処理が必要なら、実施する。
7)メタノール回収を行う場合、メタノール回収を行う(必要な温度に上昇させ、回収をおこなう)。
8)粗製BDFの精製処理(Dry-Process工程、または水洗+乾燥工程のどちらかを)を行う。
9)必要な添加剤(酸化防止剤など)の添加、フィルター処理、品質確認などを経て、最終製品へ
 
上記の5)~7)に代わって、新しい方法では、
 
5)充分な転化率が得られたら、中和が必要か,否かを判断する(PH計など)。
  必要なら酸を投入し中和させる。(触媒量が正しく計算され投入していれば、弱アルカリで中和作業は必要なし
6)直ちにメタノール回収工程へ(攪拌を継続しつつ、メタノール回収温度まで昇温する)。
 充分メタノール回収が終われば、加熱、攪拌を停止する。
7)グリセリン沈降・分離除去を行う。既にメタノールされているので、グリセリン+石鹸分の沈降・分離が早く、より完全に行える。
 
つまり、グリセリン分離と脱メタノール工程のどちらを先に行うかと言う違いです。
 
日本で行われている(であろう)方法は、殆ど前者のグリセリン分離⇒脱メタノール工程だと思いますが、これを逆にしたメタノール工程⇒グリセリン分離方法です。
 
この方法は、最近英国で提案された方法(WBD法:Whole Batch De-meth.)で、急速に広く実行され出した方法で、米国でも行われ始めている方法です。
また、商業規模の製造でも採用されている方法です。
 
メタノール(2%程度ある)が存在すると、石鹸分やグリセリン分が、BDFから分離しにくかったり、また分離時間がかかります。
しかし、溶剤としてのメタノールがないと分離速度が早くなります(少なくとも1/2から1/3の時間へ)。
と同時により完全に分離されます(全体の工程時間短縮化の効果大)。
 
加えて、
 
粗製BDFに加えて、副生グリセリン中のメタノールも総て回収されるので、回収量が増えて、製造コストの低減が計れます。
 
理想的には、投入メタノール量(%)の余剰分総て(近く)が回収できます。
例えば、廃油(WVO)100Lに対して22L(22%)を使用した場合は、9。0~9.5Lまで回収可能で、次の反応に再利用できます
 
尚、この方法は、当然、メタノールを回収しない場合(水洗でメタノール廃水として流す)は使えません。
 
又、アルカリ触媒が多すぎたり、或いは中和点近くで無い状態(強アルカリ状態のまま)で、
この方法を行うと、エステル交換反応により、BDF(バイオディーゼルの転化率が低下しますので、
実施される場合は、この当りを充分理解されている方、限定でお願いします。
 
商業的生産ではグリセリン分離は遠心分離機で行う場合が多いのですが、同様にメタノール回収後に遠心分離を行う方が、遥かに効率的だという報告です。
 
また、2段(2ーStep)反応(Base/Base)を行う場合も当然使えますし(この方法を実施中)、酸アルカリ法(Acid/Base)でも可能です。
 
今回は、副生グリセリン除去のタイミングについて、新しい方法を紹介しました。
では、また。。。
Joe.H
 
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 2) 尚、この様な方法を聞いたので、何でも即、特許申請などと考える人は、まさかいないでしょね??
グリセリン前処理など、海外では常識な方法でも実に特許申請された方が、BDF後進国の我が国には居られるので、。。心配です。。
 
以上