油脂組成からバイオディーゼル(BDF)と石鹸作りの関係を考えよう!
通常、我々がバイオディーゼル(BDF)用に最適と考えている油脂は、定温で液体の大豆や菜種油、米油、。。。などです。
一方、石鹸、特に固形石鹸の原料は、ラード、牛脂、パーム核油、ココナッツ油。。。など、定温で固体の材料油脂を用います。
固まり安さは、(水素が最大限ついた)飽和脂肪酸の炭素数(通常、炭素数12~20程度で構成)が増えるにつれ、また、(水素が2個外れた)不飽和脂肪酸(2重結合)数が多い物質から、順に(通常は3,2,1,0と)固まりやすくなります。
大豆油 ラード 大豆処理済
C12:0 0.0 0.1 0.0
C14:0 0.1 1.6 0.0
C16:0 9.8 25.3 1.55
C16:1 0.1 2.2 0.0
C18:0 3.5 15.2 0.0
C18:1 24.0 39.4 21.92
C18:2 53.3 11.8 69.47
C18:3 7.8 1.0 7.03
C20:0 0.7 0.2 0.03
飽和(%) 14.1 42.4 1.55
定温で、固体か、液体かは、この飽和化合物の濃度で表せる。 同時に、BDFの冬季固まり安さの指標の曇り点(CP)、目詰まり点(CFPP)などに現れます。石鹸でもその硬さとなって直接現れます。
菜種油が大豆油に比べて冬季固まり難いのは、菜種油の飽和脂肪酸は7~8%と大豆油(上記)に比べて低いことが理由となっています。逆に米ぬか油は19~20%程度となっていて、より固まり安いということになります。
これがラード(上記)、牛脂、ココナッツ湯などの固形油脂となると、40%~55%となり、冬季どころか、定温でも固まっています。
尚、油をBDF化することにより、融点は10~12度C程度下がりますので、定温で固体油脂も、BDF化すれば、夏場など、最低気温が15度C程度以上なら使えることになります。
以上から、固形油脂はBDF原料としては、嫌われ通常除外されることになります。逆に固形石鹸では(液体石鹸はOK)、大豆油や菜種油は、固まらないので使わず、固まりやすいラードやココナッツ油、牛脂などが主成分として使われています。
では、冬季用のBDFはどうでしょうか?菜種油ベースのBDFでも、CFPPは-7度程度です。これを厳寒時のー30~ー40度Cでも使える様なBDF(以前紹介)とするには、この飽和脂肪酸をほぼ完全に除外すれば、可能となります。
この場合は、上記表の(大豆油処理済参照)様に、飽和脂肪酸を除去すればよいことになります。収率は異なってきますが、どの様な油脂でも、分離やブレンディング処理などにより、冬季用のBDFはできます。どの温度まで耐えられるかの仕様によって、飽和脂肪酸濃度を調整すれば良いことになります。
今回は、BDFと石鹸材料の関係、及び冬季用BDFは、大豆油でも何の油でも、飽和脂肪酸を除外分離さえすれば可能であること。 除外した飽和脂肪酸は、直接これらの油だけでは出来ない固形石鹸にもなることなどを紹介しました。つまり、BDFと石鹸とはお互いに、密接な関係と補完関係にあると言えます。
バイオディーゼル(BDF)に興味をもつ人は、ECO石鹸にも興味を持ちましょう !!
石鹸作りばかりでなく、BDFに於いて副生石鹸分除去は必要な技術ですから、。。。。
では、また。。。
Joe.H
追伸)
上記Blog記事は、一般公開情報です。
何かコメント、ご意見、及び質問等具体的な相談のある方は、
下記メール・アドレス宛へ直接ご連絡下さい。
非公開情報など内容によっては、お答えできない場合や条件付となりますが、
可能な限り対応させて頂きますので。。。。
尚、お問い合わせの前、下記を必ず参照ください。
以上