売電ビジネスなら、バイオマス廃棄物を使う低温プラズマ・ガス化発電が有利です!!!

相変わらずバイオマス固定電力買取制度(FIT)を目指した発電ビジネスが、皆様の関心事の様です
 
導入例はソーラー発電が圧倒的に多いのですが、最近はソーラー発電の課題が徐々に皆解ってきたのか、バイオマス原料を利用したバイオ燃料(合成ガス、合成軽油、他)化発電案件も増えてきています。勿論、この傾向は好ましい傾向だと思っています
 
特に、バイオマスガス化発電、小は個人レベルの10~20KW程度から、大は企業レベルで1000~5000KW規模までの各種相談があります。
 
理論的には、10KW、20KWでも、売電は可能かもしれませんが、これでは実ビジネスにはなりません。
下記は、20KWの新改良型製品の例です。
1日10時間運転で、電力販売価格が24円/KWhであっても、20KWの例でも、1日に20KWx10h/日=200KWh/日x24円/KWh=4800円/日です。10KWの例なら、半分の2400円/日です。年間300日稼動でも、それぞれ、144万円/72万円です。
 
無人でこの売り上げがあれば、良いのですが、このガス化発電は無人運転では無理です。
加えて、バイオマスの原料費、更には乾燥費や設備償却も必要です。従って、この規模は、主に自己電力使用限定だと思います。
 
ビジネス目的なら、最低限でも、前記の10倍の100KW、200KW規模程度が必要です。前述の10倍の能力ですから、売電金額は、年720万円/1440万円となります。
 
本格的な企業規模での売電ビジネスだと更に10倍の1000KW、2000KW程度以上になります。この場合の売電金額は、7200万円/1.44億円となります。
 
但し、この為の原料チップ費が問題です。
1000KWでも、乾燥バイオマスチップが通常毎時1.0トン~1.5トン程度必要です。無料のバイオマスチップが、長期に入手できれば、勿論、有利な売電ビジネスが可能です。
 
現実は、毎日10トン~15ものバイオマスチップを、無料では入手できないと思います。
例えば、バイオマスチップが1kg当たり10円だと仮定すると、10トンで10万円、15トンなら15万円が毎日原料費だけで必要になります。
 
年間だと、稼働日数300日/年としても、3000トン(3000万円)~4500トン(4500万円)が原料とその費用になります。電力の年間売上額が7200万円ですから、原料費だけで、42~62%が原料費割合となります。バイオマスチップは、大量に輸入は可能ですが、原料価格は、通常、更に高価になります。とても採算ビジネスにはなり得ません。
 
更に、、人件費、保守費、償却費、。。。も考慮すると、ビジネス上は、更に苦しくなります。
ガス化発電の廃熱の有効利用が必要不可欠ですが、売電ビジネスでは、廃熱利用先が無い例が殆どだと思われます。。
 
採算的には、1kg当たり10円から5円、出来れば3円以下まで低下できれば、充分ビジネス的に成功すると思いますが、。。。現実はこの様なバイオマス原料は、殆どない!!と思います。
 
バイオマス原料費を出来れば1kg当たり3円、或いは更に2円、1円以下まで低下できる原料は無いのでしょうか??? この原料は、バイオマス廃棄物を使う以外の方法はないと思います。
 
バイオマス廃棄物、或いは他の廃棄物が利用できるガス化装置が、最近特に注目されています。
その1例はSierra Energy社FastOxのガス化発電装置です。
以下は過去のBlogs紹介ページ(後半部)です。
 
勿論、ガス化ではなく、液化、直接軽油を合成できる手法もあります。
こちらの代表例は、触媒解重合法の幾つかの製品を下記で紹介済みです。 
 
ガス化装置でも、殆どの装置は、通常のバイオマスチップ類用に設計された製品で、廃棄物用としては使用出来ません。お薦めの下記ガス化装置も、通常のバイオマス・チップ、或いは100%バイオマス廃棄物原料しか使えません。バイオマス専用ガス化装置です。
 
前置きが長くなりましたが、今回のテーマは、バイオマス廃棄物、或いはその他のプラスティク類、食品残渣、。。等原則総ての廃棄物(炭素・水素)化合物を分解できるガス化装置の紹介です
 
このタイプのガス化装置であれば、前述の様に、売電金額の42~62%程度必要な原料費が、実質的にゼロとなりますので、極めて有利なビジネス展開が可能となります。
 
原料の1部を燃焼して、その熱でガス化分解を行うガス化装置(下記添付例)が多いのですが、
 
最近注目されている方法は、最新のプラズマ(Plasma)方式のガス化装置です。
 
このプラズマガス化装置、所謂、高温プラズマガス化装置(Themal Plasma Gasifier)と言われているもので、元々米国のWastinghouse Plasma社が商業化し、日本でも2ヶ所導入されています。また、他社でも類似の装置を主に、廃棄物処理用ガス化装置として販売会社(ALTERNRG社)を経由して販売しています。
 
プラスマ方式は、そのプラズマ温度が7000~10000℃と言う超高温ですので、廃棄物に含まれている危険物、有害物質を総て分解し、また金属やガラス類も溶解できますので、廃棄物処理法としては、最適なガス化法と言えると思います。
 
但し、問題は、超高温を実現する為に多量のプラズマ電力を必要とすること。加えて、高温の為、装置の内側に金属を保護する為に、耐火煉瓦を敷詰める必要があるばかりか、年1回程度長期にて停修が1ヶ月程度必要の様です。
 
勿論、発生した合成ガスを使って発電も出来ますが、使用電力を考えると、売電余力は殆ど無いか、或いは不足すると言う情報です。
 
要は、廃棄物が処理が完全にできることが主目的となっています。
よって、売電までは無理であり、ビジネス的には成り立たないことを意味しています。採算を考えなくて良い市などが行うゴミ処理施設用ガス化装置と言えそうです。加えて、設備投資額が、特に高い様です
 
売電ビジネス用として、注目しているのは、Cold Plasma Gashifierと呼ばれている新方式のプラズマ・ガス化装置です。この方式は、Non-Thermal Gasifier、Low Temperature Plasma Gasifier 等とも呼ばれています。
 
この方式のガス化装置、幾つかのベンチャー企業で発売していますが、1例として、AdaptiveARC社の製品を紹介します。
 
下記がその製品の写真です。
左側の高い塔は、緊急エマージェンシー時の煙突であり、プラズマガス化炉はその左側の下側の装置だけです。
合成ガスは、タールや不純物は、殆ど生成しないので、ガス精製装置も殆ど不要です。製品の合成ガスは、ガスエンジン発電機(写真の黄色)に供給されます。
プラズマ・ガス化炉は、通常のガス化の様に、加熱用に空気を供給し、一部のバイオマスを燃焼させる必要がない為に、合成ガス中に窒素分(通常は50%程度窒素、不燃ガス)を含まない為、高エネルギー合成ガスが得られます。
 
 
 イメージ 1
 
下記の写真は、上記の装置を運送するときの状態です。塔の部分が横に倒れますので、写真の様に、コンテナー(長さ40Feet=12m)にも乗る大きさになります。
 
イメージ 2
 
 
この方式は、通常のプラズマの様に、超高温ではなく、それでも高温ですが、プラズマで1300℃程度でガス化する装置です。従って、問題となる電力使用量も大幅に低下できています。約70KW程度で、自家発電の一部を使いますので、外部電源は不要です。
 
電力低下に出来る技術は、プラズマガスを完結的に(パルス状)に発生させるだけで、電力は少なくなります。また、プラズマにより、原子核を除いて、電子だけを加熱・励起するだけで、分子が分解できる様ですので、エネルギー効率が極めて効率的の様です。
 
因みの、この装置の仕様(24時間運転、木質系バイオマス廃棄物)は、
・1日当たり使用原料  26トン(水分16%)
・熱効率    86.5%
・電力効率  29.0%
・発電量    930~1000KW
 
下記は、その設置例です。
 
イメージ 3
 
尚、この装置の価格ですが、先方と交渉の結果、価格はターンキー方式で、4.1M・Euro(5.8億円)と言うことです。 但し、建物等は含みません。
添付写真から判断すると、簡単な装置でもあり、もう少し安価のはずとも思えますが、開発費等も含まれているものと思います。将来、量産化すれば、更に大幅に価格低下すると思います。
 
年間の売電売上は、電力価格を買取制度の最安値の17円/KWhを適用しても、930KWhx8000h/年x17円/KWh=1.26億円/年になりますので、設備投資額は、5.8億円/1.26億円=4.6年で回収できます。
人件費、他を含めても、5.5~6.5年程度で、完全に回収できそうです。
 
今後、バイオマス発電ビジネスを考える場合は、原料が無料か、少なくとも限りなくゼロに近いガス化発電が、もし計画するなら、得策、必要不可欠だと思います。廃棄物処理費(Tipping Fee)が受けられるなら、なお更です。
 
いずれにしても、廃棄物なら、原料の入手が困難と言うことは無い!!と思います。
幾ら処理しても、廃棄物を使い切ることは無いくらい、充分すぎる位の量あります
 
将来的には、売電ビジネスより有利な合成ガスをF.T.法による合成軽油の製造があり、既に幾つかの米国ベンチャーが計画しています。下記はその1例ですが、先方と接触しています。
 
但し、現状は無理です。少なくとも、2~3年後がと思います。
 
。。。という事で、今回は低温プラズマ方式のガス化装置の紹介でした。
大規模のバイオマス発電を検討されている方、是非ご検討下さい。
 
では、また。。。
 
Joe.H
 
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