中規模のガス化発電用ガス化技術はどの方式が最適/ベストでしょうか??????

最近、電力の固定価格制度(FIT)発足の為もあり、バイオマス(木質系チップ)の利用による発電の問い合わせが急上昇しています
 
わが国ではまだ殆どが、バイオマス発電ならスチーム・ボイラー+タービン発電機と言う組み合わせです。装置価格も高く、加えて発電効率も低いのですが、主流です。但し、導入実績も多く、どこのメーカーでも扱えるので、低リスクであることは確実です。
 
バイオマス発電、クリーンなガス化発電しかない!!?
が今や
世界の主流、常識、新設発電設備例の殆どです!!

しかし、我が日本は、この分野でもガラパゴス化しているのでしょうか
 
あいも替わらず、バイオマス発電=スチーム・ボイラー発電方式!!
 
ボイラー廃ガス処理(窒素酸化物)の他、高圧蒸気(スチーム)を扱う為に、ボイラー主任技術者も必要ですが、ガス化なら常圧で不要です。
 
当方のお薦めは世界の常識、即ち、バイオマス発電=ガス化+ガスエンジン発電機!!
 同じバイオマス原料を使って、2倍もの電力が簡単に得られます。
加えて、投資コストも、安価であり、恐らく2分の1から5分の1、或いはそれ以下で済みます。
 
 
今回のテーマは、そこで発電用のガス化(Gasifier)装置技術の紹介です。
ガス化技術は、バイオマスを原料に限定しても、世界に数十以上も存在します。
 
余談ですが、国内でも、大学やベンチャー企業が開発し特許を取る等と言われる方式がありますが、私の知る限りバイオマス発電には最適化されていない様です
 
多くは、空気に代えてスチームを使う方式で、高濃度水素を含む合成ガスを製造するものです。通常のガスエンジンでは、高濃度H2ガス(30%+)は、使いにくいからです(要エンジン改造)。
FT法の合成燃料(ガソリン、軽油、アルコール)の製造原料用には適しているかもしれませんが。。。
加えて、装置コスト高、製造コスト高、保守コスト高だと思われます。スケールアップも難しそうな方式が多く、現状は最大150~200KWhまでだと思われます。
 
本題に戻りますが、この発電用ガス化技術ですが、原料バイオマスを通常のチップ材に限定しても、最適な方式はその規模により変わります。総ての規模で最適な方式は存在しません。
 
規模と通常言っても、その認識は各社(者)各様ですので、ここでは下記の様に規模別に仮定します。
1)5KWh~200KWh
2)200KWh~2,000K(2M)Wh
3)2MWh~50MWh
4)それ以上
 
1)のタイプは、個人用、或いはガス化発電デモ用と言える範疇で、電力を売却できる規模ではありません。
この例も過去紹介済みです。
 
3)のタイプ以上が、発電ビジネスが成り立つ規模だと思います。
これまでも、いろいろ紹介済です。
但し、このクラス規模が海外商用メーカーの主戦場ですが、国内需要は殆どありません。
3)以上の大型バイオマスガス発電(、及び液化)についても、下記で紹介済です。
 
一方、国内需要の殆どは、2)の規模のガス化発電が範疇です。
例えば、中型ですが、単一流動層型、アップドラフト型(後述参照)製品を紹介しています。
 
中型規模(海外は小型分類)は、問い合わせ、国内需要も多く、他に余り紹介していないので、このクラスのガス化装置の紹介が今回のテーマです。
 
このクラスの発電用装置をご希望なら、ここに紹介する
ガス化方式と価格に勝てる製品は無い!?
と考えています
 
下記の図を見つつ、説明を致します。
 
イメージ 1
 
 左から、所謂アップドラフト型固定床ガス化方式(UFBG)、中央はダウンドラフト型固定床ガス化方式(DFBG)、そして右側が、当方お薦めのTwinーFire型固定床ガス化方式(TFBG)です。
 
以下に順を追って説明します。
 
一般にガス化装置と言えば、上記の1)、及び2)の発電規模であれば、殆どは、UFBG,或いはDFBG方式です。
 
但し、これらの方式は問題点を抱えつつも、装置が簡易、装置コストが安価等の理由から、実に多く使われています。
 
バイオマス発電に適した、このクラスのガス化方式の研究、実用化試験は、過去数十年(30~40年)、世界各国で開発、改良実践されて来ました。
 
合成ガスは、ガスエンジン燃料として使われる訳ですので、クリーンであり、そして比較的装置も安価である必要があります。加えて、同時にガス化装置の効率化、ガスエンジンの効率運転が求められます。
 
この場合は、この規模クラスのガス化装置は、流動層方式等ではなく固定床方式は絶対条件です。加えて、ガス化補助燃料として、酸素、或いは蒸気ではなく空気が使われます。
 
大型の3)の上位規模以上、10MWh程度以上では、逆に流動層(Fludized Bed)方式ガス化等が主流となります。それも単一流動層、二塔(Double)流動層ガス化方式等が、代わってより効率的で最適な方式と言えます。いくつか代表例は、過去にも紹介済みです。
 
元々は、ガス化装置と言えば固定床方式、アップドラフト型(UFBG),或いはその改良型のダウンドラフト型(DFBG)しか在りませんでした。
 
このアップドラフト型(UFBG)方式は、図からもわかるとうり、原料は装置の上部から入れて、ガス化の部分燃焼の酸素(O2)分として空気を、装置の下部から導入します。
バイオマス原料と空気は向流(Counter Flow)で接触して、部分燃焼・ガス化反応を行いつつ、できたガス燃料(Producer Gas,SynGas)は上部から出ていきます。灰分(Ash)は装置底部から連続的に排出されます。
措置の中では、上部から底部へと移動に従いバイオマス原料は乾燥(Drying),分解(Pyrolysis)、脱離(Reduction),(部分)燃焼(Oxidation)が起きます。
 
ここで、バイオマスガス化と同時に、分解工程で不純物タール分(Tar)が多く副生く(50-60g/Nm3)します。このタール分の除去(低下、10mg/Nm3程度以下)なしでは、ガス・エンジンの燃料ガスとしては使用できまません。
 
通常、どの方式のガス化装置でも、後段に何らかの(タール分除去)ガス精製装置が必要ですが、この装置負荷の増大と装置の複雑化が起きてしまいます。
 
このUPBG方式の炉内温度は、上部から底部にいくに従い、炉内(ガス)温度は上昇しますが、ガス化+タール生成が起きる分解工程(750~850度C)を通貨した燃料ガスは、より低温の乾燥工程(100~200度C)を通るだけで、ガス化炉外に出てしまいます。
タール部を分解する為には、熱分解(Thermal Cracking)可能温度以上の温度(1000~1200℃)が必要ですが、この温度レベルを通らずに炉外へと出てしまいますので、タール分を多く含んだ燃料ガスです。
大型なら精製装置で分解触媒を使いタール分解も行えますが、中型では割高です。
 
この問題点を解決したのが、次のダウンドラフト型(DFBG)方式です。図の中央部の方式です。
UFBG方式との違いは、空気の投入口とガス燃料の取り出し口の違いです。
この方式は、副生タール分の減少を狙った改良型(2g/Nm3)と言えます。
 
即ち、空気は中央部、或いは上部から投入し、生成ガスは底部から取り出します。この方式はバイオマス原料と空気(生成ガス)が並流(同じ方向、Concurrent Flow)となっています。
 
この方式は炉内は、上部から底部に行くに従い、乾燥、分解、(部分)燃焼、脱離工程となります。分解工程で生成した燃料合成ガス+タール分は、この方式では次の高温の燃焼、脱離工程を経て炉外へ底部から出ます。従って、タール分が熱分解し、より低濃度のタール分を含んだ燃料ガスが得られます。
更に、部分燃焼し発生するCO2は、脱離工程で、空気(酸素)、或いはバイオマス含有水分(蒸気)と逆反応して、CO2から燃料COガスも生成できてしまいます。
 
バイオマス合成ガスの主燃料成分は、水素(H2)、一酸化炭素(CO)ガス、及びメタンガス(CH4)などですので、燃料にならないCO2は、少ない程より高エネルギーガスが得られます。
 
ダウンドラフト型(DFBG)の欠点、課題は無いのでしょうか???
実は灰分の多さで、炭素分(Carbon)が残ります。炭素分が多いと言う事は、原料炭素が充分に利用CO化されずに灰分中に残留炭素(Carbon)として一部排出してしまうことです。
 理由は、脱離工程があり、この工程で炭素が一部生成してしまうからです。
 
この結果、この方式での単一バイオマス原料に対する燃料ガス収率は、残留炭素分だけ、多少低下します。小型の1)クラスの装置であれば、対して問題にならないのですが、限りあるバイオマス原料で最大発電化、最大電力・売り上げを目指すこの2)クラスの商業規模(以上)では、改善すべき項目です。
 
そこで登場するのが、更に改良型のTwin-Fire型ガス化装置(TFBG)です。上部の図の右側の図を参照ください。
 
この方式欧州で最初に開発された最新技術(商標NO-TAR)類似(空気口Air2ヶ所)であり、
 
 
イメージ 2
 
 
2)クラスの商業規模で最も適した技術方式、発電,装置として、最近、顧客にお薦めしています。 
 
この方式、図を見れば解る様に、アップドラフト型とダウンドラフト型の折衷案であり、両者の欠点を補完しつつ、長所をそのまま保持しています。違いは空気の投入口が2ヶ所あることです。
 
従って、ガス化炉の上部はダウンドラフト型、下部はアップドラフト型です。即ち、炉上部から底部へ、乾燥、分解、燃焼、脱離、燃焼工程となっています。
 
ダウンドラフト型と異なり、分解生成ガスは、高温の脱離・部分燃焼工程を経て炉外で出ますので、生成タール分の殆どは熱分解されますので、生成ガス中のタール分は少ない(10-50mg/Nm3)、より優れた合成ガスが得られると同時に、灰分中の残留炭素分も少なくなります。
更に、生成燃料ガスの発熱量も、前2者に比べて10~20%近く高いものが得られることになり、より効率的といえます。
 
この方式でも、装置価格は、ダウンドラフト型などの装置と比べて、価格差はごく僅かです。
残念ながら、当然国産品は、規模や価格に関わらず、存在しません。
 
興味があれば、お問い合わせ下さい。因みに、同じ発電能力のボイラー方式バイオマス発電なら、国産でも可能ですが、少なくともこの5倍以上することは、確実です
 
加えて、スチーム・ボイラー方式の使用バイオマス量は、ガス化方式の2倍は必要です。
無料のバイオマス原料があれば、話は別ですが、購入の場合、或いはバイオマスの運送費を考え併せると、どちらが経済的に有利かは、採算計算をしなくてもわかると思います
 
因みに、1KWhの電力を得る為には、1時間当たり1.0~1.5kgのバイオマス原料の供給が必要です。
供給量は、木質バイオマスの種類(木質、種類、草、他)、及び含有水分率(含水率)などにより、上記の範囲で変化します。
 
このクラスのガス化では、経済的に採算が取れませんが、コンバインド・サイクルなどの技術を併用すれば、1KWhの必要原料は、更に0.7~0.8kg/時程度まで低下可能です。
 
追伸)平成29年1月1日
本Blogで紹介済の最新売電(FIT)向け大中小のガス化発電製品,バイオ油ディゼル発電設備(ガス化発電、ディーゼル発電、バイオガス発電、他)です

小型の50KWでも、最新の中大型ガス化技術の多段法ガス化炉もあります。

小型から中大型のガス化装置、及びバイオ油(SVO)発電なら、


追伸、以上

では、また。。。。
Joe.H
 
追伸)
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以上