実用化も近いBiodiesel(BDF)固体触媒の最新情報です!!

固体触媒によるバイオディーゼル(BDF)反応について、以前紹介しました。
 
固体触媒法には、3つのアプローチがあります。
・金属酸化物、化学物質など固体化合物を使う方法(この方法が数は多い)
・化学樹脂(イオン交換樹脂)を使う方法
酵素を固体(樹脂、無機固体)に担持させる方法
 
主に説明したのは、下記の2例でした。
 
・固体触媒を通常の固定床(Fixed Bed)方式で反応させ米Mcgyan Process法( http://www.sartec.com/mcgyan.html )
 
アイルランド企業が開発したSCRO-80と言う固体(粉体)触媒を使うエステル交換プロセスで、米Biodiesel誌に掲載( http://biodieselmagazine.com/article.jsp?article_id=4430 )。流動スラリー方式の反応。
英語版YouTubeにデモ動画あり( http://www.youtube.com/watch?v=xosLuAElSwU )反応温度35℃で2分で完了とか。。連続方式なら10℃でもとか。。。
  
その後、幾つかの例を下記に、実用化されている手法、或いは近いプロセスだけをピックアップしています。
 
・米国Brown大のビスマス(Bi)金属触媒+Micro-Wave(電子レンジ)を使う方法(温度150℃)で、エステル反応・エステル交換反応を同時に行う (http://www.rdmag.com/News/Feeds/2010/10/manufacturing-brown-university-chemists-simplify-biodiesel-conve/ )
 
・注目は希土類ルテニウム(Ln)+Ca酸化物などを使う米Wayne大の研究者の開発のNextCAT触媒です。特徴は、エステル及びエステル交換反応が並行して同時進行するようです。http://nextcatinc.com/News51710.htm 
高遊離脂肪酸(~30%)や水分(~5%)でも問題なく、1段で転化率90%を達成、2段なら規格値以上が可能と言っています。この触媒を使えば、BDF製造者は従来に比べ1ガロン当たり1$(22.5円/L)の経費節減(安価な原料へ変更、運転経費減)可能と言っています。一方、ロィヤリティ1ガロン当たり12.5セント(2.8円/L)支払う様です。
Ln触媒は、名古屋大の研究報告もありますが、実用化は未定です。NextCATは、実用化も近そうです。
  
・イオン交換樹脂メーカーでも、エステル反応用樹脂を供給しています。http://www.amberlyst.com/biodieselsolutions.htm 大手イオン樹脂メーカーの製品で、実用化実績のある少ない例です。
但し、エステル交換反応対応出来ませんが(エステル交換反応はアルカリ法)、独バイエル(直系エンジニアリング会社)、その他2~3のBDF装置メーカー会社が、既に提携し、この触媒を使用したプラントの販売をしています。
 
 
・臨界温度(圧力)+溶剤添加+固体触媒で、エステル反応+エステル交換反応を行う例もあります。米国立研究所(INL:Idaho National Labo. )の特許US Patent.6,887,283)をライセンス。特定の触媒の発明ではなく、臨界+溶剤(均一化)を狙った手法(http://www.texasbiodiesel.com/research.htm
 
・以前報告のBlog( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/8562323.html )で紹介済( http://ceimicinovel.com/ )のSCRO-80触媒の様に、固定床ではなく、スラリー状の固体触媒の例として、米CATILIN社のT300触媒もあります。2007年頃より、この触媒の開発の報告があります。
エステル交換反応を通常の反応温度(60~70℃)で2段反応を行うと言うう例、触媒販売も開始の模様です。http://www.catilin.com/index.html
この会社、5月11日付で米国バイオ触媒会社(Albermale)に買収されました。BioFuel戦略の一つとして、バイオディーゼルを位置づけている様です。http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=117031&p=irol-newsArticle&ID=1562561&highlight
同社は、BDF固体触媒(エタノール用TS-15)を販売中であると伴に、BioFuel関係の触媒(油脂熱分解法PO-10など)をシリーズ化(GoBio)しています。http://www.cleanenergycongress.com.ar/es/docs/pdf/15-%20Frans%20Plantenga.pdf
 
酵素を使う高FFA油処理用として、エステル反応+エステル交換反応を2種類の酵素を使う手法で、昨年より小型パイロットでテスト中です。この会社は、米国の田舎町のCOOP組織ですが、廃油回収、BDFの生産ばかりでなく、新プロセス開発でも頑張っています。エステル交換反応では、苦戦中の様です。http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/11029725.html
酵素デンマークNovoZymes社のものを使用しています。
 
・同様に、酵素法(酵素2種類を使う)のプロセスを販売開始したBiodiesel Experts Internationalです。独自の触媒ではなく、何処かの商売を購入して、プラントは自作だと思います。同社はアルカリ法の装置メーカーとして有名でステンレス製100ガロン(380L)~600ガロン(2300L)のバッチ装置メーカーですが、彼らも、アルカリ方だけではは限界を感じているのでしょうか? 
 
・中国でも、酵素法2段反応、溶剤なしででバイオディーゼルを製造とのこと。最初に脂肪酸に分解+エステル化と言うステップ。実用化はまだ先?
 
・溶剤添加+固体触媒(デンマークのNovoZymes触媒)で、常温のエステル反応+エステル交換反応を狙い、固体触媒として酵素(固体担持、見かけ上は固体触媒)を使う例SUNHO(台湾)もあり、パイロットは稼動中です。但し、反応速度を促進させる為などの目的で溶剤を使う手法です。http://www.sunhobiodiesel.com/english_home.htm 、 http://www.sunhobiodiesel.com/files/sunho_brief_technology_overview.pdf
 
・同様に、溶剤を使う例では、アイダホ大の研究所(INL)で開発した触媒SSC、提供会社はBioFuelBox( http://www.biofuelbox.com/ )もあります。彼らはNovaStreamと呼んでいます。臨界圧法(高温高圧)ですが、高FFA対応で、稼動プラントもあります。(YouTube Video,http://www.youtube.com/watch?v=YDre1FoWT-s )
 
 ・次も同様に、JatroDiesel社の臨界状態(温度、圧力)で固体触媒(金属酸化物)を1段で反応を行う手法で、SCTーTechnology(SuperProcess)と言っています。但し、FFA濃度は15%まで対応できる様です。
この会社は、BDFの製造会社,兼BDF技術・プラントの販売も行っている米国法人です。歴史は古いと言っています。
金属固体触媒+高温高圧で、Super-Column(固定相反応器だと思われます)1段反応法です。触媒の組成は不明です。更に自社技術か、否か、特許関係も不明です。FFA100%まで対応可能と言っています。他の固定触媒と同じ様な特徴は持ち合わせている様です。
下記の説明にによれば、触媒は1年間使用できて、触媒コストは1ガロン当たり1.5セント(0.32円/L)と安価です。10MMgpy(年産3.3万トン)のプラントで、臨界圧法でも製造経費(化学消耗品、電力、保守費、人件費)は1ガロン当たり30セント(8円/L)程度で、アルカリ法などの通常法の45-48セント(9.9-10.5円/L)に比べて安価だと言っています。
最近も記事があります。
 
Blogの文字数の制限で下記の続編に続きます。
続けて参照ください。
 
以上