大変便利な分液ロートとバイオディーゼル(BDF)の関係です!!

 分液ロートを、ご存知でしょうか??化学実験などで良く使う分析用ガラス器具です。
 
この器具はバイオディーゼル(BDF)の既存製造者にとっても、或いは、これからBDF作りと考えている人にとっても、必要不可欠な器具とまでは言わないまでも、有れば大変便利な器具です
更には、BDFを勉強中で、とても本格的な装置までは購入できないと言う方々も、同様です。最初はこの器具でまず試して見ましょう。
 
今回は、この分液ロートの紹介です。英語ではSeparatory Funnel と言います。
 
本来の使用法は、器具の名前の様に、2層(以上)に分液した液を分ける器具ですが、BDFの反応時の混合も手動で簡単に出来ます。勿論、反応は別のビーカー+攪拌器。。等を用いて実施し、グリセリン分離等の沈降・分離操作専用としても使えます。
 
油とメトキシドを入れた後、上部の栓を締め、器具の上下を手でしっかり持ち、上下、左右に必要な時間振れば、混合は完璧です。長時間だと、手も疲れますが、最初は強く、後はユックリ、或いは休み休みでも、エステル交換反応は充分進みます。徐々に冷えてくると内圧が負になりますので、時々栓を緩めて、圧力調整をします。この操作をしないと、栓が抜けなくなることもあります。当然、万が一の時に備えて、安全めがねや手袋などの防具は着けて、注意深く実践しましょう!
 
用途に応じ、最大は2L程度から、1L、500mL,250mL、。。50mLと種々の大きさがあります。私は、2L,1L、そして250mL(添付。手持写真)の3個を使っています。Micro-Batch用(或いは、Mini-Batch用)としては、1個なら1Lタイプが便利でお勧めです。
 
主な用途を紹介します!!
 
新BDF製造法などの試験テスト:これまで製造したことの無い新反応テストを気軽に行えます。例えば、過去に紹介した例では、。。グリセリンが生成しないBDF法( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/4310416.html  )が有ります。アルカリ法しか経験の無い方は、酸触媒法も気軽に出来ます。反応が遅いので、器具を保温した方が、出来れば良いと思います。
 
・新油での反応テスト:新油や新たな油脂での反応テストが気軽に出来ます。
例えば、ラード油脂のBDF反応テスト(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/4406365.html  )です。
その他、時々トライするのは、期限切れの未使用の菜種油や紅花油などを使用しての反応です。通常バッチででは、量的に無理ですが、Micro-Batch法なら、1L、或いはそれ以下の500mL程度あれば、充分反応テスト可能です。
通常のバッチでは体験出来ない新たな冒険やその結果に驚くことも多々あると思います
 イメージ 1
反応条件変更などのテストバッチ利用法:実際のバッチ装置で新たな条件でいきなりテストするのはリスクがあります。この様な場合は、Micro Batch法が最適です。
例えば、分液ロートを用いれば、海外では、時々実践されているメトキシドを最初にいれて置き、その後に加温した油を入れる(AAF Method)と言う通常の手法とは逆の方法も簡単にテストし、その差をご自身で確認できます。
結果は、ご自身で確認ください。
 
・反応解析手段の提供:例えば、アルカリ触媒量と反応速度、転化率の相関を求める。
良く他人に、触媒量やメタノール量のことを聞く人がいますが、簡易転化率キットとMicro-Batch法との併用で、数種類の異なる触媒量で反応テストをすれば、即、最適触媒量が把握できます。メタノール量も同様です。
 
メタノール量との関係を求める自分の体で実感することが大切!
理屈では、各種情報や人からの教えで解っていても、何事も実践が重要です。Micro-Batch法なら、何回も、条件を変えて自己学習が出来ます。
 
製品BDFの転化率に不安がある場合:簡易転化率キットで未反応物が有る場合、自信が無ければ、全体の再バッチを行います。
逆に、製造工程は自信あり、完璧、そして分析法を疑うなら、例えば、サンプル1Lをとり、50mL程度のメトキシドを加えて反応させれば、直ぐ結果が出ます。
未反応が有れば、グリセリンが再沈降します
沈降しなければ、転化率は問題なしと言うことで、再バッチは必要なく、不必要なメタノールや触媒の無駄が省けます
 
 
2段反応の優位性の確認:実バッチでも確認は可能ですが、Micro-Batch法なら簡単です。
1回めは1段法で、もう1回は2段法で反応させ、出来た両者のBDFを比較すれば、1段反応だけでは、高転化率BDFの製造は、平衡関係から無理なことを既に紹介済みですが(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10994752.html )、ご自身でも、簡単に納得できます。
 
時間経過と反応転化率の関係を把握する紹介済の記事( : http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/8479661.html )の様に、Micro-Batch法で反応が驚異的な速さで完了することを確認できましたので、続いて実バッチで試したところ、同様に驚異的な速さで反応が完了することが再確認できました(http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/9146894.html )。
Micro-Batch法を使わなければ、多分、通常のバッチ装置運転の製造だけでは、見出せなかったと思います。最大の成果でした。
 
簡易転化率分析法の器具としての利用法:別途簡易分析試薬(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10901144.html )が必要ですが、これがあれば、小型の分液ロート(50~100mL)により、未反応油があれば、底に分離しますので、この液を分離測定すれば、転化率の定量測定も出来ます。
 
 
その他にも、有効な利用法は有ると思いますが、主な利用法を紹介しました。
 
また、この分液ロートは、反応とグリセリン沈降分離だけではなく、水洗浄・分離や吸着剤、或いはイオン交換樹脂による精製工程なども行えます。
 
通常不可能なのは、分液ロート内の油の直接加熱ですが、私は別と小さな鍋などで加熱した油を分液ロートに注ぎます。分液ロートを周りから加熱したり、中に入れるタイプのヒーター類もありますが、高価ですし、安物の小型ステンレス製鍋(アルミ製は腐食で使えません)での加熱法で充分です。但し、火気には充分注意ください。廉価版の電磁調理器(3~4000円)が便利で安全です。
 
この様に便利な分液ロートですが、写真の様な1Lの硬質石英ガラス製の分液ロートに支持台と留め金など全てを含んでも、米国での価格は56$(4800円)程度ですし、分液ロートだけなら40$(3400円)程度の価格です。送料を含めても、そう高価なものでは有りません。
 
日本でも類似品を購入可能ですが、価格は数倍はします。
例えば、実験用ガラス器具メーカーで販売してますが、分液ロート単体でも1Lタイプだと2万円以上、50mLタイプでも7000円前後はします。
 
でも買う価値は充分あると思います。
上記の米国製を購入希望でしたら、ご連絡ください。
 
逆に、この僅かなお金をケチって、不良BDF製品を製造したり、いつまでも従来と同じ製造条件で、メタノール、触媒の無駄使い、無駄な反応時間を費やす方が、遥かに大きな損失だと思いませんか??
 
どうしても購入は無理と言う方、一寸工夫すれば、使用済のペットボトル等をご自分で加工すれば、類似品はできます。
 
今回は、有れば大変便利な小道具の分液ロートの紹介と利用法でした!
では、また。。。。。
Joe.H
 
 
追伸
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 可能な限り対応させて頂きますので。。。。
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