Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)の反応速度を理解しよう!!

Biodiesel(バイオディーゼルBDF)反応転化率を、簡易分析や単なる感じで、結果のみを捕らえていませんか?
或いは、正確な分析と言うことで、ガスクロや、液体クロマト分析をされたことが、あるかもしれません。
 
但し、これらは、あくまで結果であり、BDFを製造する場合は、
そこへ至った経緯を理解できれば、貴方の製造技術は格段に進歩するはずです。
 
BDF分析結果の転化率は、車で言えば走行距離です。
ではどの程度の車の速度が出したのか、速度は一定速度だったのか、或いは早かったり、遅かったり適当に変化していたのか等です。
 
BDF反応の反応速度も同様ですが、車は運転者のアクセルの強弱で、速度は簡単に変わりますが、BDF反応速度も製造者の意思で変えることはできますが、車の様に自由に、簡単にとまではいきません
 
BDF反応速度、及びその累積結果としての転化率を理解する為に、反応速度式を、少し考えて見ましょう!!
 
先ず、WVO(廃油)でも、新油でもいいのですが、油はトリグリセリドをTG、その反応器内での濃度(モルノード)を【TG】とします。以下同様にメタノールをAとし、その濃度を【A】します。
同様に中間体のジグリセリドDG,【DG】、モノグリセリドMG,【MG】、またグリセリンGL,【GL】とし、BDFをBD,【BD】とします。
 
こうすると、BDF反応は良く知られている様に、下記の反応式が成り立ちます。
 
TG + A ⇔ DG + BD(k1、k2)
DG + A ⇔ MG + BD(k3、k4)
MG + A ⇔ GL + BD(k5、k6)
 
となる、反応で、は、反応は条件次第で、左から右にも、右から左にも進みます(可逆反応)。
それぞれk1からk6は反応速度定数と言い、温度や攪拌によって変わる定数です。
これらの式を纏めると、良く見かける次の式になります。
TG + 3A  ⇔ GL + 3BD(k7、k8)
 
次に、これらの反応速度式は、高校数学で習う連立微分方程式で下記となります(解析的には溶けません、数式解なら可能です)。
 
d【TG】/dt=-k1【TG】【A】+k2【DG】【BD】ーk7【TG】【A】**3+k8【GL】【BD】**3
d【DG】/dt= k1【TG】【A】ーk2【DG】【BD】ーk3【DG】【A】+k4【MG】【BD】
d【MG】/dt= k3【DG】【A】ーk4【MG】【BD】ーk5【MG】【A】+k6【GL】【BD】
d【BD】/dt= k1【TG】【A】ーk2【DG】【BD】+k3【DG】【A】ーk4【MG】【BD】+k5【MG】【A】ーk6【GL】【BD】+k7【TG】【A】**3ーk8【GL】【BD】**3
d【GL】/dt= k5【MG】【A】ーk6【GL】【BD】+k7【TG】【A】**3ーk8【GL】【BD】**3
 
となります。
定数のKi(i=1~8)はK(T)=A・Exp(-E/RT) と言う式になります。
どうでも良いのですが、Arrheniusの式と言われています。Tは温度(絶対温度)、Eは活性化エネルギー、Rはガス定数、Aは反応速度頻度因子ですが、
興味が有れば、化学反応の本を見てください。
つまり、これらの式から、温度の上昇と伴に、Kの値も代わり、かつA、Eの値は攪拌状況や触媒などによって代わります(Re数)。
 
これらの多変数の微分方程式を、与えられた条件(反応温度、攪拌状態、初期状態)を定めれば、時間(t)と伴に、反応速度がどの様になるかが解ります。
一旦反応が開始されると、車の様に自由に変更できません。ある程度変更できるのは、温度と攪拌ですが、急激な変更は無理です。
これらの式は、Excellなどでも、差分形式で解くことができます。
また、2段反応の場合でも解くことができます(更に、多段反応でも)。
 
上記反応式のシミュレーション結果として、例えば、次の事が解ります。
 
1)BDFは反応は直ぐ立ち上がらず、少しすると急激に速度が増すが(当初はTGの濃度が高くk1【TG】【A】の項が効いてる為)、その内、逆反応の項(ーk6【GL】【BD】ーk8【GL】【BD】**3 )が効いてきての徐々に遅くなり、平衡状態となる(d【BD】/dt=0)。
 
2)2段反応を行うとBDF反応が進む(速度が増す)のは、前記逆反応の項がゼロとなり、再度BDFの生成速度(d【BD】/dt )が0から、+に変わるためです。
 
3)反応式からは、メタノール(A)はTG1モルに対して、3モルでよいものが、通常は6~7モル程度過剰に投入しているのは、反応速度をできるだけ早める為で、メタノール濃度】【A】を意識的に多くする為です。
 
4)中間物質のDG、MGの反応速度や転化率、濃度の動きも定量的に解ります。
DG濃度は最初はゼロですが、徐々にふえますが、直ぐに減少してきます。そして、少し時間がたつと、MGが同様の動きをしてきます。
MGは最終的にはBDFになると思われますか?
可逆反応の平衡状態で、最後まで残る部分もあります。
 
今回は、
BDF反応を直感や、山勘ではなく如何に定量的に、かつ時間と伴にどう変化するかを、反応速度式から、少し考えて見ました。
 
興味があれば、更に詳しい資料や微分方程式を解くのも良いと思います。
興味のない人はスキップしてもかまいません。
ご本人の意思ですから、。。。
 
では、また。
 
参考文献)反応速度式
Kinetics of Transesterification of Soybean Oil(JAOCS,Vol.74,NO.11,1997)
 
追伸)
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