(バイオディーゼル;BDF)-Dry-Process(乾式)吸着メディアの交換実施しました!!

Biodiesel(バイオディーゼルBDF)の精製は、水洗法ではなく、処理廃水の出ないDry-Process(乾式)で、実施していることは、以前紹介しました。
Dry-Processは、前段の吸着剤2本のLead-Lag構成と後段のイオン交換樹脂による2本のLead-Lag構成とから構成されています。
 
今回は、吸着剤のLead部を、つまり4本の最初の塔の吸着剤充填物の交換をしました。
現在まで、約2,800Lの処理を行った計算です。塔は内径6インチ(15.2cm)、長さ48インチ(122cm)で、充填剤がいっぱいに詰まっています。
 
この吸着剤は製造元の仕様では、500Gal(1、920L)~800Gal(3、070L)まで、交換なしで継続的に使えると言う宣伝文句で、今回は上限まで、まだ多少余裕があるのですが、交換しました。
 
使用済の吸着剤は、最上部に薄い石鹸膜がついていただけで、まだ余裕能力がありそうでしたが、塔を開けてしまったので、メディアを交換しました。
下の写真は交換・充填後の様子です。
吸着剤は、セルロース+Zeolite4Aでできた製品です(15Kgで8000円程度、今回分は約33%の5Kg使用)。
セルロース部分はどこかで見かけたことがある(?)と思います。
従って、セルロース材料を簡単に調達し、個人で調整し使用する場合は、殆どお金はかかりません(海外では、自作派も少なくない)。
但し、セルロースの種類、前処理など注意点は多々ありますので、知らないと失敗します。
 
尚、、イオン交換樹脂と異なり、この購入吸着剤は即、素BDFを流せ、処理できます。何の前処理も不要です。
 
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次写真は、吸着塔の上部をフタをした後の姿です。圧力計、温度計、Pressure Relief弁が付けてあり、流体は上部から、下方へ)。9.5Gal/Hr(35.6L/時)で流れます。実は、この約倍の流量までOKですが、下流のイオン交換樹脂の流量(流速)制限から、約50%の流速(流量)で流しています。
 
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次の写真は、全体のDry-Processの写真ですが、吸着剤は、手前の列の左側が今回吸着剤を交換したもの(Lead)です。
流体の流れは、前列左側の上部より下側に、次に右側(Lag)の上部から下流側へ、次はイオン交換樹脂で後列右側(Lead)から左側の最後の塔(Lag)へと言う流れです。
 
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今回は、吸着剤の交換を紹介しましたが、吸着剤もイオン交換樹脂も同じですが、設計する、或いは運転する場合に重要ことは、
1)塔長L/塔径D比を考える⇒通常は最低でも3~6以上が必用です。一般には6以上で設定されています。この例では、L/D=8です。目的は、管中の流れを均一にし、プラグフローを確保し、総てのメディアが充分液に接する様にする為です。
 
2)流速管理⇒この吸着剤は20Gal/Hr(77L/時)以下となっていますが、後段のイオン交換樹脂が9.0~9.5Gal/Hr(34.6~36.5L/時)が上限の為、直列構成ですので、この流量(流速)としています。イオン交換樹脂はその種類によって、メーカーのデザイン値が公表されていますので、確認し守ってください(でも、殆どのBDF用イオン交換樹脂に、この数値は適用できます)。これ以上で流すと、イオン交換樹脂を通過しても、ただ流れるだけで、残留石鹸分やグリセリンが除去できません。イオン交換樹脂のイオン交換は細孔内で行われる為、拡散速度との兼ね合いから、一般に低流速となります。また、メタノールの有無によっても、拡散速度は変わります。
 
3)流速を一定に保持⇒通常の渦巻ポンプを使うと、塔内で石鹸などが詰まると差圧ができて、流量が一定に保てなくなります。可変流量ダイアフラム・ポンプ(Metering Pump)やギアーポンプが好ましいのですが、特に価格から渦巻ポンプを、バイパス付(流量を仕様にあわせる)で使う場合は、差圧が変わる度に流量調節が必用となります。
 
4)総処理量の管理⇒吸着剤でもイオン交換樹脂でも、所定処理量が決められていますので、処理合計量の管理が必要になります。勿論、原料BDFの品質が悪ければ、処理量は減り、良ければ処理可能量は増えますが、目安として管理しましょう。
反応完了の未処理BDFを即、処理する様な場合、はるかに処理量は少なくなります。
装置メーカーの宣伝で、反応後のBDFをただちに処理可能と言う宣伝文句を信じて、海外の例では、数百Lで、石鹸分で詰まってしまったと言う例もあります。
 
5)温度管理⇒吸着剤でも、イオン交換樹脂でも、能力を最大限に発揮する温度があり、これを守ることが重要です。仕様により35~40度Cで管理しています。
 
以上です。
 
では、また
Joe.H
 
付録:
1)Dry-Processの場合、吸着剤のみでは、いくら頑張っても残留石鹸分を完全には取り切れません。頑張っても30~60PPMは残ります。これをゼロレベルまにするのは、イオン交換樹脂です。
前者が効率よく残留石鹸分を減らし、最後の詰めはイオン交換樹脂にお願いと言うCaseです。最後はイオン交換樹脂が石鹸を脂肪酸に変えてしまうのです。
つまり、Lead(吸着剤)/Lag(イオン交換樹脂)構成がBestな組合せと言われています。ご参考までに。。。。。。
 
2)BDF用のイオン交換樹脂は、+イオン(カチオン)を取るもので(Na、Kイオンなど)、一イオン(アニオン)Typeではありません。従って、石鹸の金属イオン(Na,K)が取れ、水素イオン(H+)が着いた脂肪酸として、BDF製品に混ざった状態となります。
 
3)使用済セルロースは、そのまま放置しておくと火災の発生原因となりえます(実例あり)ので、速やかに処分が必要です。よく燃えますもで、燃料補助材としても使えます。
 
4)最近、国内でもDry-Processが販売され、使用されましたが、上記設計、操作条件に合致しているか、確認されたら??
と思います。
 
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