植物油とメタノールとのエステル交換燃料だけが、バイオディーゼル（BDF）でしょうか？？？
バイオディーゼル（Biodiesel)とは、生物由来油から作られるディーゼルエンジン用燃料の総称であり、バイオマス・エネルギーの一つです。生産量が多いため、 諸外国においてバイオディーゼルとして規格化がなされているのは、まだ脂肪酸メチルエステルのみですが、厳密に化学的な定義は存在していません。 原料となる油脂からグリセリンをエステル交換により取り除き、粘度を下げる等の化学処理を施し、ディーゼルエンジンに使用できる様にしています。 Bio Diesel Fuelの頭文字をとって、日本ではBDFと略されることが多いですが、因みに海外では、まったく通じません。
しいて言えばＢＤ（ＢｉｏＤｉｅｓｅｌ）、或いはＢＦ（ＢｉｏＦｕｅｌ）です。Ｂｉｏｄｉｅｓｅｌは、既にディーゼルエンジン用バイオ燃料と言っているのと同じで、再度、更にＦｕｅｌ(燃料）と言う必要は無いのでしょう！！
別定義では、バイオディーゼル（Biodiesel)は、植物性油脂や動物性油脂から導かれた長鎖脂肪酸類のモノ・アルカリエステルであり、自己圧縮着火式のディーゼルエンジンに用いられる燃料を言うと有ります（ASTM).
米国のASTM D6751-09規格にしても、実は１００％Biodieselブレンド用ストック基材油としての規格で、目的はブレンド油（B５,B20)の製造用として製造出荷できると言う規格です。１００％バイオディーゼルとして直接車両に供給し、走行できる燃料規格ではありません（規格はまだない状態）。
メタノールを使用したものは、FAME（Fatty Acid Methyl Ester)、エタノールを使用した物はFAEE(Fatty Acid Ethyl Ester)とも呼ばれています。FAMEの生産量が圧倒的に多く、その結果、燃料規格もFAME準拠のものが多いのが現実です。
メタノールは石油から製造される為、折角植物由来のBDF（Biodiesel)と言っても、約２０％前後は植物由来ではないメタノールを使っている処に,弱点があります。最近、ブラジルなど南米、米国の一部では、１００％植物由来のエタノールを使ったBiodiesel(FAEE)も生産されていると伴に、ECO信者のBiodieselファンもFAEEにトライしています。海外では,メタノールとの価格差も少ない様です。エタノールはガソリン車燃料との取り合いもある様です。FAEEは、冬季使用でも、FAMEに比べて固まり難い特徴があります。
いずれにしても、、バイオディーゼル燃料(BDF)がFAMEだけと言うのは、間違っています。もっと広い概念です。更に、ディーゼルエンジン用燃料は、バイオディーゼルだけでもありません。バイオマス燃料のうち、ディーゼル・エンジン用燃料に適したものであれば、総てOKということになります。
植物油を直接用いたSVO,脂肪酸をオゾン化処理や変性処理したもの、油脂（トリグリセリド）の長鎖脂肪酸の一部、或いは総てを、ほかの化合物に置換したエステル類など、最近海外ではあちこちでパテント競争や走行テストが、排気ガスの性状も含めて、行われています。
日本では、どうでしょうか？？
ディーゼルエンジンの発明者：ルドルフ・ディゼルは、燃料としては、ピーナッツ油が使ったこと（1900年）は有名な事実ですし、エステル交換によるBiodiesel燃料の特許（1937年）は、メタノールを用いたＦＡＭＥではなく、エタノールを用いたFAEEであったことも事実です。
少し話題はそれますが、ガソリンエンジン用燃料も、最初はエタノールを用いていたこと、その後ロックフェラーなどが米政府に働きかけ、石油（ガソリン）の販売先確保の為、ガソリンを使わせる様に圧力をかけたとも言われています。現在まで、ずっとインディ500スピード・レース用車はエタノール燃料です。最近米国で、まだ小規模ですが、コーンなどからエタノールを作りガソリン車を稼動させている人（20,85％ブレンド）や、粗糖から８５％エタノール（+15％ガソリン）を作り、ガソリン車燃料を供給するポンプキット（燃料供給機）などを販売するメーカーも、昨年から現れています。
いずれにして、ディーゼルエンジン用燃料について、これから種々の技術的進歩があると思います。
ではまた。
Joe.H
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