木質系バイオマス熱分解油のサンプルを入手しました。何れバイオ燃料の主役かも???

今回は、バイオマス原料から取れる液状熱分解油のサンプルを入手しましたので、この紹介とその利用法等を簡単に紹介します。 
 
バイオディーゼル(BDF)は、簡単に製造できて、優れた軽油代替燃料であり、CO2発生ニュートラルの燃料であることは間違いないのですが、。。いかんせん、その供給量の限界があります
 
このことは、廃食油、或いはジャトーファ油などを含めてです。
その他に、ダーク油、トール油などもありますが、これらも同様です。
それに価格的にも、そう安価な原料油ではありません。
 
バイオ燃料分野も、原料の多様化、プロセスの多様化が必要であり、これ等のBest-Mixが必要の様です。
この様な観点からも、
BDFだけ、それも廃食用油によるアルカリ触媒法プロセスだけしか考えられない!?!?
。。。では、どうも将来的に不安になります
 
特に、大量の油燃料を使うバイオ発電等では、尚更この傾向は言えそうです。
そこで、私が多いに注目しているのが、比較的豊富な木質系バイオマス原料を使うバイオ燃料の実用化が有り得ます。
クリーンなバイオマス原料ばかりか、例えば、都市ゴミから、木材、紙、食品残渣など炭水化物などを選別すれば、これらでもバイオ燃料は製造できます。バイオ原料ではありませんが、合成樹脂やタイヤ、ゴムなどからも同様にガス化可能です。
こちらも、海外ではプラント建設が始まりつつあります。
 
この木質系バイオマスですが、元の原料は間伐材の木質チップ、ペレット等をはじめ、各種あります。
これらを原料として、直接燃焼+蒸気タービン発電方式もありますが、熱効率が非効率です。
 
そこで、より効率的で、クリーンなバイオエネルギーが液化,或いはガス化方式です。
それぞれ特徴がありますが、今回は前者の熱分解油(液化)の紹介です
 
先ず、この熱分解油(液化油)ですが、英語では、PyrolysisーOIl, Bio-Oil、Wood-Oil等と呼ばれています。
下記で、過去紹介してありますので、参照ください
 
 
具体的な製造手法は、下記の1例の様に、2塔の流動層方式のプラントで、細かく砕かれた木質系チップバイオマスなら全て利用可能、例、コーン殻、米殻など)を500℃で瞬間的に加熱し、バイオマス原料を分解し、そして急冷して製造(Fast Pyrolysis/Rapid-Pyrolysis)されます。
この間の分解反応時間は1~5秒程度です。
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この結果、液化収率が高く、品質の安定した分解油が得られます。
収率は、原料の種類にもよりますが、65~80%程度と言われています。分解反応時間が掛かると収率低下、品質劣化が起きてしまいます。従って、急速加熱、急速冷却が不可欠です。
 
この種の商業プラント・メーカーは、世界で3社しかなく、その1社からサンプルを入手しました。
 今回、サンプル輸入したものは、原料はとのことです。
下記の写真がこのサンプルです。
 
今回は、試験、調査目的等で、5Kgを購入しました。
送料を含めて、5万円強でした。
こんな値段では、とても使えないのですが、大量生産すれば、恐らく30~40円/Kg程度で、国内製造できる筈です。
 
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写真では、判かりづらいのですが、黒っぽい丁度A重油の様な感じの木質油でした。
 
 
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ボイラー燃料発電方式なら、このママで、バーナー等を選べば、直接燃焼可能ですが、ディーゼルエンジン,或いはガスタービン発電などは、これ等の機器の改造が必要であったり、或いは、油の改質操作が一般には必要になります。
 
理由は。この油のpH=3程度と言うことで、酢酸やギ酸、アルデヒド類が含まれていて、酸性油となっています。
従って、このままでは、金属の腐食や詰りが発生してしまいます
 
他にも、水分や水酸基を持ったフェノールなど酸素を含んだ物質が多く含まれています。
 
一般には、水素+触媒を使い高温・高圧で改質操作を行えば、バイオ・ガソリン,灯油、軽油等の製品が得られますが、これは石油精精の工場と同じ様な設備が必要となり、そう簡単ではありません。
但し、こちらも海外では、既にいろいろ実用化に向けて商業化研究がされています。
当然、化学構造的には、脂肪酸メチルエステル(FAME)ではなく、石油系燃料油と同じ構造の炭化水素燃料です。
 
余談ですが、これに対してバイオマスのガス化もあります。
収率は多少落ちますが(~70%)、こちらの方が課題は、遥かに少なそうです。
例えば、毎日275トンのバイオマスチップが供給されれば、24、000KWのガスタービン発電(IGCC)が可能です。
特に、タール(Tar)分などを充分除去すれば、ガスエンジンやガスタービン燃料として問題なく使えます。
窒素分を含まない中エネルギーの流動層ガス化プロセス(Indirect Gasifier)、邪魔者のタール分の発生を10分の1以下にする分解ガス化法など、いろいろ注目されています
 
 
今回サンプルを購入した目的は、BDFの製造に使っている酵素触媒等を使えば、比較的簡単に、かつ安価に、発電用大型ディーゼルエンジン等の燃料油として使えないか???
と言う調査目的です。
 
今回の油は、並行して酵素触媒の開発元にも送付して、調査を依頼しいます。
うまくゆけば、安価なバイオ発電用燃料が大量に獲られる筈です。
 
。。。と言うことで、今回は新たなバイオ燃料になるかもしれない、木質系バイオ燃料の紹介でした
 
国内でも、この分野に興味を持たれている方,或いは経験のある方が、在るかもしれません。
もしあれば、下記に直接お問い合わせください。
 
では、また。。。
Joe.H
 
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