メタノール使用量を削減出来るバイオディーゼル(BDF)製造の新デバイスがあった??

今回の紹介は、最近(1月20日付)のニュース・リリース記事の紹介です。
紹介記事は下記に掲載されています。
 
記事の内容は、Florida Biodiesel Inc(米国).と言うBDF製造装置のメーカーのものであり、BDF製造時に使うメタノール使用量を5%まで減らせるデバイス(器具)を開発したと言うものです。
 
何々??と言うことで見てみました。
結果は驚く様な(?)内容 でしたが、結論を急がず、先ずは記事を順を追って紹介します。
 
この器具を彼らは、Cyclonic Mixerと呼んでいて、直訳ではサイクロン・ミキサー、或いは旋回流混合器と言われる器具の様です。
 
本ミキサーの使用によりメタノール(触媒)や原料油にせん断力が加わり、より完全な混合状態を作りだせると言っています。同時に、使用メタノール量も2~5%減らせる。メタノールはBDFの最大の費用項目ですから、大きな費用削減効果である様です。
 
通常20%のメタノールを使っている場合、18%へ削減できると言っています。23%(WVO1モルに対して約5.5モル相当)の場合なら、18%(同、4.3モル)となり5%のメタノール使用量減となると言う状況です。
 
彼らは、この器具を使った60ガロン(230L)バッチ装置から年産能力230万ガロン(年産8700KL、日産24KL)の商用装置までの各装置で使用していると言っています。
 
この器具は、何ら可動部もなく、配管内に収めることができ、そこを触媒や原料油(WVO)が通過することにより、強力なせん弾力が発生し、完全混合が実現できるということです
 
彼らのB500と言う商用装置は、400ガロン(1500L)のバッチ装置であり、60分で反応が完結する様です。そして、静置分離工程に移行する様です。因みに、この反応器の現地価格は1万ドル(83万円)程度です。ご参考までに、。。
 
 
更にCyclonic-Mixerは、攪拌混合器(Brade-Mixer)に比べて、(定義は不明ですが、)100倍の能力があるとも言っています。彼らの反応器は、内部ヒーターではなく、外部ヒーター付なので効率的で、安全、。。。とも言っています。
 
ここまでの説明で、皆さんは、Cyclonic-Mixerがどの様なものか想像できますか??答えは、Static-Mixerです。
 
彼らのホームページや他の資料から判明しました。
下記は、CyclonicーMixerと言っている攪拌器の写真です。
正にStatic-Mixerで、従来から存在する液・液、或いは気・液(流体)の安価な混合器具です。
 
 
Static-Mixerのせん断力(攪拌力)により、より効率的なエステル交換反応が可能となり、反応時間の短縮化、或いは省使用エネルギー化、更には、省使用メタノールなどが達成できます。
 
それにしても、時々米国人の大げさなSales-Talk驚いています。
最初の驚きは、幾らCyclonic-Mixer=Static-Mixerが効率的と言っても、反応速度が100倍にも高速に??と言う驚きです。但し、上記以外の各情報メディアでも、この記事をあちこちで掲載しているから、なおさら驚きです!!
 
仮に、反応転化率や反応速度を使用エネルギーで割った、単位エネルギー当りの反応速度であれば、ある程度理屈に合っていると思います。
 
通常のBrade-Mixerに比べて、Static-Mixerは反応速度10倍、使用エネルギー10分の1程度の可能性は充分有り得ますので、結果として100倍の効率化となりますので、。。。
 
因みに、彼らの装置は最近紹介した下記Blogの基本型(Pump Circulation方式)於いてラインミキサー(Injector/Eductor)としてStatic-Mixerを用いた例と同一でした(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10667713.html )。
また、通常のタンク内ヒーターではなく、外部ヒーター使用External Heat Exchanger)も同じでした。
 
但し、この例は、Cyclonic-Mixer(Static-Mixer)を使うものの、Macro-Mixing方式ですので、いくら最適化を図っても反応時間は1500Lバッチで1時間程度までしか高速化で出来ない様ですつまり、ラインミキサー利用の基本型(BasicMethod)です。
 
同様に、紹介済のMicro-Mixing方式の進化型Advanced-Method)方式であれば( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10541340.html )、例え、バッチ方式であっても、更に高速化が可能となることは疑いもない事実です。
 
更に、効率的な方式は、同様に紹介済の連続方式です(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10064073.html )。
 
同じStatic-Mixer(=Cyclonic-Mixer)を使っても、その使用法(Micro/Macro-Mixing, Batch/Continuous Method)と最適化設計(Optimum-Design)によっては、結果的に単位使用エネルギー当りの反応性は、100倍以上もの効率化差となることでしょう!!
 
(後日追加文)
発展型の連続式MSR反応方式なら、究極(?)の反応速度(800から最終的に380マイクロ秒)メタノール削減(20%が15~16%へと使用量比20~25%削減)が可能です。
興味があれば、下記を参照ください。
(以上追加終了)
 
今回は、最近のBDF反応器にStatic-Mixerを使った最近のニュース・リリース記事を紹介しつつ、これまでBlogで紹介済のStatic-Mixer関連の記事を振り返ってみました。
 
 
では、また。。。。
Joe.H
 
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