バイオディーゼル(BDF)反応、超高速,超短時間(ミリ秒)の新記録達成です!!!

今回は、設計のバイオディーゼル(BDF)設備で最短反応時間(最高反応速度)の記録更新(ミリ秒で完結)の話題です。
 
何方か既に、これ以上の反応速度記録を達成された方も居られるかも知れませんので、敢て「私」を加えてあります。
 
ご存知の様に、何度もBDF反応、真実は早い!! 
と言って来ています。
 
時間が掛かり、遅いのは攪拌の方法が悪い!或いは
不完全攪拌、ブレード方式攪拌羽根が原因。。。或いは、
反応を早める手段のIntensification、廉価なStatic-Mixer方式
等の紹介など多々しました。
 
因みに、どの様な方式、どの様な反応時間の記録を保持されていますか??
最も反応時間が幾ら早くても、未反応油が残るなら意味がありません。
 
Blogで紹介済の私の従来記録は、バッチ2段反応法で5分+5分の合計10分程度でした。
この記録は、少量のMicro-Batchでの紹介でしたが、同様に100Lバッチで通常の反応槽を用いつつ、自作の簡易転化率キットを用い反応操作改善の結果、類似の反応時間で完璧な高転化率が得られています。
 
例えば、下記Blogですが、この100Lの例では、まだ15+5分程度です。
Blog掲載はしていませんが、その後のバッチ例で反応時間は順次高速化していますが、単純なバッチ方式ではこのくらいが限界の様です。バッチ方式の反応時間は、容量の2~3乗程度に比例します。例えば、2段反応で200Lで80分(40分+40分)程度になると思います。
 
結果は、当初メーカーお勧めの1段反応法2.5~3.0時間と比較すると約15~18倍の高速化でした。
 
皆様の反応時間は1時間?? 或いは、2時間??、或いは、
1時間を割るのスピードでしょうか??
解析を充分行えば、何方でも手持ちの装置の反応時間を数分の1程度に簡単に高速化できます。
 
今回は、少なくとも私の記録の合計10分を大幅に更新できました。
反応速度は1分ぐらい?? それとも1分以内だと思われますか??
 
いやいや、最早1分のオーダーを超えて秒の領域、さらに1秒の壁も難なく越えて1秒以下でした。
毎時200L処理2段反応法で、最初のトライアルで滞留時間の合計810ミリ・秒に成功しました!!
 
最初の頃の2~3時間に比べると9、000~13,000倍も高速化です。
最新バッチ反応時間10分データの約740倍の高速化となります。
 
今後、更にチューニングすれば,記録更新と同時に、超高純度、高転化率BDFを製造できると思います。
 
某顧客向けに、私設計の連続BDFプロセス、それも安価な設備での更新記録です。
この概略紹介が今回のテーマです。 
 
BDF連続プロセスは、何回か類似フローを紹介済ですが、既存バッチ反応器を残し、有効利用しつつ、連続反応器(装置)追加での記録達成です。
 
 
今回の装置(下記略フロー参照)は、毎時200L(日産4800L)の処理能力の設計ですが、最大毎時4~500L(日産12、000L)程度までの能力は有りそうです。
 
但し、後段のDry-Processが同じ内径12インチ(30cm)塔で、毎時190~210L程度ですので、今回取り合えず反応器も毎時200L前後で転化率の確認を行いました。
 
本装置は、組み立てキット形式で、設計に基づき必用な部品を一つ一つ拾い、部品総てを輸入しました。その為か見かけは、野暮ったいのですが、性能は超高性能のです
 
装置の最大の特徴は、
従来の高性能なStatic-Mixer+Sub-Reactor+Reactor/Separator(BDFグリセリン分離)に替えて、今回の
Milli-Seconds Reactor(MSR;ミリ秒超高速反応器)+Post-MSR(ガード・ミリ秒反応器・予備分離器)+Separator(Sep;自然沈降BDF/グリセリン分離器)を新たに開発しました。
 
余談ですが、
最近、Static-Mixerを既存バッチBDF反応装置に追加された例を見かける様になりました。BDF関連の情報収集などに熱心な方に多い様です。
良い結果が出ていますか? 
 
Static-Mixerの仕様(サイズ、要素数、。。。)と 付ける場所、ポンプ選択等も充分配慮しないと、お金の無駄使いになります。 
Static-Mixerを付けるだけで、ひと安心では、高額の請求書以外何も残りません。充分ご注意ください。
 
イメージ 1
 
本装置は、極めて廉価で製造できますが、見栄えを追及される方は、予算があれば、幾らでも高級仕様、自動化の変更など対応可能です。但し、廉価版でも性能は、超一流です 
 
MSR(ミリ秒反応器)は、1秒の1000分の1単位であるMilli-Second(s)でBDF反応を完結させる為に、今回新開発しました。
 
反応装置は、MSR、及び予備最終反応+分離準備用のPost MSR(P-MSR)から構成されています。
 
超小型MSRの本体形状や大きさなどは、、反応規模により変わりますが、規模拡大(スケール・アップ)、縮小(スケール・ダウン)の影響は100%有りません。どの様な規模でも、総て同じ反応性能となります。当然、本体価格も超安価です(MSR;原価308$が2組,4.8万円)。
 
続くP-MSR本体は、2インチ(内径5cm)・ステンレス管です。
 
Post-MSRの役割は、MSRの後続の装置で一体設計です。何の変哲も無いステンレス管ですが、秘密は内部にあります。
 
実体は、Post Reactor&Pre-Separator(PRPS;ガード秒反応完結器+予備分離コアレッサー)です。反応の完結と次の分離(セパレータ)への前準備器です。
ガード機構は、MSRで未反応分が万が一残れば、これを完遂させる為の安全弁であり、予備分離機構は、次工程のBDF,グリセリン分離工程の効率化を目指したものです。従って、Post-MSRは、一人二役を行うことになります。
 
MSR+Post-MSR(PRPS)の仕様に合う様、原料油、メトキシド用ポンプの選択も重要ですが、今回は小型のエアーポンプで、流量を調節します。此方も同様に安価です。
 
Dry-Process塔(内径30cm))を改造した重力BDF/グリセリン分離塔です。此処の塔では反応は既に終了しています。
 
テスト結果では、今後多少の改良が必要かもしれません。
 
尚、全体の反応・分離装置は、2段反応による超高純度BDF装置ですので、これら2組(2本)の塔から構成されています。
 
今回の主目的は、部品の組み立てと、BDF反応装置としての性能確認を3日間掛けて、顧客先で行いました。
 
総ての部品類は価格の安い輸入品ですが、技術(Engineering)は国産です国産の部品類も使用可能だと思います。価格差だけですので。。。
 
。。。。と言うことで詳細は一般非公開ですが、結果のみを紹介します。
 
 
今回テスト時間(2時間弱)で得られたMSR反応時間は、
 
第1段反応では、0.65秒(650ミリ秒)、同様に第2段反応では、0.16秒(160ミリ秒)でした
最初のテストで 難なく秒の壁を越えることができました。加えて反応時間が短ければ、不必要な不純物副生も防げます。
 
Post-MSR(PRPS)の滞留時間は、第1段反応側で18秒,第2段反応側で26秒でした。本Stage(s)は、MSRから次のSeparator(Sep)への流速調整機能もはたしています。一休みということでしょうか?
 
同じく分離セパレーターの滞留時間は、34~35分です。
総て連続OneーPass方式です。
 
連続反応方式の理論と実践の勝利です!!
 
綿密な設計計算を行いましたので、勿論、新記録達成の自信はあったのですが、計算どうりにいかないことも偶にありますので。。。
反応器の名前(ミリ秒反応器)に恥じない性能が、最初のテストで難なく達成できました。
恐らく、今後チューニングを行えば、超高純度BDFを製造しつつ、1桁台のミリ秒(1000分の1秒台)単位まで可能です。
 
更に、ミリ秒の壁を越える反応(1000分の1秒以下)も夢ではない様な感じです。
因みに、最初のテストBDF反応の簡易転化率テスト結果でも、未反応油の残渣は、全くありませんでした。
 
この様にMSRを中心とした超安価な小型装置(性能的には大型装置)で、いとも簡単に秒の壁を越える超高速反応が達成できました。それも、(超)高転化率、超安で。。。
 
恐らく、我国のBDF装置メーカーで、1秒以内で反応が完結する装置は、例え何億円出しても、製作できないのではないでしょうか??
 
今回の装置なら、前述の様に1段及び2段反応の合計でも、0.81秒(810ミリ秒)となり1秒以内です。
 
因みに、通常の攪拌槽は、完全混合とはほど遠いのですが、仮に完全混合状態と毎分200回の高速攪拌を行なったとしても、MSRと同じ攪拌は、約50年(1段反応側)から170年(2段反応側)も掛かる計算です。従って合計220年にもなります。
現実には、攪拌と同時に、分離も進む訳で、例え、無限に時間、日数、年月を掛けても、MSRと同じ混合状態とはなりません。この理解力が重要です。
 
一方、本方式なら、ほぼ等価(現実は、より優れた何倍もの乱流域)攪拌状態で、同一の攪拌数をを0.65秒(第1段反応)から0.16秒(第2段反応)の超高速で行う訳です。それも反応液(原料油+メトキシド)を極く少量に小分けしてです。丁度バッチサイズは、0.70mL(1段反応)と0.16mL(第2段反応)と敢て異なる容積も最適調整しています。如何に少量バッチかです。
通常のバッチ量は、100L(100,000mL)~500L(500,000mL)ですし、加えて2段反応ともに通常は同じ容量、容器で行うと思います。
 
従って、効率の良いのは当然です。
加えて使用エネルギーも大差となっています。
今回は、玩具の様な小型エアー・ポンプを使用しただけですので。。。
省エネ、ECO設計です
 
今回の装置を使えば、新設の装置の場合は勿論、既存の装置を有効に使いつつ、大幅なBDFの増産、高品質化が省スペース、超小型反応器(Micro-Reactor)で、かつ安価にできます。
 
BDFの高速反応に挑戦される方、居られせんか??
過去のBlog記事を良く理解されるか、BDF反応のメカニズム、理論を理解すれば、
何方でも実現可能ですが??
 
。。ということで、今回はBDFの超高速反応の実例を紹介しました。
具体的な興味があれば、ご連絡ください。
お役に立てるかも知れません
 
ではまた。。。
Joe.H
 
 
追伸)
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