バイオディーゼル(BDF)反応は、通常のバッチサイズでも驚異的な速さです!!

 先日マイクロバッチ(1.4L)の反応で、2段反応(Two Steps Reaction)が計10分で完了したことを紹介しました(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/8479661.html )。
 
 又、通常の100Lバッチでも、マイクロバッチ程の時間ではありませんが、通常サイズ、機器の反応時間としては、驚異的な早さの実例も紹介しました。
例えば、15+15分の計30分で2段反応が完了する場合 ( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/6401560.html 
更には10+5分の計15分 ( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/8310008.html )でも、2段反応が終了したことを紹介しました。
 
更に,Static Mixer撹拌方式による反応時間2~3分と言う超高速反応の文献例も、,100Lとか言う実バッチ・サイズではなく、マイクロバッチ・サイズの例ですが、紹介済です(  http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/8969761.html )。
 
そこで今回は、100Lバッチで、マイクロ・バッチ並みの、或いはそれ以下の最短反応時間で、かつ低メタノール条件下でも、完璧な反応転化率が得られないか??
と言うタイム・トライアルを行いました
 
先ずは、100Lを廃油を反応器に投入して、グリセリン前処理を昨日実施ておきました。グリセリンを完全に抜けなかったのですが、104L程前処理済油ができていました。
 
本日は、この前処理済油から、12時30分の作業開始です。
 
攪拌機を作動させ、加熱器をオンにしました。常温から昇温です。そして、先ずはオイルの酸価の滴定です。イメージ 1イメージ 2
左は中和試薬(メチールレッドを利用)で水酸化カリウムべースの滴定液での滴定結果は、AV=3.7(mL)でした。
併せて、AV試験紙は、AV=3弱かなぐらいに見えました。
アルカリ量を適正に計算しているので、グリセリン中のアルカリ度もそう高くはなく、従って、グリセリン前処理による酸価の低下は少ない様です。効果は主に脱水とゴミ除去などです。
 
滴定結果に基づき、アルカリ触媒(NaOH)を測定して、今回はメタノールを通常の20Lに対して、充分反応が早いこともあり、19Lで行いました。
回収メタノール3Lを含めですので、フレッシュ・メタノール16Lを用いました。フレッシュと言っても、購入品は再生メタノールですが、。。。。イメージ 3
 
尚、今回は可能な限り、時々刻々バイオディーゼル(BDF)の転化率の変化を追跡してみました。
 
自家製の転化率法で、通常の方法よりシビアーな(3X+)方法で、総てのケースを実施しています。
写真は左からサンプル1,2,3(S1,S2,S3)です。
S1は、グリセリン前処理をする前の廃油(WVO)、S2は、前処理後の状態です。色がやや赤くなっていることと、やや転化率反応が進んだかにも見えますが、ここでは不明です。
尚、S1は、何もしていない廃油ですから、当然、転化率は0%です。
 
今回、メタノールを少し減らしたことと、反応の最短時間にトライアルすることから、
反応を早める為の仕掛けを組み込みました。
 
反応初期に、なかなか反応が進まない理由は、油とメタノールが相互不溶解だからですが、この問題を改善する為の溶剤を5L程加えた後に、1段反応分のメトキシサイドを投入しました。この結果、相互溶解性が増すはずです(均一性)。
 
反応は、さらに早まることを願ってです。
この種の溶剤としては、文献にいろいろ紹介されているので、ご存知だと思います。特に、固体不均一触媒では、固体触媒の反応性の遅さを少しでも早める為に、多くのケースで用いられています。
 
12時55分に、油の温度が反応温度(60度C)になったので、1段用メタノールを、通常よりやや急いで投入しました。
 
投入が終わったのが、12時58分でしたので、3分掛けて15L前後を投入したことになります。
これまで、メタノール投入直後は、転化率は計測したことはないのですが、今回は実施しました。
これが、上記S3(右)です。左のS1、或いは、中央のS2と比べて見てください。
 
メタノノール+触媒液をチョロチョロ、3分掛けて入れている間に、既に転化率は、かなり進んでいることが解ると思います。
約35~40%程度の転化率は得られている感じがします。
現在、定量的に転化率が求められる器具を注文中ですが、ここでは目分量です。イメージ 4
 
次の写真は、左から、サンプル3,4,5(S3,S4,S5)です。
左は、前記写真のサンプルと重複していますが、比較の意味で並べてあります。
S4(中央)は、反応開始2分後です。S3と比べて、反応は殆どすすんでいない様ですので、ここで1段反応を停止しました。
 
つまり1段の反応時間は2分
と言うことになります。
当然未反応は残っています。S5は、1段反応のグリセリンを除去後の状態です。グリセリンが除去されているので、よりクリアーな色合いですが、転化率は殆ど進展してイメージ 5いません。
 
続いて、2段反応の開始です。13時37分に、2時反応用のメタノール+触媒を、1分で投入しました。
 
従って、13時38分から2段反応の開始です。
 
 
右の写真は、サンプル4,5,6(S4,S5,S6)です。S4,S5はダブりで比較の為です。
S6は、2段反応開始2分後の状態です。反応は進んでいますが(標準の転化率テストは、96~7%程度のレベルはOKでした)、一寸反応の切れが良くありません
 
もう少し、反応が早くても良いのですが、ややメタノール、触媒不足だと思い、新規のメタノール+触媒を使う手も有るのですが、時間もないし、費用も無駄になるので、。。。
 
1段反応を2分で切り上げた結果、余剰のメタノール+触媒がグリセリン液に存在するはず、この理由からか、やや薄いグリセリン液でした。
但し、グリセリンを入れると反応低下も。。。。、全量戻せば、1段反応となってしまう。。。
など等を考え合わせて、
結論として、急遽1段反応のグリセリン約50%投入しました。
これで、反応が進んでくれることを願って、。。
 
 
イメージ 6
 
右の写真は、サンプル6,7,8(S6,S7,S8)です。
グリセリン投入後、1分と3分の写真が、S7,S8です。
反応は、急回復しました。
大成功です、ほぼ完璧です。
1分で反応が進展して(S7)、3分では完璧でした(S8)。
そこで、反応は停止し、メタノノール回収工程、WBDへ切り替えました(温度を91~92度へ上昇)。
 
と言うことで、2段反応は3分+3分の計6分でした。
もう少し、1段反応の負荷を上げれば、
或いは、メタノノールを標準の20L使用していれば、この様なことは、起こらなかったかも知れません。
4~5分で反応が完結したと思われます。
 
メタノール回収っは14:00から開始し、この間温度を60度Cから91度Cまで上げての、メタノール回収です。通常よりやや回収メタノールは少なめでしたが、14時42分に回収を停止しました。約42分の処理でした。
その後のグリセリン沈降ですが、メタノールが、ほぼ含まれて無いので、グリセリンの沈降は極めて早いです。
1段反応では、35分掛かったのですが、それでも、充分ではありませんが、ここでは8分で、ほぼ完璧に分離されました(写真)。イメージ 7
 
グリセリンを除去後、酸化防止剤定量投入し、数分攪拌して、粗製バイオディーゼルの完成です。
粗製BDFは102Lが得られました。ほぼ予定どうりの収率です。
 
 
下記の写真はサンプル9(S9)で、最後の状況確認のサンプルテストです。
完璧です
イメージ 9
本日の処理は、15時終了と言うことで、2時間半の処理時間でした。
 
 
下の写真は、良く見えないと思いますが、左から順にサンプル1(S1)からサンプル9(S9)です。
これらを見ることにより、自作簡易転化率分析法の最大の特徴は、必要な場面で、必要な数だけ自由に分析が行え、そして視覚的に反応転化率の進展を速やかに確認できるばかりか、どの様なアクションがどの様な結果となったかも、速やかに判ります
そして、今回の様に、中途で一寸何か問題が発生すれば、急遽、操作の変更なども可能です。
 
 
イメージ 8と言うことで、
1)バイオディーゼル反応は、100Lクラスの既製品の反応機でも、2段反応2分+(3+3)分の計8分程度で完了できることが、新たに解かったと言う状況です。
 
2)次回からは、多少余裕を取って、また負荷バランスも考えつつ5分+5分の計10分前後で反応を行う予定でいます。
また、これ以上の短時間化は、自動化なしでは、不可能です。休む暇もありません。
 
3)1段反応のグリセリンの1部を2段反応で使う新たな効果を見出せた様な感じです。今後、いろいろテストしたいと思います。
 
4)原料油とメタノールを均一化する溶剤添加も、理論的には既知ですが、実際も効果がありそうです。今後、更に検討したいと思います。
 
今回は、100Lバッチ反応での最短時間トライアルでした 
最初の頃、メーカーの助言は、単純に反応2時間とか言うものでしたが、。。。
その後は2段反応で、1.5時間+1.5時間などと言う状況でした。
この当時と比べ様がありません。
皆さんも、どうでしょうか??トライされては、。。。。
 
では、また。。。
Joe.H
 
追伸)
 上記Blog記事は、一般公開情報です。
 何かコメント、ご意見、及び質問等具体的な相談のある方は、
 下記メール・アドレス宛へ直接ご連絡下さい。
 非公開情報など内容によっては、お答えできない場合や条件付となりますが、
 可能な限り対応させて頂きますので。。。。
  尚、お問い合わせの前、下記を必ず参照ください。
 
 以上