バイオディーゼル(BDF)の2段(目)反応は、驚異的な速さで数分で完結します!!

本日のBlog掲載は、農業学(?)としての屋上農園に引き続き、
工学(化学)としてのバイオディーゼル(BDF)についても紹介します
 
廃食油(WVO)の集荷量の関係で、あまりバイオディーゼル(BDF)製造できないのですが、
本日製造しました(42-Batch番目でした)。
 
昨日グリセリン前処理(Glycerin Pre-Treatment)してある100Lの廃食油(WVO)から、開始です。
 
常温の20℃の油の加熱からはじめて、1段、2段反応、脱メタノール酸化防止剤処理まで含めて、粗製バイオディーゼル(BDF)反応の全処理時間は2時間30分と言う早さで、完了できました。イメージ 1
 
速さを競う気持ちは、さらさら無いのですが、プロセスをよく解析し改善すれば、高転化率を達成しつつ、処理時間も早められると言う例を,今回は紹介したいと思います。
 
 
反応器の加熱開始が12時30分で、開始温度は20℃でした。約15分で50℃に加熱できましたので、
メタノール・苛性ソーダ溶液(メトキシド)を必要量投入し、第1段反応の開始です(12時50分)。
 
反応開始10分の反応転化率が写真の左側です。右が反応開始前の状態です。反応は進んでいますが、まだ未反応が残っています(Stdd.Mode)。
 
前から、度々述べているように
1段反応では、幾ら時間を掛けても、転化率の向上は期待できないので、反応は10分で停止し、
直ちにグリセリン沈降処理を行いました。
1段反応では、メタノールが存在するので沈降が遅くグリセリン沈降に約30分、グリセリンの抜き出しに約10分でした。厳密にグリセリンを抜く必要はありません。
 
2段反応の開始は13時31分でメトキシドの投入に4分程かかり、実際の反応開始は13時35分でした。
 
2段(目)反応の反応速度は速いと言うことを、今まで説明しましたが、次の反応転化率テストの写真は、13時34分、反応開始後3分後の状況です。
 
既に、自作の簡易転化率測定で、充分に高転化率の状態です(3XModeでテスト)。
イメージ 2
1段反応停止時の状況と比べれば(最初の写真の右側)、一目瞭然だと言えます。
 
驚異的な速さです!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 3同様に、確認の為に、6分後の状況です。
写真の左側です(3XMode)。
右側は酸化防止剤を投入後のテストサンプルです(3X+Mode,説明は後で)。
 
完全に、反応転化していることがわかります。
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 4いろいろテストしたり、していた為、つい2段反応は実際は15分ぐらい継続してしまったのですが、。。。。。
上記から、6分のあれば、充分すぎるくらいの反応の早さです。
 
反応停止後直ちに、13時45分から脱メタノール処理を行い、メタノール回収(WBD)を行いました(14時45分まで)。
 
この方法(WBD)は、アルカリ量の計算と、滴定が正確でないと逆反応を起こしますので、この当りを充分理解している人、及び逆反応が起きてないか、簡易法などで適宜定量的に確認できる人以外は、お勧めしません、念のため。
時間が掛かりますが、一般的な方法をお勧めします。
 
反応器の加熱器の容量から、メタノール工程は1時間近く掛かります。
最も、時間の掛かる処理です。
余談ですが、処理時間を早めるの方法は、減圧蒸留か、熱源ヒーターと濃縮コンデンサーの増強が必要です。
後者は、あまり増加すると火災などの危険性もあり、ヒーター密度など充分な検討が必要です。
前者の減圧蒸留だと、大幅な時間短縮が可能ですが、減圧反応容器と真空ポンプなど、設備の大幅な変更が必要になります。
 
メタノール回収停止後(攪拌、加熱停止)、約6分のグリセリン沈降状況で、既にほぼ沈降完了近くです。
メタノール後と言う状態で、極めて沈降が早いことを示しています。
 
引き続き、グリセリンを抜き出した後、定量酸化防止剤を投入・再攪拌後、反応器を停止しました。
 
停止後、再確認の為、更に転化率テストを実施し(前記の手の移った写真、右側)、問題無いことを確認し、終了しました。
 
製造された粗製バイオディーゼルを乾燥タンクへ移して、本日の処理は15時00分に終了しました。
2時間30分の工程です。
滴定処理(AV=3)に基いた正確なアルカリ量の計算により、粗製BDFの中和工程は必要ありませんでした。
 
今回は、現実の反応処理時間は10分+15分でしたが、
説明の様に、10分+3分~6分程度で充分だと言うことです
 
以前、下記Blogで、大胆にも2段反応で15分+5分以下に出来る!!
と予想を述べていますが
今回は、この予想を遥かに超えた早さでした
 何時か、更に時間短縮をトライします。
最も、これ以上反応時間を短縮しても、全体としてあまり効果はありませんが、。。
ネックは、1時間も掛かる脱メタ工程です。
でも、ヒーターの熱源容量から、理論上からもこれ以上は無理ですが、。。。
 
 
但し、反応時間は、触媒量、メタノール量、装置の攪拌状況などによっても差が有りますので、
どなたでもこの時間で充分とは、言っていません。
 
要は、時々刻々反応状況を、簡易転化率キットでサンプルテストを行い、
モニタリングし確認することが重要です。
 
そうでないと、不良バイオディーゼル(BDF)燃料を作ってしまいますので、。。。
 
多分、皆様が2段反応を行っているとしたら、
目に見えない高転化率を狙って1時間+1時間~1.5時間X2でしょうか??
1段反応では、2~3時間でしょうか??
 
今回の結果などから、
その合計反応時間を、3分の1から10分の1に短縮出きる可能性大!
と宣言できると思います。
それだけ投入エネルギーも少なくエコ(ECO)的と言えます。
 
全体の工程時間でも、最悪でも2分の1から、幸運なら3分の1以下へ短縮できます
少なくとも同一転化率の品質か、それ以上の品質で。。。。(笑)
と言う宣言も出来そうです
 
 バイオディーゼル(BDF)の生産性と品質を上げたくはありませんか??
 
では、また。。。
Joe.H
 
1)何か、特別にコメント、ご意見なり、ご質問や具体的な相談のある方は下記へ直接ご連絡下さい。
 問い合わせ 内容によっては、こちらも条件付ですが、可能な限り対応させて頂きますので。。。。
 尚、お問い合わせの前、下記を必ず参照ください。
 
2)製造後記の付録として、実は今回粗製バイオディーゼル(BDF)量が110L(+)有りました。
理論的に、100Lの原料油(WVO)では、有りりえないのですが。。。
カニズムはこうです。
グリセリン前処理に28L程度投入して、処理後のグリセリン量は20L弱でした。
と言うことは、8L強が原料油側に移ったことになります。一部のメタノールやWVOもあると思いますが、殆どはBDFです。
従って、今回のバイオディーゼル量は、通常の102L前後+8L=110Lとなった訳です。
実は、前回バッチは粗製BDFが97Lと通常に比べて少なく、逆にグリセリン分が多かったことからも説明がつきます。
この事は、例え、グリセリンを多く抜き出し、BDFまでも抜き出しても、次回に回収できると言う見本です。
更に、このことが高速反応に寄与しているのかも知れません。。。
 
 既に何年も、或いは何百バッチもバイオディーゼル(BDF)製造に拘わっている諸先輩の方々
是非高品質、高収率、そ して最短処理で頑張りましょう!!
 
以上