Biodiesel(バイオディーゼル;BDF)反応速度式を実際に解いて、2段反応法の効果を考察しよう!!

先日(7月2日)Biodiesel(バイオディーゼルBDF)の反応速度式としての微分方程式を紹介しました
 
内容がチンプンカンプンで、どうでも良いと思った人は、無視されたと思います。
或いは、少し化学反応をカジッタ人は、どう感じたのでしょうか?
人はそれぞれ、いろいろだと思いますが、
その折も反応時間と転化率との関係など、反応速度式を理解することで、定量的な理解がいろいろ得られる
ことを述べたと思います。
 
そこで、今回はこの微分方程式Excelで解き、1例として、
なぜ1段反応だけではBiodiesel(BDF)製品の転化率が品質規格の製品が得られ難いか??
を紹介しましょう!
 
併せて、2段反応が、なぜ有効かも定量的に計算できます。
更に3,4段と多段反応も定量的に解析できます。
 
1)A: WVO(廃油)1Molに対するメタノールのMol濃度(Mol/Mol)
2)B:  WVOに対するメタノール混合容積比(L/L)
3)C: WVOのBDFへの1段反応転化率(wt.%)、メタ、ジグリセリドは反応転化率には含まれず、トリグリセリド(WVO)と同じ未転化物とする。
4)D: WVOの2段反応に於ける転化率(Wt.%)
5)E: Biodiesel(BDF)製品の合計転化率(wt。%)
6)F: 1段反応だけを行う場合の、WVOに対するメタノール混合容積比(L/L)
 
反応温度や1段/2段反応メタノール、触媒量割合、攪拌条件など、他の条件設定の一般公開は省略します。
また、これらの条件により異なった転化率となります。
 
 A        B        C        D             E                F
 3     12.6    59.39    10.68   70.07   10.0
 4     16.8    69.90    12.55   82.45   13.4
 5     21.0    78.23    12.63   90.86   16.8
 6     22.1    84.61    11.10   95.71   17.7
 7     25.8    89.32     8.76   98.07   20.6
 8     29.5    92.63     6.48   99.11   23.6
 9     33.2    94.90     4.57   99.57   26.6
10     36.8    96.42     3.35   99.77   29.4
 
以上のシミュレーション結果から、下記の事が言えそうです
 
1)反応式では、WVO1Molに対し、メタノール3Molで、BDF3モルとグリセリン1Molが出来ることになっていますが、3Mol(容量比は12.6%程度、WVOの油脂により変わる)の理論メタノール量では、例え、2段反応でも70%+しか反応しない。
 
2)1段反応だけで、2段反応を行わない場合は、理論モル比(12.6%)よりやや多い13.4%(1:3.2、Mol:Mol)での転化率は70%弱(69.90%)でしかない。
更に幾ら反応時間をかけても、ほぼ平衡状態で反応は進まない(他のケースも同様)
 
3)通常のメタノール使用割合は、1段反応で20~25%程度のメタノール混合割合だと思われる。20.5%で89.32%、23.6%で、92.6%となる。規格(EN)の96.5%には達していない。
 
4)同様に、1段反応だけで、規格(EN)値の転化率96.5%を得るには、29.4%では少々不足ぎみ(96.42%)で、30%は必要であることが解る。
 
5)もし2段反応なら、合計メタノール使用割合22.1%で、1段84.61%、2段で11.10%、計95.71%が得られ、このEN-14214規格値は、23%程度で充分クリアーできる筈である。
 
6)同様に、99%以上と言う高転化率を狙うなら、8Mol(29.5%)で2段反応を行えば、計99.11%の転化率が得られる
 
7)海外の商業ベースでのBDF生産では、A)メタノール回収が出来ること、B)品質を確保したいなどの理由から、バッチ反応プロセスでは、高メタノール割合で反応を行っている様である(例、30%+で、1段反応なら、転化率96.42%で品質基準クリアー)。
 
8)残念ながらメタノール回収が出来ない場合(多くの国産BDF機)の場合は、1)品質規格に達しなくとも、そこで諦める2)メタノール回収が出来ないが、メタノールコストを無視して、ASTMグレードのBDF生産を行う(例、30%高メタノール割合)、3)2段反応にトライする(例、22.1%+のメタノールで規格値BDF)。
 
9)小規模でも、メタノール回収が可能で、かつ2段反応を行えば、98%+の高品質BDFが、メタノール割合25~6%で簡単に製造できる
 
今回は、Biodiesel(BDF)反応速度式を用いたシミュレーション結果を示し、
この計算結果から、転化率を定量的に考察して見ました。
BDF装置をご自分で設計する場合は勿論、既製品を使用するだけでも、反応速度式の定量的な理解は極めて重要です。
 
少しは、反応速度式の重要性が出来たでしょうか?
 
但し、実際は反応器内の攪拌、反応温度、触媒量、品質などによって微妙に結果は異なってきますので、正確には反応速度定数の同定を実データで行う必要があります。
 
では、また。。。
Joe.H
 
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