植物油(SVO)による中型(2MW)ディーゼル発電もその選択がキーです!!

   最近はパーム油(SVO)+ディーゼル・エンジン発電方式でFIT対応の売電ビジネス展開を目指す!! がブーム化しています。
  
 特にFIT価格低下による採算割れによる理由かソーラー発電からの転向組が多いことに驚きです!!加えて間伐材による大型バイオマス発電(ガス化、ボイラー方式)も、間伐材不足から、この分野に方向転換し、多く人や資金が流れ込んで来ている様です。更には、不動産投資分野からの新規発電ビジネス参も少なく無い様です。但し、新規参入には、どの様な分野でも進出障壁(考慮すべき多くの課題、ハードル)があります。誰でも100%成功する筈はない!?と思います。

 そこで今回は、植(動)物油(パーム油、廃食油等)燃料の直接利用(SVO)による ディーゼル・エンジン発電設備のメーカー、及びその機種(能力)の選択と採算性(燃費)の重要性の概略をご紹介します。

 以前、類似の記事でSVO大型ディーゼル発電、主に20~100MWクラスの超高圧FIT発電設備については、下記で中速型ディーゼル発電方式について紹介済みです。

 更に、高エネルギ-効率の低速型(2サイクル、毎分100-500回転)の(超)大型ディーゼル発電方式も、100MW以上規模程度のSVO発電所では有力です。

 一方、今回はより小中規模のSVOディーゼル発電(主に500KW~2000KW程度)であり、高圧接続FIT売電範囲内の発電ビジネスを検討されている方用の情報です

 先ず、下記の2表をご覧ください。ここでは、仮に海外M社と国産機A社の比較です。何れも、お薦めの中速型ディーゼルエンジン発電機であり、軽油重油で稼働を保証をしている製品です(国産A社:SVO未保証)

 FITで売電ビジネスを目指すなら、当然(動)植物油によるSVO方式だと思います。尚、SVO燃料は、例え、中速型でも、国産機はその使用を、メーカー保証していません。国内の代表的なメーカーA社の製品も同様です。
一方、海外M社は今回紹介の機種含め全製品、で保証しています。海外の中速型メーカーでも、SVO方式で保証しているメーカーは少ないと思います。高速型は皆無です!
 
 SVO燃料には、例え、中速型でも使用上のリスクは多々あります。これらの諸課題は下記を参照下さい。
 下記は2MWの売電ビジネス用の機器構成例です。2MWx1台構成、1MWx2台構成と500KWx4台構成をM社とA社製品(SVO未保証)の燃費などを比較してあります。各ケースについて、以下簡単に説明します。

1)2MW/ユニットの場合
尚、2MWクラスなら、当然2MWx1台構成(下記添付写真)もあり得ます。そして、設備費面、及び採算性面でも、優れた結果が得られる筈です!! 
但し、M社の中速型・2MWタイプは重量50.4トン(A社61.8トン)あり、物流・運送面での制約が多いのが課題です。重量物の制約が無いケース(港湾、河川の近く)なら、このケースを検討されたら良いと思います。勿論、発電機とエンジンを分離・輸送する等の対策も講じることは可能ですが、。。。。それでも重量は可成りになります。

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 下記は2MWの発電所を1台構成で行う場合の、海外M社(SVO使用保証)と国産A社(SVO使用は自己責任)の、伴に中速・常用型ディーゼル発電設備の性能比較(60Hz/50Hz)です。

 先ずは、最初の2表は、2MWタイプですが、1台構成で、高圧2MW未満(1990KW)とする為、稼働負荷を下げています(負荷率・余裕度)。
 特に、注目すべきは、そのSVO使用燃料(ここではパーム油)の量です。パーム油の熱量(38MJ/Kg@LHV)、及び密度(0.92kg/L)が前提値です。

 尚、エンジンに必要なSVOの必要量換算は重油(42.7MJ/Kg@LHV,密度0.85kg/L)とのエネルギ-比例として計算してあります。燃料油性状差による燃焼効率差等は無視しています。
 同じグロス発電1,990KW発電で、60Hz(サイクル)では、M社の2MW製品(上の添付写真、重量50.4トン)では、456.1L/j時の燃料が、一方国産A社(61.8トン)は507.9L/時の燃料が必要だと思われます。
 この差は11.37%にもなります。1,990KWの発電機を1年間8000時間稼働させるとすると、414,400L/ 年も余計に燃料が必要です。燃料価格を70円/Lとすると、2,900万円/年も油代増となります。
 
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 同じグロス発電1,990KW発電で、50Hz(サイクル)では、M社の2MW製品では、458.6L/j時の燃料が、一方国産A社は507.9L/時の燃料が必要だと思われます。
 この差は10.76%となります。1,990KWの発電機を1年間8000時間稼働させるとすると、394,400L/ 年も余計に燃料が必要です。燃料価格を70円/Lとすると、2,760万円/年も油代増となります。
 
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2)1MW/ユニットの場合
 同様に、下記の2表は、1MWタイプですが、2台構成で、高圧2MW未満(995KWx2=1990KW)とする為、稼働負荷を下げています(負荷率・余裕度)。
 

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 同じ、グロス発電995KW発電で、60Hz(サイクル)では、M社の1MW製品(上の添付写真、重量26トン)では、225.3L/j時の燃料が、一方国産A社(34.5トン)は251.3L/時の燃料が必要だと思われます。
 この差は11.53%にもなります。995KWの発電機を1年間8000時間稼働させるとすると、208,000L/ 年も余計に燃料が必要です。燃料価格を70円/Lとすると、1456万円/年も油代増となります。尚、1MWe発電機、1台構成なら、高圧の上限もなくなりますので、100%負荷運転で1267KWeの発電が可能です。
 
 仮に、高圧接続限界の2台構成で、グロス1990KW発電なら、油量差416,000L/年,2912万円/年の燃料油代増となります。

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 同様に、50Hzの場合です。差は多少拡大します。グロス発電995KW発電時、M社の1MW製品(1267KW@100%負荷)では、225.6L/j時の燃料が、一方国産A社製品(1248KW@100%)では、253.9L/時の燃料が必要だと思われます。
 この差は12.54%にもなります。995KWの発電機を1年間8000時間稼働させるとすると、226,400L/ 年も余計に燃料が必要です。燃料価格を70円/Lとすると、1585万円/年も油代増となります。
 仮に、高圧接続限界の2台構成で、グロス1990KW発電なら、油量差452,800L/年,3170万円/年の燃料油代増となります。
同じ様な、中速型ディーゼルエンジン発電機でも、メーカー選択・機種選択によって可成り大きな燃料使用量差(=採算性差)となり得ます

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3)500KW/ユニットの場合
 同様に、より小型の500KWの中速型機の比較表です。
項目全て、1MWタイプと同一です。違いは性能差等です。この機種でも燃料使用量差は8.42%(@60Hz),及び8.39%(@50Hz)となります。
60Hz,500KW発電(正しくは497.5KW)で、M社(重量10.5トン)とA社(重量13トン)の燃料差は10.2L/時(=131.1-120.9)であり、年181,600Lの差、及び571万円の差となります。
 同様に、2台構成の1MW(正しくは995KW) なら、この2倍に、4台構成の2MW(正しくは1990KW)なら、この4倍の数値となります。

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4)500KW、1MW、或いは2MWタイプ/ユニットの選択は???
 500KWタイプ2台構成なら1MW FIT発電が、4台構成なら、2MW FIT発電が可能です。予算や系統接続の容量制限等から1MW迄の設備能力でも、或いは2MW未満迄接続でも、出来れば、この500KWタイプではなく、より大型の1MWタイプを選択することをお薦めします。理由は簡単です。必要な燃料費の差です。
加えて、設備費も、ユニット数減により安価となります。

 因みに、下記は、2MWの場合のM社500KWx4台と1MWタイプx2台の年間の油量差と燃料費差です(50Hzの場合)。
1時間当たり燃料:493.6L/h (500KWx4台構成) 、    
            451.2L/h (1MWx2台構成)
従って、差は42.4L/hであり、年339,200L/年、2374.4万円/年の差にもなります。FITの期間は20年です。仮に20年なら8.7億円もの燃料費差となります。
20年間の金利差を無視すれば、例え、設備費が8.7億円高額でも損しない!!と言うことです。仮に、その4分の1弱の2億円程、設備費が余計に掛かったとしても、5年弱で元がとれて、それ以降は利益増になります

 更に50トンと言う重量物の搬入が可能な設置場所なら、2MW,1台構成の方が、高圧接続限度内の場合、設備費用が可成り安価となります。

5)高速型の燃料比較は???
 高速型でも、FIT売電ビジネスは勿論、開始可能ですが、このクラスの高速型は多気筒(16~18気筒)、小口径ピストン、高速回転により動力を得る構造ですから、価格や重量・大きさの点では優れものですが、理論上も効率は一般に余り良くありません
 高速回転故(1500/1800RPM)の耐久性問題もあります。 加えて、定常型発電利用例も少なく、燃料消費量も明確な定義で公表されていない場合が多い様です。例えば、海外C社の製品であれば、0.260~0.270L/KWe程度です。
この数字を中速型と比べ、高速型にするか、中速型にするかをご判断下さい。

 最も、それ以前にSVO使用を認めていない高速型で、何処まで自己責任で耐えられるか??もお考えください。100%自己資金・余剰資金が使えるなら話は別ですが、金融機関より融資を受けるなら、彼らは同意しないかもしれません!!

6)売電ビジネス(@2MW)の投資額と採算性は???
 下記は、M社1MWx2台構成(@60Hz)、2MW(正しくは1990KWの高圧接続範囲内)のSVOによる採算計算例です。
燃料油は70円/Kg、及び売電価格は24円/KWhとしています。これら前提値の数値により採算性は変わります。
 尚、売電価格も、PPS業者との契約なら、FIT一般材価格の24円ではなく、それ以上の価格、25~26円/KWh程度でも契約可能かもしれません。

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7)ベンチマーク方式で中速・高速型の燃料比較とSVO使用可否等を!!
 上記の各表、及び採算性の計算例等を参考にすれば、例えば、現在ご検討中の別メーカー機種(例えば、輸入・高速型Cummins,Perkins,MTU,Cataerpillar、中国・韓国製各種、他、国産・輸入中速型三菱重工ダイハツ、ヤンマー、新潟、川崎重工、Rolles-Royce,Caterpillar,Wartsila,MAN,中国・韓国製各種、他)等との価格・性能比較(燃費)、SVO使用可否(保証,非保証)、及び採算性の比較等のベンチマークも可能かと思います
 
 以上、高圧接続範囲内(2MW未満)で植(動)物油(パーム油、廃食油等)燃料の直接利用(SVO)によるディーゼル・エンジン発電設備の選択と採算性(燃費)の重要性等の紹介でした。 

尚、SVO等の原料油としてパーム油の他、ポンガミヤ油、ジャトローファ油、大豆油、等の他、廃食油等の利用も、油の調達ができれば、可能性はあります。他に、BDF(バイオディーゼルでも可能です。良く調達の可能性と価格を検討しましょう!!

更に、何かご質問があれば、下記メール先にご連絡下さい。

追伸)

中速型SVO発電、高速型SVO発電は下記にもあります。

また、1MW,及び2MWタイプの中速型(MAN,Zibo)と高速型(Cummins)の燃費比較例(50Hz/60Hz)は下記を参照下さい。

追伸)以上

では、また。。。。
Joe.H

追伸)
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