バイオマス・木質ガス化装置(LiPRO社,50KW)の顧客先での実稼働風景の写真紹介です!!
今回は、既に下記で紹介済ですが、独LiPRO Energy社( http://lipro-energy.de/en/ )の革新的な小型バイオマス・ガス化発電装置(30KW、50KWeネット発電能力)の内、昨年9月より完全自動化システムとして稼働している最新50KW(HKW50)タイプ,及び乾燥機(ドライヤー)を見学しましたので(2017年1月16日~18日)、その紹介写真と簡単な説明です。
尚、今回の訪問時に撮影した動画もあります!!
下記はFacebook上の動画ですが、同じ装置です。
Facebook未登録の人は、『後で/Not Now』 をクリックすれば、邪魔な登録画面が消えて、動画面となります。
下記はLiPRO製品の過去の紹介記事です。
尚、LiPRO製品は、現状30KW,50KWの2機種販売していますが、価格パ―フォマンス、低圧接続(50KW未満)用途等から、今後の国内販売製品はHKW50 /50KWタイプのみとなります。
LiPROのHKW50/50KWタイプなら、低圧接続で売電(FIT)の行う場合、この枠を最大限有効利用し、売電の最大化が可能です!!
低圧接続の上限は50W未満ですので、49Wとか、或いは49.5KW等と発電能力設定が必要です。仮に、40KWタイプや、80KWタイプでは、設備能力的にも、投資対効果でも、低圧接続は現実的ではありません。
更に、より大型の100KW等の開発計画もありますが、開発・販売は当分先の予定です。
従って、当面は並列設置でご希望の発電規模を50KW装置を使い並列設置で実現することになります。即ち、100KW規模なら2基並列設置、200KW規模なら4基並列設置となり、全体として高信頼性装置が実現出来ます。
LiPROガス化炉部のフロー、名称、及び運転条件(温度)等は、下記図を参照下さい。
下記は、南ドイツ(Friedrichschafen近く)で稼働中のLiPRO社(HKW50) ガス化発電装置です。
完全自動化運転稼働中のガス化発電機LiPRO(HKW50タイプ@グロス55KWe)プロセス・フローの概要説明とその状況写真です。
最も音もない静止画の為、稼働中か、否かを写真だけでは確認できません。
後段(7,8枚目の写真)に添付のコンピュータ画面の運転状況の数字を確認すれば、(見難いのですが)稼働中と言うことが解ります。別途、動画もあり、こちらなら音が確認できます。
最初に、写真下2枚と上の図を併せて参照下さい。ガス化炉部( Gasifier )では、左側のパイプ上段( Intake Gate/Air Lock )から原料チップ( Wood Chips ) が分解炉部( Pyrolysis ) の左側(斜めの円筒部)の中心部に投入されます。そして中心部原料は順次、モーター駆動スパイラル(Auger)で順次右上側に移動しつつ、円筒部外側高温ガス(ガス化炉合成ガス)排熱により加熱され、その熱で原料は熱分解され、炭(Char)と熱分解ガス( Pyrolysis Gas )とになります。
熱分解熱炉で処理済後は、熱分解ガス(タール含む)及び無酸素状況下の炭(Char)は写真中央部のガス化反応炉塔頂からガス化反応部( Oxidation )、更にガス還元部( Reduction )へと順次降下します。
ガス化反応炉部(一部燃焼部)では、空気及び蒸気が加わり、高温(一部燃焼)状況下、炭からも合成ガス(H2,CO)が生成されます。それと同時に高分子タール分は高温下で低分子へと再熱分解が行われます。
最下段のガス還元部では、蒸気熱分解(H2)、CO2還元反応による燃料化(CO)等の還元反応(吸熱反応)が起き炉内温度は多少低下ます。還元部最下段からは、高温合成ガス(Syngas) はタール分(Tar)は含まれません(NO-Tar/Tar-FREE)。従って、後段で必要な処理は、高温合成ガスの冷却(熱交換冷却)と微粉固形物の除去のみが必要な操作となります。
そこで、先ず冷却と同時に熱回収する為、分解炉の外側部に高温ガスが供給され(前述)、原料チップの加熱熱源として使用されます。分解炉部で温度低下した合成ガスは、サイクロン部(ブルー色)及びバグフィルター( Filter )により微粉炭等固形物は完全に除去されます。更に、分解ガスは空気により熱交換冷却され(反応炉裏側)、次に常温の合成ガスはガスエンジンのガス燃料として移送・供給されます。
尚、回収の微粉炭はガス化反応部の炉底からの炭(灰)( Ash Outlet )と併せ合流し炭貯槽へと移送されます。
ガス化炉の使用金属材は、ブルー色部(サイクロン/フィルター)は鋼鉄製ですが、他は全てステンレス製です。
次の写真は、同じガス化炉ですが、正面からのものです。炭の移送部は写真の右側下段部の斜め配管を左から右へと自動移送されます。
次の写真は、別室設置のガスエンジン発電機(Syngas Engine w/ CHP)の写真の2枚です。
手前部が発電機部、奥部はガスエンジン部です。発電機は非同期型であり、通常の大型モーターと同じような外観をしています。
(注、現在、国内では同期型発電機もサポートする予定です)
尚、ガス・エンジンはHoeckle社HMG 645 S (SISU Arco Power: http://www.hoeckle.com/fileadmin/_assets_hoeckle_com/pdfs/POW05_Hoeckle.pdf#search=%27Hoeckle+HMG645S%27 )を、発電機はBerlitech社FCMP 250 M-4 を長期の信頼性テスト評価の結果、採用しています。
彼らは、性能と信頼性には、自信を持っています。
追伸)
ガスエンジンは同じですが、発電機は、上記の非同期型(Induction Type)ではなく、同期型(Syncronous-Type)発電機(Stamford製)を使います。
追伸)終わり
次の写真は、そのガスエンジン(6気筒)です。
事前にガス化炉で製造された合成ガスと空気を混合された後(下の写真)に、シリンダーへ投入され、プラグ発火で、動力が得られる構造となっています。上からの配管の合成ガスと手前側の空気のやや太い配管とが結合・混合され(橙色の両制御バルブを介して)ガスエンジン内へ混合燃料として供給されます。
尚、下記は、本LiPRO(HKW50)の設置例の寸法です。
尚、下記はLiPRO社のスタッフです。LiPRO社は、この顧客サイト(南ドイツFriedrichschafen近郊)から、直線で560km、道路なら700Km近くもも離れた場所(Oldenburg)にあります。
今回、車で高速道路を使い本顧客サイトに来てくれました。訪問時の前後に、別と3社の客の訪問もあり、最近特に多忙の様でした。
尚、昨年2016年9月よりガス化発電機を本LiPRO製に交換し順調に稼働中です。
下記の写真は、既存チップ乾燥設備であり、過去別メーカーガス化設備用(500KW)として導入されたものが再利用されています。従って、乾燥設備の一部だけを現在利用している状況です。今後、LiPRO製品200KW 分(例、50KWx4基、又は100KWx2基)の追加導入を検討中とのことでした。
木質チップ乾燥装置、チップの状況、コンベアー設備の写真です。
未乾燥チップは後方から供給され、順次手前に移動してきます。
この間、ガス化炉より温風が貯槽の底から供給され、徐々に乾燥します。
写真(下)は上記の乾燥チップの拡大写真がです。 この時の入手サンプルを後日、スケールと併せ、写真を撮ったものです。通常の切削チップです。
その後、上の乾燥チップは、下記の手前の端にあるコンベアーにより移送され、別室のガス化炉原料投入口に供給されます。
下記はLiPRO社と提携している水平乾燥方式(特許)の独HolzWert社(http://www.holz-wert.eu ) の移動型乾燥機の例です(設置型や乾燥能力等各種モデルあり)。こちらの乾燥機の方が、効率的でコンパクト設計です。
ガス化発電機に加えて、乾燥機も新設されるの場合、例えば中大型ガス化炉INSERガス化炉(
https://joeh.hatenablog.com/entry/20935105
)等の乾燥機としても、充分使用できます。特徴は、比較的低温の温風でも、効率的に、均一的に乾燥できることです。今回、彼らHOLZWERT社とも直接提携しました。
下記最初の写真の中央入口から熱温風から投入されます。中央部のスリット部の内部写真(下記写真)です。次の図では、この部分は奥に位置し、温風が導かれます。
温風は,下記右側の写真のスリット穴から入り、横向流となり、チップを乾燥させ、コンテナー両壁(下記写真は左側壁)から乾燥機外に出ます。
尚、未乾燥原料チップは天井の覆いを外し上部から投入します。原料は順次低下し、乾燥済原料は底部から取り出され、次のガス化炉へと自動的に移送されます。