BDF,バイオオイル(SVO),石油ブレンド油のセタン価とセタン価向上剤について(2)!!!!

今回のテーマは下記の続編です。
セタン価値(CN)が低過ぎて、ディーゼルエンジン燃料としては、望ましくない低セタン価燃料向けの高セタン価油燃料の製造としての利用、或いは
より高セタン価(Premium)軽油燃料を製造する場合等の目的で、セタン価向上剤は使われます。
 
セタン価向上剤には、いろいろな化学添加剤が知られていますが、最も普及しているのは、2EHN(2-EthylHexyl Nitrate)です。
他にも、一般名でアルキルナイトレート(Alkyl Nitrate)、或いは過酸化物質(Di-tert-Butyl Peroxide)なども使われています。
 
因みに、この2EHNは、分子量(MW)175.2で下記の様な、分子構造をしています。
沸点は76度C+で無色の液体です。
特に、危険ということではありませんが、取り扱い(特に高温は避ける)は充分注意が必要です。
 
通常は、下記の様なドラム缶での購入です。少量缶もありますが、割高になります。イメージ 1
 
 
 
イメージ 2
 
 
 物性は、下記の様になっています。
下記は、2EHNの純品ですが、セタン価向上剤として販売されているものは、他に溶剤、安定剤などの添加物を含んだものも、多く製品化されています。
 
当然、純品の方がセタン価向上効果は優れていますので、購入時は注意しましょう。
 
 
Items
Unit
Index
Appearance
-
No color or pale yellow liquid
Purity
%(m/m)
≥99.0
Density(20°C)
kg/m3
960~970
Viscosity(20°C)
mm2/s
1.70~1.80
Flash point
°C
≥76
Water content
%(m/m)
≤0.05
Acidity
mg KOH/100 ml
≤3
 
 
 因みに、このセタン価向上剤(2EHN)をどの程度添加すれば、どの程度セタン価値向上が期待できるのでしょうか?????
 
結論は、効果は一定ではありません。
 
燃料油が軽油などの石油系燃料か、バイオ燃料(SVO,BDF)か等によりセタン効果はそれぞれです。
目安は、添加量200-2、000PPMの添加で、セタン価値は2-12程度向上すると思われます。
 
通常は、セタン価値を5-7程度向上させる場合が多く、1、000-1、500PPM(0.1~0.15%)程度の添加が多い様です。
植物油(SVO)を使った中大型発電用途では、植物油が低セタン化値の為、多少過剰の3000PPM(0.3%)添加を勧めています。
 
但し、課題は、添加済みの燃料油のセタン価値がどれだけ向上したのか、確認が簡単ではありません。
例え、分析センター等に依頼しても、通常行われている蒸留性状と密度によるセタン指数によるセタン価値の推定法は使えません。
正確なセタン価値の測定は、単気筒実エンジン試験が必要です。
最も簡単な方法は、使用エンジンで様子を音や排気ガスの白煙、或いは燃費等で観察する程度かもしれません。
 
石油系燃料の軽油ではセタン指数が多く用いられます。
但し、エンジンによるセタン価値に比べ、数値が2-3高い数値になる場合が多い様です。
 
燃料油やオイルの添加剤は、メーカーはいろいろ効果を宣伝するのですが、使用結果を定量的確認するのは簡単ではありません。
 
尚、セタン価向上剤を使うと、流動性、燃費、及び排気ガス(NOx低減)等の改善効果も報告されています。
 
 
最後に、このセタン価向上剤の価格ですが、大量に購入(数トン以上)するのであれば、トン40-50万円前後です(送料別途)。
販売は欧米,中国等の燃料油、オイル等の添加剤メーカー数社から販売されています。
この場合は、コストアップは、1円/L(@1,500~3,000PPM添加)程度ですので、安価です。
但し、少量では、本化学品は主に石油業界向けですので、これら専門メーカーからは購入できません。
 
 
イメージ 3
 
 
 
 
 
個人用向けも、いろいろ販売されています。但し、高価です。
因みに上記の製品は、1Lx12本ですが、送料を含めると2.2万円もします(本体価格1.4万円、送料0.8万円)。 この製品は溶剤入りですから、3,000~5,000PPM程度の添加が必要です。よって、価格アップは、少量だと、11円/L+程度にもなると思います。
 
他にもあります。
こちらの製品(米国製)はB100専用です。価格は、やはり1Lボトルから販売されていますが、同様に高価(2.5千円=25$)です。12本だと、2.2万円(220$)前後と多少値引きされます。
 
イメージ 4
 
通常の個人ユーザーの使用法は、燃料タンクに満タン時(200L)に1本入れるという方法が、一般的です。
 
この分野にマーケットを絞った製品も各種販売されていますが、多くは取り扱い易くするために、溶剤などで薄めた製品です。
 
(追伸)2017・04・10
最近の大型ディーゼルエンジンを使った植物油ダイレクト(SVO)燃料による発電ビジネス(FIT)でも、低セタン価油(=植物油)のセタン価向上対策として本添加剤(2EHN)の添加は有効です。最近、依頼で海外からドラム缶4本を追加購入しました!!
(追伸終了)
 
。。。ということで、今回はセタン価向上剤の紹介でした。
では、また。。。。
Joe.H
 
追伸)
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