廃油の酸価値(AV)が高く、BDF反応時の多量石鹸分、そして白濁洗浄排水に困っていませんか???

廃油の酸価値(AV)が高くて、その結果、当然、反応時に多量の石鹸分副生、そして洗浄時は、ご多分にもれず、エマルジョンも時には経験しつつ、最後の水(お湯)洗浄では、白濁水が大量発生と言うことになります。
 
今回はその対処法の紹介です。
 
勿論、この場合でも、排水処理施設を自己で所有され、BOD,COD処理後、下水放水されている方は、今回のテーマは余り役立ちません。
 
多少、石鹸分副生減少による収率改善、或は反応時のグリセリン分離時間が早まる。。。程度の効果かもしれません。
 
ところが、何時もエマルジョン発生して困る、その解除法を知らない方、或は知っていても処理時間や収率低下、加えて余計な投入物(塩など)も必要ですし、この除去に水洗回数や時間も掛かります。
 
更に、最悪なのは、今まで石鹸廃液は引き取る約束でBDF装置を購入された方、こちらは大変な様です。この装置メーカーが倒産とかで、濃石鹸水処理に困っている様です。
ご自身で、今後は産業廃棄物扱いで専門業者に依頼するなら良いのですが、処理費も莫大です。
 
S社等の(旧式)BDF装置は、水洗洗浄が標準です。装置も小型の100L、200Lバッチです。この様な規模でのBDF生産者は、99%排水処理施設を備えてないと思います。
 
この様な状況下、良心が咎めつつも不法下水放流大量の水で薄めて密かに放流。。。等は、
ECOを、或はCO2削減、地球環境。。などに取り組んでいる方は、実施しないと確信しています。
但し、単に安価な燃料を、安価な製造費で作れば良いとお考えの方、生原石鹸水(水希釈を含め)放流等をしていないと言う保証はありません
 
酸価の低い新油を使えば、石鹸分副生もすくなく、洗浄排水も比較的綺麗で、洗浄回数の減少、使用水減とともに、白濁した高濃度石鹸廃液を、下水放流しなくて済みます。
但し、新油でも、そのまま生放流可能なCOD,BOD値か、どうかは不明です。
白濁は薄いものの下水放流まではBOD/COD値は低下してないと思います。
当方は、何しろDry-Washingsしか、経験がないもので…不明です!
 
余談ですが、水洗浄時の白濁水、或はエマルジョン発生を安易に抑える為に、中和に必要量以上の酸を、反応・グリセリン分離後の粗BDFに投入する人もいる様ですが、石鹸分が消えて、グリセリン沈降も早く、かつ水洗精製処理は楽になりますが、当然、逆に酸価値(FFA)が急上昇したBDF製品となります。ご注意ください。言うまでもなく規格値(0.5以内)は満たせません
 
アルカリ法だと二度とBDF製品中に溶け込んだこのこの過剰なFFA分は、吸着手段など以外では、通常除去できません。考え方によれば、アルカリ法に於ける石鹸副生は、FFA除去法といえるかもしれません。
 
そこで本題ですが、今回のテーマは、簡単にかつ、素早く廃油を新油なみの酸価値に低下できる方法の一つを紹介します
 
古くから硫酸によるエステル反応法もありますが、この方法は危険な濃硫酸の使用、過剰メタノール使用、長時間反応、それでも酸価は1.5以下程度までしか、通常の手法では、低下できません。
 
主に写真を使って、今回は説明します。
下記は、何の変わりもない通常の廃油写真です。
 
イメージ 1
 
この廃油の酸価はAV用紙で、下記の様になりました。
正確には、本Blogで紹介済の滴定法がオススメですが、手元に試薬がなかった為、簡易試験紙テストです。
測定範囲(AV=0~4)では、過去の経験では、そう大きな誤差はありません。
結果は、AV=4弱程度、或は3.5ぐらいかもしれません。
 
イメージ 3
 
何れにしても、このサンプル廃油にFFA吸着剤を、対廃油重量比で2%投入し、10~5分程度、加温80(~85度)、攪拌した結果が下記です。何もフィルター処理していません。
 
同じAV試験紙の結果が下記です。
おそらくAV=0.5程度だと思われます。この値は、殆ど新油の酸価(AV)値です
 
2%の吸着剤処理により、AV値からでは、廃油が新油に再生できたことになります。
 
必要ならAV=0までも低下できます。
 
イメージ 2
 
食用油のAV値改善・再生処理剤は、類似製品が発売されているかもしれませんが、本製品のAV値(FFA減)改善効果は、際立っていると思います。
 
処理済の廃油の写真が下記です。
写真は、光の反射で見分けがつきにくいかもしれませんが、透明度がかなり増しています。
理由はAV値減と伴に、水分も吸収してくれるからです。
残留水分濃度は、手元に水分分析計ない為、測定できていませんが、反応前処理(脱水)目的程度なら、充分な水分のはずです。
 
尚、このサンプルは、吸着剤を除去していません。
底に沈殿しているのが、FFA成分、及び水分を吸着した吸着剤です。
この吸着剤は、油やBDFに溶けませんので、固形分は必ずいずれ沈殿します。
この製品の粒子分布が、50~60ミクロンと大きく、簡単に沈降します。
上澄油を反応に使えば、フィルター処理も不要なくらいです。
但し、望ましくは、フィルター処理、或いは、充分静置時間が取れれば、理想的です。
 
イメージ 4
 
下記が、今回使用した米国製Magesol特殊グレード品の写真です。
Magnesolは、米Dallas Group)の製品で、珪酸マグネシウム(合成品)が主成分です。この製品は、それに第3物質を加え(ブレンド)、FFAの吸着効果を高めた製品です。
我々の実験の結果、通常のDry-Washing用のMagnesol製品は、殆ど効果が有りませんでした。元々、通常のMagnesol(60R)は、粗BDF中の石鹸分、グリセリンメタノール、水分などを吸着する目的の製品設計だからです。但し、外見上からは、両者全く区別がつきません。
 
この追加第3物質は、MSDSにも営業機密として、物質名は公開されていませんが、特別珍しいと言う物質でもありません。化学や吸着関連の知識があれば、想像がつくかもしれません。何れにしても、吸着剤は、ケイ素(珪素)、ナトリウム、マグネシウム、酸素、水などの組み合わせ、結晶構造できまる製品が殆どです。
シリカゲル、活性白土、ゼオライト、ベントナイト(粘土)、珪藻土。。などです。何れも単独でも、組み合わせでも、吸着効果があると報告されていたり、粗BDFの精製ができるなどの報告されている物質です。現在でも、相変わらずこれ等の製品を、まだ使っている人もいる様です。
 
写真からも粒形の大きさがわかると思います。
 
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この吸着剤は、固定化酵素触媒(XZyme®:エステル交換+エステル反応触媒)の粗BDFの残留FFA分除去用に考えていたものですが( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/15996482.html )、
今回、原料油の酸価低下剤としての利用を試したものです。
 
酵素触媒なら、酸価は0~200まで、如何なる酸価値の油もそのまま反応処理できることは、酵素触媒の項で紹介済みです。
この為、この様な廃油前処理(酸価低下)は無意味です。
 
即ち、酸価値の把握は、アルカリ法BDF製造では、基本中の基本で、酸価を知らなければ、高品質BDF製品は出来ないと言っても過言ではありません。
一方の酵素では、酸価?? 別に。。What's up?で充分です。
従来の常識が、非常識となる一例かもしれません
 
。。。ですが、
従来法のアルカリ法に何故かコダワっている方、
アルカリ法しか知らない方、
酵素触媒を購入する資金がない方、或いは
石鹸分の副生に嫌気の指している方、。。。
等にとっては、朗報ではないでしょうか
 
この吸着剤、今回米国製ですが、1パレット(1トン弱)購入しました。
需要先は,酵素触媒法後処理の一手段と考えていましたが、アルカリ法前処理の方も使えます。
 
追伸)
本吸着剤は、平成24年8月16日入荷済です。
ご希望の方はお問い合わせください。最少販売単位は1袋(22.5kg)以上です。
購入袋数により価格は変動します。
追伸:以上
 
興味があれば、ご連絡ください。価格も普通価格より、安価だと思います。
それより、他に安全で簡単な酸価値(AV)低価法は無いわけですので、一度検討されたらいかがでしょうか??
他に、苛性ソーダソーダ灰処理法もありますが、危険性や分離法が簡単では無い様です。
 
尚、この製品は
食用油を再生して、延命・再利用する吸着剤ではありません。
けして使用しないでください。
 
あくまでBDF製造の前処理法(酸価低下、改善法)等、工業用途向けです。
 
投入量(%)を調整すれば、任意の酸価値(AV)の廃油ができます。
 
今回は、廃油の酸価値(AV値)低下処理目的での、吸着剤の紹介でした。
 
では、また。。。
Joe.H
 
追伸)
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