バイオディーゼル(BDF)原料廃油の吸着剤処理よるFFA値改善・低下処理の試験報告です!

 バイオディーゼル(BDF)製造用の廃油の受給関係は、日本ばかりではなく、世界中で原料油の取り合い状況であり大幅に不足しています。
 
この結果、廃油価格も上昇していることもご存知だと思います。
廃油価格についても、最近下記のBlog記事で報告済です。
 
少しでも安価な原料廃油となると、廃油品質も悪くなります。
 
また、新油の価格も同時に上昇している為、、高価な油種の大豆や菜種から(高FFA値の)パームや動物油脂などへ油の変更をしたり、できる限り長期に使おうとする傾向があります。
これらは、何れも高FFAオイル、或いは廃油となります。
 
これらの高FFA廃油で、そのままの状況では、残念ながら、通常のアルカリ法ではBDF原料としては使えません。通常は頑張っても、FFA値3.0%迄だと思います(酸価値6)。
 
これ以上のFFA値であれば、通常は酸・アルカリ法や最新の固体触媒法(金属酸化物、イオン樹脂、酵素を使ったBDF製造法しか手法がありません。
特にある種の最新個体触媒法ならFFA濃度は、全く気にする必要なく、FFA100%まで何も前処理なして対応できます。
 
但し、通常アルカリ法では、FFA分は全て石鹸分となり、その結果エマルジョン生成、反応収率低下などの原因となるからです。
 
やや高いFFA値程度であれば(FFA値5%,酸価10程度以下)、FFA値を低下させて、通常のアルカリ法で充分BDF反応に使えます。
 
そこで今回、FFA値の低下法として、特に吸着剤を使ったテスト報告を紹介します。
紹介内容は、最近、BDF製造技術の実研究では有名なIdaho大学の報告です。
以前Blogでも報告済ですが、BDF燃料のLCA分析(ライフサイクルアセスメント)で、5.5倍もCO2削減効果あると言うのも、ここの研究調査報告でした(http://www.uiweb.uidaho.edu/bioenergy/EnergyLCAJune2011.pdf)。何れも米国農務省の補助金での研究報告です。
今回の報告者は、エミリー島田(日系人?)と有名なJon Van Gerpen(主任教授)です。
 
下記記事の概要を報告します。
 
そこで今回注目している廃油は、FFA値が1~5%程度の廃油処理法です。
 
通常、油を使って食品を加工する食品工場やレストランでは酸価値を管理しています。
酸価が高い油を使うと風味や色の劣化があり、商品価値も劣化するからです。
 
油が劣化すれば、即、新油に交換すれば良いかもしれませんが、これでは油の交換費用が増えてしまうので、代わりに油処理剤(FFA値分を除去する)を使い、新油の交換頻度を低下させている場合も多い様です。
 
この一例が、Magnesol-XXXR(Dallas Group)の製品です。
イメージ 1
 
 
この会社の製品は、BDFのDry-Process用精製処理剤として有名なMagnesol Dsol(D60)がありますが(本Blogで過去紹介済)、これとは異なる製品です。但し、何れも主成分は合成酸化マグネシウム化合物の様です。
同社では、類似製品であると思われるMagnesol XL(店舗、家庭用)、DALSORB(食品工場用)と言う製品も販売しています。
 
 
Magnesol XL製品は、Flying Oil Saver(揚げ物油節約剤)として、20年以上に渡り販売さてている安全な吸着剤と言うことです。写真の価格は22ポンド(10Kg)で、55$(4300円),40ポンド(18kg)で92.5$(7、200円)程度が米国内での実勢価格です。この製品も対処理油に対して1~2%程度の使用と言うことです。FFA値の改善低下とともに、色素、臭い及(いずポリマーとなる)酸化物等の吸着効果もあると言うことです。
Magnesol XLを魚油のFFA低下(精製)用として有効と言う最近の研究報告もあります( http://interesjournals.org/IRJBB/pdf/2011/June/Suseno%20et%20al.pdf )。
 
この他に試験テストでは、X-Tend(同様の油FFA処理剤)、Super Bio-Zゼオライト),Montmorillonite K-10(Bentnite粘度。美容パック剤、石鹸材料にも使用)の4種の吸着剤を使った結果です。
 
これら油再生剤を廃油のFFA低下用吸着剤としての使用例です。
これらの吸着剤は何れも粉体ですから、ある量を廃油に良く混ぜて、その後フィルター分離を行う必要があります。
 
実験では、これらの吸着剤を廃油に対して、0.5%、1%、2%、及び3%を廃油(酸価3.3~3.9%前後)でテストした結果です(但し、XXXRは3%の混合例は行わず)。
 
油脂を60℃に加温して、20分撹拌した後、0.7ミクロンのフィルター処理をしたとのことです。
 
結果は下記です。
Additives    元のFFA   0.5%        1  %       2 %        3  %
Magnesol     3.86%        3.23%        2.33%       1.24%         ー
X-Tend       3.91-3.94%    4.04%          3.84%           3.58%            3.91%    
Zeolite     3.37-3.73%    3.38%          3.31%            3.06%            3.33%
Bentnite       3.3-3.56%     3.50%          3.51%            3.57%            3.37%
 
上記の様に、XXXR以外は、殆どFFAの低下の効果は無い結果です。2%添加でFFAは1.24%まで低下できた結果でした。
この処理済油で、BDF反応も行なった様です。
 
同様に、XXXRを用いて酸価1.45%のチキン油脂では、下記の結果が報告されています。
0.5%添加  FFA 0.79%
1 % 添加  FFA  0.58%
2 % 添加  FFA 0.41%
 
この報告の結論として、Magnesol-XXXRは安価でもあり、FFA値が4%程度以下の廃油であれば、FFA降下剤として有効な吸着剤であると言う報告です。
 
価格は、2000lb(900kg)以下の注文量なら1.75$/lb(300円/kg)程度です。 80、000lb(36トン)以上なら1lb当たり90セント(156円/kg)となります。
1lb当たり90セントだと、1ガロン当たりの廃油FFA処理価格では、5セント/Gal(1円/L)です。
 
今回のテストでは、FFA4%以上廃油、及び2%以上のXXXR混合では試験していません。
理由は、それ以上だとフィルター処理が難しいと状況だと言うことです。従って、FFA値の上限もこの値程度だと推定されます。
 
現在、日本の廃油はFFA値4(酸価8)を超えることは少ないと思います。
加えて、FFA4を超えた廃油でも、例え、今回の1.24以上となっても、通常の2..0~2.5程度まで低下出来れば、充分現在のアルカリ法で使えると思います(更に、グリセリン前処理法での再処理も出来ます)。
 
ある程度の高FFA値(~4))の廃油で、直接アルカリ法が使えなくても、
比較的安価に、かつ簡単に吸着剤XXXRを使えば、1.24程度までFFA値を低下でき、充分アルカリ法でBDFが生産できると言う結果紹介でした。
 
日本でも、てんぷら油の再生剤が各種販売されていますので、価格も効果も不明ですが、。。。
同様のFFA値の改善・低下効果があるかもしれません。
どなたか試されては如何でしょうか??
 
では、また。。。。。
Joe.H
 
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