海外のバイオディーゼル(BDF)プラントの再稼動例では、反応器の更新例も多くあります!!

バイオディーゼルの市況は、過去3~4年最悪の状況で、多くのバイオでディ-ゼル(BDF)プラントは休止中であったり、或いは会社の倒産、或いは吸収合併など業界の再編も進んでいます。
 
しばしば、この種のニュースもあります。
最近の例(6月10日付)でも、停止中の80mmgpy(年産266,000トン)が再稼動に向けて準備している様です。
他にも
 
従って、最近までの米国のBDFの稼働率は、プラント能力の20~30%であった模様です。
 
ところが昨年の後半から、BDF業界は過去に無いほど好況で、年率30%以上の成長率を記録しています。
理由は燃料油高と補助金の復活、それにECO、再生エネルギーの利用推進だと思います。
但し、これは多くの休止プラントが再稼動している状況で、けして100%新設プラントの稼動による成長ではありません
 
但し、同じ再稼動でも、全く以前のプロセス方式のまま再稼動は、少ないと思います。
過去に採算性に苦しんだ苦い経験から、より生産コストの低減化や品質の向上が期待できる方式に変更して(Retrofit)、再稼動しています。
 
反応装置まわりで、多くは、より低価格原料に対応可能な方式、例えば、固体触媒方式により高FFA原料対応への積極的な原料転換、或いは、Cavitation方式による反応器周りの品質向上と生産性向上などです。
 
前者については、注目の新固体触媒方式の有力案を、既に紹介済です。
当方で新触媒の導入契約を締結している新触媒方式もあります。
FFA100%までの油脂対応及びほぼ常温反応〔30~35度C) が最大の特徴です。
 
何れの方式も、いわば第2世代のBDF生産方式と言われている方式で、高FFA対応による原料油の多様化と石鹸分が副生しない固体触媒方式が特徴です。
 
これに対して、後者のCavitation方式は、云わば1.5世代のBDF生産方式と言われている方式です。
従来どうりのアルカリ触媒を使いますが、反応器が全く異なります。
 
この方式は、Intensified Reactor方式の有力方式で、Static-Mixerの利用法なども含めて、過去に紹介しています。興味がある方は、そちらも参照ください。
 
Cavitation 方式は, 特殊ポンプでマイクロバブルと衝撃波を発生させて完全混合を目指します。これにより、1分以内の反応時間(秒単位)とBDF品質の改善効果が最大の売りです
 
今回、下記に紹介する例は、最近の記事例〔6月3日付)です。このCavitation方式に反応器を変更しての再稼動例です。
 
米国のワシントン州〔首都のワシントンは米国東部、こちらは西部太平洋側の北部のカナダと接している州、ボーイングマイクロソフト本社もこの州にある)のGeneral Biodieselと言うBD製造会社の例です。最初の写真のブルー色のものがCavitation Reactorです。
 
同社Lee社長の言葉では、
過去4年間は、常に苦しさとの闘いであったが、ついに長いトンネルの先に光が見えてきた
理由は勿論、BDF環境全体の市場回復が最大の要素ですが、Cavitation方式の有力メーカーであるAdvanced Biofuel Solutions社のShockwave Power Reactorの導入にあります。
 
この新反応(装置)器は、過去6ヶ月ほど順調に稼動していて、既にBDFを100万ガロン(3800KL)を無事故で生産したとの事です。
この反応器価格は25万ドル〔約2000万円)で、年産5mmgpy(年17、000トン弱)の生産能力があります。
1年以内で投資は回収できると言うことで、この反応器の導入は、正にお金を生む機械だと言っています。
 
お陰で、より多くの廃油(Yellow grease)を集めて、BDF生産ができて、もうじきに(投資資金の回収も終わり)利益を生む機械になると言うことです。
 
Lee社長いわく、既存の他社の導入稼動中プラントを見学し、特にBDFとグリセリンの分離が早いのに驚いたと言っています。過去にこんなに早く分離するの例は無かったと言い、そこで即導入を決めた様です。
理由はこの方式の特徴である石鹸分の副生が抑えられる事と、メタノール使用量も少ないからだと思います。
 
装置導入も極めて簡単で、この反応器を設置し、配管接続し、そして通電で即稼動したとコメントしています。
既存の反応装置は大きく、場所をとったが、この機械なら、10mmgpy(年産34000トン)規模でも、6~8平方フィート(0.54~0.72m2)だとも言っています。
 
尚、この方式では、最小の毎分3gpm(毎分3ガロン、年産5,200トン)から最大の1500gpm(年産2,600,000トン)までの500倍の能力範囲をカバーできています。因みに、下の2枚目の添付写真は、この方式の最大規模の反応器ですが、非常にコンパクトです。基本的にはポンプとモーターだけですから。。。。
 
ーーーと言うことで、高FFA油対応が必要ない程度の廃油原料油をBDF製造用に使うことが出来れば、このCavitation法が、ある程度の大型以上の規模では、現状でも最も効率的、かつ導入リスクの無い方法であることは確かです。
 
最初のこの方式の製品化は、2005年頃から始まっていますが、アルカリ触媒法を使い、ある規模(年産5000トン)以上の規模なら、現在でも最も効率的なプロセスとなります。
 
もっとも、最低の年産5000~5200トン・クラスのプラントでさえ、国内には恐らく存在しないと思いますので、導入は無理かもしれません。 
我々が関係するとしたら、海外への輸出向けだと思います。
 
従って、BDF用反応装置には、こんな機械もあると言う程度かも知れません。
最も、年産5000~5200トン・クラスの反応器なら800万円程度からですので、驚くべきことには、玩具の様な小型の国産200Lバッチ反応器の値段とほぼ同じです。
 
では、また。。。。。
Joe.H
 
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