バイオディーゼル(BDF)の副生グリセリンの新たな利用法になるかも??

バイオディーゼル(BDF)の生産量の増加とともに、その副生グリセリンの生産も増えて、
世の中では、処分法に苦慮している処も多い様です。
 
従来の小規模での利用法は、
・堆肥促進剤
・家畜飼料添加(牛、豚、鶏など)
・燃料油混合(或いは、100%でも)
・舗装道路補助剤
・石鹸利用
等です。
 
今回、紹介するのは、グリセリンの不凍液としての利用法(?)と言う話題です。
下記の記事からの概要の紹介です。
 
車両などに使われている不凍液は、通常エチレン・グリコールが使用されていますが、この代わりにグリセリンを使うと言う利用法です。
 
元々、実は不凍液は、海外では(日本も恐らく)1920年代までは、グリセリンが使用されていた様です。
ところが、当時グリセリンが高価で、代わりに化学合成品の廉価なエチレングリコールが使われ始めて、以後現在まで継続している状況です。
 
余談ですが、この様に原点復帰見たいな話は、
ガソリンエンジン(点火式)      :当初エタノール⇒ガソリン⇒エタノール(海外の現状は5~最大85%)
ディーゼルエンジン(自然発火式) :当初植物油(ピーナッツ油)⇒経由⇒BDF(5~100%)
などでも起きています。
 
エチレングリコールC2H4(OH)2 は、2価のアルコールで、云わば3価のアルコールのグリセリンC3H5(OH)3 の弟分みたいなもので、同じ構造をしています。
それに、グリセリンを使った不凍液は、植物性であり、食用も可能で、有毒なエチレングリコールに比べれば、優れています。
 
。。と言う状況で、主に価格の問題で、グリセリンからエチレングリコールへ変更になったのであれば、急激に価格低下したグリセリン、再度戻そうと言う極く自然な考え方です。
それに、グリセリンは再生可能原料ですので。。。
石油からもグリセリン合成はできますが、グリセリンが余剰と価格低下で、現在は植物性が主。超高純度品は、今でも石油製品が利用されています。
 
但し、現在のBDF製造法のアルカリ法での石鹸、メタノール、触媒金属などの混ざった50~60%程度のグリセリンでは、さすがに不凍液製品には使えない様です。
これまでも、一部個人レベルの米国BDF製造者は、不凍液への利用云々と言っていました。
アルカリ法でも、2段法反応時の副生グリセリンはキレイですし、新油ならなお更です。また、不純物が有っても機能的に以外に問題ないのかも知れません。
保証の限りでは有りませんが、。。。何方かトライされますか?
 
現在、米国のASTMで検討中の模様ですが、純度は99.5%程度は必要の模様です。
この程度の純度であれば、固体触媒を使用し、メタノール、水分を除去さえすれば、副生グリセリン純度は、比較的簡単に達成できるのではないでしょうか?
但し、このグレードなら、他の用途もありそうです。
ASTMのグリセリン規格として検討中の不純物では、脂肪酸及びエステル(BDF)を規格に加える様子です。
 
勿論、不凍液として使用するには、別途新設されるであろうASTM規格に合致したものでなければ、少なくとも米国では販売できません。
この新基準をどうするのか、ASTMの分科会で議論しているとのことです。
 
BDF製造業界の大きな悩みは、副生グリセリンの有効利用であり、この使い方に悩んできたわけで、好ましい情報だと思います。
 
これでBDF製造法も、高純度のグリセリンも得られる固体触媒法に転換促進(?)となるか、否かは不明ですが、明るいニュースです。但し、、不凍液の需要量と副生グリセリンの生産バランスとの関係も不明です。
 
グリセリン化学基礎原料として、エタノールなどの化学品を合成する方法や、エステル交換を行わず、副生グリセリン生成のない直接(接触)熱分解法などもあり、後者は海外の大手で実用化(プラント稼動)しつつあります。
 
いずれにしても、エステル構造の再生可能燃料を使うと言う前提に立てば、今後益々増加するBDFの生産増に比例し、必ず副生するグリセリンの有効な使い方が求められています.
尚、グリセリンが副生しない方法も以前、本Blogで反応実例を昨年紹介しました。グリセリンの代わりに、冬季流動点改善効果のあるトリエスティン(Tri-Acetine)の生成反応でした。
 
今回は、副生グリセリンの今後の利用法の一つとして可能性のある不凍液への利用法でした。
 
では、また。。。。。
Joe.H
 
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