バイオディーゼル(BDF)精製用イオン交換樹脂、どの様な製品があるのでしょうか???

現在のアルカリ触媒法では,バイオディーゼル(BDF)の反応が終了すると、続いて精製工程が一般に必用です。
最近注目されている固体触媒を使えば( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/12217997.html )、この精製工程は省略できるか、或いは簡略化できると言われています。
最も海内のメーカーでは、アルカリ法でも精製工程が不要と宣伝しているBDF装置メーカーも、2~3社はあります。
但し、この場合は、何れも原料油の水分と遊離脂肪酸(FFA)濃度が低いと言う制限付、かつ高温(80℃)高圧(2気圧)で高速反応です。高速反応をさせる結果、石鹸分副生が抑えられるのだと思います(エステル交換反応速度は、鹸化反応に比べ高速)。
或いは、通常の場合でも、メタノール後、充分時間を掛けて石鹸分とグリセリンを沈降させれば、精製処理をしなくても良い場合もあります。
但し、殆どの場合は、それほど時間的余裕もなく、またそのまま使う勇気もなく、精製処理を行っているのが実体です。
精製処理法は、水洗法(湿式)とDry-Process(乾式)法がありますが、水洗法は、殆ど経験がなく素人ですが、Dry-Process法は、少なくとも日本ではプロです(?)
今回は、このDry-Processに使われているイオン交換樹脂を紹介します。
何れもバイオディーゼル用として開発されてるか、少なくともテストされている製品です。イオン交換樹脂のマーケットの殆どは、純水処理、放射物質や化学物質の微量成分吸着用で、BDF用は特殊なマーケットです(量的にあまり売れない)。この為、BDF精製用のイオン交換樹脂は、国産品では販売されていませんし、当然、純水用のイオン交換樹脂はBDF処理用として使えませんので、注意してください
以下、代表的なBDF精製専用の販売製品の紹介です。興味があれば、是非使用されたら、どうでしょうか?低価格です。
AmberliteTM BD10dryTM
AmberliteTM BD10dryTM --米国イオン交換樹脂メーカーRohm and Haas(2年ほど前にDowに買収され、現在はDowの一部門)の製品で有名です。 グリセリン分の吸着と石鹸分を主に除去(FFA)する。脱メタノール処理前に使用するドライ・タイプです。その後に脱メタノール処理をする(Post Demethylation Type)タイプです。主に、大手BDF製造者が使用していて、小口は販売していません。他のイオン交換樹脂製品を含めて、顧客の信頼性は高い様です。同社はBDF関連では、いろいろ他社には無い注目の製品群を出しています。このBD10Dryに続いて、エステル交換反応用の固体触媒としてBD20を、原料油の不純物処理用にBD19Wetを、精製工程では、BD10Dryに加えて冬季特性の改善用(MG,DG,SGs除去用)にBD19Dryを、また副生グリセリン精製用BD50と言う具合に製品化している唯一のメーカーです。イオン交換樹脂メーカーでは、最も多くのBDF関連樹脂を提供しているメーカーと言えますが、個人客や小生産者はお断りと言う状況です。最低でも1トン以上の購入が必用です。尚、少量サンプルであれば、500g以上でも購入できますが、BD10dryを含めて、全ての樹脂は1kg当たり2万円もします。これでは、個人は使うなと言っているのと同じです。
DowexTM DR-G8
DOWEXTM DR-G8 は米Dow化学の元もとの製品。Rohm&Haasを吸収後も継続販売しているが、BD10Dryの影に隠れて、あまり売れていない様子です。ドライ・タイプで、脱メタノール処理後に使うタイプです。除去可能物質は、グリセリン、石鹸、そして少量の水分と言われています。古い製品ですが、当方は 詳細不明です。
LEWATIT® GF 202
GF202 は、ドイツLanxessの製品(酸化防止剤も有名)。物理的には、マクロポーラス型(大きな空洞がある)イオン交換樹脂(Na)ですが、グリセリンと石鹸分を吸着する実体は吸着剤。石鹸分は吸着するだけで、他のイオン交換樹脂の様にイオン交換(FFAへ)は行わない(利点でもある)。他のイオン交換樹脂と同様、メタノールにより再生除去は可能です。祖BDFの石鹸分は500PPM以下が望ましい。日本の使用者は、殆どこのタイプを使用中(他樹脂は、各自が直接輸入しないと、使用できない)。ウェツト・タイプで使用前処理(5-Bed Volume)が必要。米国価格は1L当たり12$(1000円)。山田周生さん、Bimass Japanなど国内BDF装置メーカーが扱っている製品。日本での価格は不詳だが、多分高価のはず(?)。
PUROLITE® PD206
米国のもう一つのイオン交換樹脂メーカーPuroliteの製品です。PD206 は、ドライ・タイプで、水分吸着と石鹸分(FFA化)、グリセリン吸着、アルカリ触媒分などを除去目的とする製品で有名です。脱メタ後でも、脱メタ前でもどちらでも使用可能。注意は、使用中に2倍程度に増える(膨らむ)ので、塔設計は要注意。祖BDFの石鹸分は1000PPM以下が必用。米国での価格は1ポンド(0.45kg)当たり10$(850円)~12$。米国で小規模製造者がもっとも古くから、多く使用している代表的なBDF用イオン交換樹脂製品で、顧客の信頼性も高い。単にBDFイオン交換樹脂と言えば、この樹脂の利用者と言えるくらい多い。
Tulsinon®  T-45BD MP
インドThermax 社のTulsion T-45 BDは、マクロ・ポーラス型イオン交換樹脂(水素)です。グリセリンと石鹸分の吸着及びイオン交換機能を併せ持っている製品として特異な製品。 加えて、メタノールでも、性能が落ちないので採用例が最近多い。殆どの樹脂はメタノールが無い状況だと性能が落ちる傾向にある。また、他の多くの製品と同様に、吸着グリセリンと石鹸分をメタノールで除去・再生可能である。硫酸で完全再生も可能だと言われている。 BDFの石鹸分は2500PPMでもOKと言われているが、少ない方が樹脂は長期に使える(イオン交換樹脂に共通)。 価格は1ポンド当たり$9 程度(760円)。この製品も最近、米国でよく使われ始めている。当方では、現在、Eco2Pure(英国セルロース系吸着剤で、このタイプの最初の製品、コピー商品として米BD-Sorbなどあり、海外では、個人で製造している人もいる位で、簡単!日本にも類似製品あり)Thermax+Puroliteの組み合わせで使用中。他には、ECO2PureThermax,Thermax+Pulolite などの組み合わせ例もあり。或いは、個々の単独使用例もあり。現在の一般的なDry-Process処理のベストな組み合わせは、セルロース系吸着剤(前段)+イオン交換樹脂(後段)と言われています。この考えには、同意。。。。と言うか、実は当方で米国の仲間に宣伝した結果かも?
余談では、メーカー側も最初はECO2Pureの単独使用を進めていたが、最後の詰めが甘い(石鹸分が50PPM以下になり難い)ので、結局、最近はメーカー自体もイオン交換樹脂のFront-End(前段処理)用にとして宣伝中です。
DW-R10™
DW-R10は、製造ケーカーは不詳だが、云わばPuroLiteのコピー廉価版・イオン交換樹脂で、米国製の模様。PuroLiteと殆ど同じ性能か、更に10%ぐらい良いと言う宣伝文句です。販売先は米国が中心。最近発売された製品。他の機能などはPuroLite PD206と同じと言われている。但し、価格は1ポンド当たり5~7$程度と安い。更に、安価なDW-R8と言う製品もある。最近、PuroLite代替品として、小規模ユーザーで良く使われはじめている。
Eco2Pure+PuroLiteの組み合わせと類似(同一)機能で、廉価版のBD-Sorb+DW-R10の組み合わせを、最近,某顧客用に購入した(前者に比べて30%程度安い)。
 
 BioLite
イギリスで販売中、製造元は不詳。名前からしPuroLiteのコピー製品の模様?価格は1L当たり11英ポンド程度。使用した経験は無いので、それ以上の情報はないが、他のイオン交換樹脂同様に使えるはず。特別の長所もないと思われる。
 
 ChemiPhase BioRes-P
同様に、英国ChemiPhase社で販売中の製品(ドライ・タイプ)、製造元は不詳(OEM製品,PD206互換)。価格は1kg当たり20英ポンド(?)と何故か高価。他に、BioRes-A(BD10Dry互換)もある。同社は、流動点降下剤の販売で有名で、Cold-Flow製品(Cold-Flow350/402)、やセタン価向上剤(Bioboost1000)の発売元でもある。
 
以上の様に、BDF用のイオン交換樹脂は、米国、英国、ドイツなどにあり、それぞれ販売されているが、大きな差は無い様に思われる。極端な言い方をすれば、上記のどれでも入手可能なものを、或いは低価格なものを購入すれば、良いと思われる。使用法も類似だが、必ず使用法を確認する必要がある。
 
主な確認事項(特に樹脂単体で購入される場合):
 
前処理が必要か,否か(日本で樹脂単体ではなく、処理容器塔に詰まった状態での使用なら、既に前処理されているので心配は不要)。ドライ・タイプなら直ちに使用可能、ウェツト・タイプなら、メタノール洗浄が必要である。
樹脂の膨張割合(Swelling)の確認、通常のドライ・タイプだと2.0~2.3倍前後、マクロ型のドライ・タイプだと1.5~1.6倍前後に膨らむ(塔の余裕が必要)。
処理速度とL/D比、必ずイオン交換樹脂には処理可能な速度(流速)、即ち、使用樹脂の単位量当たり(1kg、或いは1L)の油の処理量(L/Hr)が決まっている。適当に油を流しても、処理できないので注意を!!(過去に国内で例を見たので、。。。) また、イオン交換樹脂の直径(D)と高さ(L)の比がある値以上必用と必ず記述されているはず。同様に、その数値に合致してない塔を使うと樹脂の能力が充分発揮できないことになります。
処理可能量、いろいろな要因で処理可能量は変わるので、数値は余りあてにならないが、標準値を予め知っておくことは重要。例えば、Thermaxでは1ポンド当たり100ガロン(1kg当たり850L)程度が標準の(再生までの)処理可能量の目安です。
再生処理法、これも、特に日本のユーザーは、樹脂は再生できないと思っている人もいる様なので、必ず確認する必用あり。殆どの樹脂は似たりよったりの再生法とメタノール使用量であるが、一応要確認です。標準は5Bed-Volume程度ですが、再生時のグリセリン量によって、前後します。
 
以上が確認できて、理解できれば樹脂を購入して使うことも可能です。特に、難しいことは無いのですが、安く購入しようと思うなら、多少の努力も必要です。尚、上記の値段は少量(10~15kgぐらい)のイオン交換樹脂単体での購入価格です。量が増えれば、単価は更に安くなります。更に、樹脂塔(Column)や配管、圧力計、ポンプ付きの組み立てキットのパック料金が割安でお得です。
 
もし海外からご自分で直接購入が無理なら、高い国内調達の塔+充填済のイオン交換樹脂を使うか、或いは
当方に、直接お問い合わせください。塔も樹脂も遥かに安価で、高性能の製品が入手できます。
 
お役に立てると思います
 
今回はBDF精製用のイオン交換樹脂の、主に製品群と特徴などの紹介でした。
 
追伸)2018・11・12
現在、上記写真のBDF専用イオン交換樹脂、在庫があります。
ご希望なら、下記にお問い合わせ下さい。
超格安です!!
以上、追伸
 
では、また。。。。
Joe.H

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