廃油(WVO)の精製用等に、遠心分離機の有効活用があります!!

バイオディーゼル(BDF)用原料の廃食油(WVO)の精製法として、日本では余り使われていませんが、海外ではしばしば遠心分離機が使用されています。
 
そこで今回は、遠心分離機(Centrifuge)のタイプの紹介とその利用法です。
遠心分離機利用は、BDF関連では3つの工程で可能です。
1)廃食油の前処理用、2)反応BDF溶液からグリセリン分離用、3)Dry-Preocess用(分散吸着剤の分離)です。
 
遠心分離機は、その用途、予算、能力などにより、各種販売されています。
 
最も安価なものは、下記の写真で、本体は130$(1.1万円)、モーター・ギアーポンプや配管、加熱バンドヒーターの含むキット販売で740$(6.3万円)です。
廃油をドラム缶の上などに置いて、ギアーポンプで高圧流体をこの遠心分離機に流すと中のローターが7200回程度回転して、重力の2000倍(2000G)の遠心力が働きます。
この小型タイプは、流量の処理流量は200L/時ですので、1時間で1回200Lの処理ができます。但し、このタイプの遠心分離機(ポンプ稼動式)は、油の汚れ具合にもよりますが、1回の処理では精製できず、最低でも5回~10回程度必要です。従って、5~10時間で200L処理可能と言うことです。小型(直径17cm)で、固形ゴミは、ローター内側に溜めるだけですので、時々停止して、クリーニングが必要です。
同様のタイプでも、ローター・サイズも種々あって、最大の機種は直径44cm程度で毎時3700L程度まで処理できます(本体価格:17万円)。
予算が限られた、少量処理の利用者が多い様です。
小型遠心分離機の第1世代機で、10年(以上)前から販売されている様です。
 
 
次は、第2世代方式の遠心分離機はワンパス方式と言われているもので、写真の様な外観で、最低価格は、本体価格は1000$(8.5万円)程度以上します。この方式は、別途特にポンプなどは不要で、ホースを介して本体上部から廃油を投入して、下部から精製油が出てきます。
本体にモーターが付いているので、本体以外は殆ど不要です。但し、廃油は40~50℃I以上に加熱する必要があります。加熱状態の油を供給できなければ、加熱器付もオプションで有ります。1.7万円ぐらい追加となります。
標準の処理量は、廃油の状況により流量を調整する必要がありますが毎時40~50L(65度C)の処理能力です。http://t1.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTYRSdqHhQrRscezsS0Fml77m5_icgzxNn6DgCwEhfaVqOr4r-vhttp://www.utahbiodieselsupply.com/images/centrifugeturnkey/turnkeycentrifuge01.jpg
この場合も、固形ゴミは本体内部のローター内部に溜まる方式が基本ですが、
連続方式(正しくは処理、ゴミ除去の自動切換)のオプションで可能です。
連続方式でなくとも、固形ゴミ保持のローター容量が多いです。更に、インバーター付のオプションもあり、この場合、通常の1200Gから3000~3600Gへと能力アップします(除去能力は2倍)。
数社か同様タイプの遠心分離機を販売していますが、類似の価格と能力で、一般には8.5~18万円ぐらいの価格レンジです。
 
更に、下記左の大型のタイプ(3600G)は45~50万円前後で、処理能力は、2~10倍となります。
下記右の写真の機械は、大型タイプ(2400G)ですが、本体価格11万円と安価です。但し、何れも重量は50kgもあり、送料は可也掛かります。同じ加速重力(G)でも、大型(サイズの)ボール付の遠心分離機のの方が、遥かに処理能力は高くなります。
 
 
大型の遠心分離機は最低でも300~400万以上もします。処理能力も、価格も上限はありません。
 
現状でも、それぞれのタイプにより愛好者がいますが、機能的には後者のワンパス方式の方が好評の様です。大型タイプと同じ方式(ワンパス)で、それを小型化・廉価版としたダケですので。。。
前者の問題点は、ギアーポンプで油を昇圧しローターを回転する方式なので、音がかなりウルサイです
 
いずれのタイプの遠心分離機も国産では販売されていません。
必要なら、輸入しか有りません。
一部業者は輸入して販売していますが、価格もかなり高い様で、使うなら直接輸入の方が、当然安いです。
 
次に使用する場所ですが、第一の利用法は廃油(wvo)の処理用です。
 
廃油内のゴミの量と求める処理能力により、どちらでも使えます。
 
・総予算(資材費、輸送費)が概略10万円程度まで(以下)なら、ポンプ稼動方式しかありません。
仮に、ギアー・ポンプやホース、バルブ、圧力計などがあれば本体だけですので、1万一寸で買えます。
・同様に、概略総予算が10~20万円程度なら、ポンプ式の中型機、或いはワンパス方式が購入できます。
・更に、総予算30万円以上なら、ワンパス方式の各種オプション付(連続固化ゴミ除去機能付)なども、購入できます。
 
廃油処理に遠心分離機があれば、少なくとも固形ゴミは、流量調整や処理回数の調整により、サブ・ミクロン級までも(完全に)除去可能です。
一部の製品は同時に水分も除去できると言っていますが、効果は疑問です。水分は無理と考えた方が、安全だと思います。勿論、遊離脂肪酸も分離できません
 
廃油直接燃料(svo)利用法の場合は、遠心分離機はほぼ必要不可欠ですが、BDFの場合は、廃油の状況にもよりますが、少なくとも私の場合はフィルター処理でも、静置分離でも、通常は問題ありません。
但し、フィルターを使う状態なら、フィルター交換の費用やその手間を考えると安価な遠心分離機を使う方が良いと思います。フィルターにゴミが溜まるとすぐ詰まりますので、時間節約の為に、100ミクロン、10ミクロン程度まで、2~3段階に分けた順次フィルター処理が必要です。
勿論、資金的に余裕のある方は、遠心分離機を使えば、極く綺麗な廃油が得られます。
 
次は、BDF溶液のグリセリン分離用の例です。
グリセリン分離は、全体のBDF処理時間の中でかなりの時間を占めます。
そこで、予算があり遠心分離機を使えば、バッチ方式でも、連続方式でも大幅な時間短縮も可能ですし、処理能力も倍増します。
例えば、反応時間が60分、グリセリン分離が60分なら、設備によりますが、限りなくグリセリン分離時間はゼロに近づきます。
例えば、100Lバッチ機が能力不足で、もう1台購入し、200L(100L+100L)とする場合を想定します。
新たに100Lバッチ、例えば国産で300万円必要だと仮定すれば、遠心分離機なら10分の1の30万円で同じ能力アップが可能となります。
 
海外の大規模プロセスでは、ほぼ100%遠心分離機を使っています。処理能力の問題と、分離槽の設置場所やタンク設備が不要になるからです。
個人や小規模の例では、使っている例はまだ少ない様です。
注意すべきは、この種の遠心分離機は価格と重量からアルミ製回転ボールが多いのですが、アルカリ性のBDFでは、多少腐食もありアルミは避けた方が良く、出来ればステンレス製が良いと思います。またグリセリン前処理用としても、勿論使えます。
 
新アイデアとしては、紹介済の新バッチ方式( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10541340.html )+固化ゴミ連続分離機能付の遠心分離機の組み合わせで、2段反応方式ばかりか、多段反応方式の反応器として、ほぼ連続で可能となります。当然の結果、転化率は、限りなく100%に近づきます。
 
同様に新アイデアとしては、遠心分離機を3台組み合わせた(超)コンパクト連続式反応器も考えられます
連続式フローの反応器部の塔部を除外し、遠心分離機をあてはめた構成となります。( http://blogs.yahoo.co.jp/hirai476/10064073.html )。
即ち、
グリセリン前処理(Static-Mixer反応器+遠心分離機)+
1段反応(Static-Mixer反応器+遠心分離機)+
2段反応(Static-Mixer反応器+遠心分離機)
となります。
 
次は、Dry-Process法のMagnesolと言う製品を使う乾式処理法(Dry-Process)です。
フィルター(バグフィルター)処理も可能ですが、遠心分離機は、ほぼ不可欠と言われています。http://www.dudadiesel.com/img/items/magnesol-s436.jpg
乾式処理剤としては、現在の主流はセルロース系吸着剤、及びイオン交換樹脂の組み合せ、或いはどちらかの単独使用例です。
これらの課題として吸着剤では、不純物が完全に精製除去できない。イオン交換樹脂では、ソープが遊離脂肪酸として残り、除去できないと言う課題があります。
 
実は2年前にDry-Process導入時に、Magnesolも検討したのですが、結局分離法が困難なことと、槽型容器が必要などと言うことから止めた経緯があります。
 
Magnesolは、それ自身の分離上の課題はあるものの、BDF不純物の分離上の課題は、ほぼ無い様です。
従って、現在でも、特に大規模事業者の使用も少なくありません。
但し、Magesolの課題はシリカ系の微粉末であり、完全に除去しないとエンジトラブル(シリンダー磨耗)の原因となると言われています
この為、遠心分離機は、Magnesolの利用の前提となっています。
 
今回は、日本では余り実使用例のない遠心分離機タイプの紹介とその利用法(BDF工程での)について概要を紹介しました。
具体的な使用法などはYouTube(英語版)を見れば、多く公表されてますので、興味あれば直接ご覧ください。最も使い方は簡単ですが、。。。。
或いは、直接当方にお問い合わせください。
購入を希望でしたら、直接ネットやeBAYでも購入可能ですし、ご自身で購入が不安ならお問い合わせください。
 今後使いたい機械の一つです。
 
全くの予断ですが、BDF関連の化学に弱いが機械には強いとご自身で考えている方、遠心分離機は正に機械的分離法ですので、是非利用をトライされたら、如何でしょうか??
新型の遠心分離機も夢ではありません。
例えば、(特許もありますが、)反応をしながらグリセリンも分離も出来る遠心分離機(高転化率)、或いは、水とグリセリン、或いは水と固化ゴミを同時分離できる遠心分離機などです。後者は大型機では製品化されています。
金属工作機械があれば、金属塊を削ってご自分でも製造可能かも知れません。
事実、紹介の米国製品の遠心分離機も家内工業的な小規模製造です。モーターは汎用製品ですが、。。。。
 
BDFは化学、機械、電気の総合技術だと感じています。
仮に、化学や機械は(少し)弱いが、電気は強いと言われる方、最近注目を浴びている電磁波(電子レンジ)による方法や、超音波による高速反応方式もあります。
 
 
では、また。。。。。
Joe.H
 
追伸
 1)上記Blog記事は、一般公開情報です。
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 可能な限り対応させて頂きますので。。。。
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以上